【衆議院議員選挙2014】
落選議員の引っ越し期間は3日間、慌ただしい議員会館 (2014/12/17 東京大学大学院情報学環交流研究員 本田正美)
総選挙後、忙しくなる場所の1つが、国会の裏手に建つ議員会館だ。
衆議院議員用に2棟、参議院議員用に1棟建っており、現職議員に1部屋が割り当てられている。衆議院解散となると、すべての衆議院議員は、議員としての地位を追われる。そのため、本来であれば議員会館の部屋もいったん撤収する必要がありそうだが、実際には、選挙で当選すれば、それまで利用していた部屋を引き続き利用することになるため、解散後も各部屋の使用が可能とされている。
慌ただしくなるのは選挙後だ。ここで落選の憂き目にあった現職の候補者は、新しく議員会館に入居してくる議員のために部屋を明け渡す必要がある。今回は、選挙後3日以内に引っ越しをしなければならず、17日(水)が期限となっている。この退館と入館の作業のために、この期間は運送業者の往来が激しい。
さらに、当選祝いの花の配送でも賑わい、議員会館の玄関では、台車に胡蝶蘭を乗せて運ぶ人の頻繁な往来を目にすることができる。ベテラン議員ともなれば、部屋から溢れんばかりの蘭の鉢が並ぶ。
最後に、この議員会館周りで忙しく動き回るのが落選議員に付いていた公設秘書たちだ。解散となると、特別職の国会公務員である2人の公設秘書と1人の政策担当秘書も「クビ」になる。仕えていた議員が晴れて当選すれば、基本的にはその職に戻ることになるが、落選してしまうと、次の行き先を探す必要があり、伝手を求めて議員会館を回ることになる。
選挙が終われば、議員会館も新たな「住人」を得て動き始める。
- 【取材協力】
東京大学大学院情報学環交流研究員 本田正美
1978年生まれ。東京大学法学部卒。2013年、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。現在、東京大学大学院情報学環交流研究員。専門は、社会情報学・行政学。特に電子政府に関する研究を中心に、情報社会における行政・市民・議会の関係のあり方について研究を行っている。共著本に『市民が主役の自治リノベーション』(ぎょうせい刊)がある。
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