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【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】

第42回 市議会は奥が深いところ (2013/6/26 大分県大分市議会議員 三浦由紀/LM推進地議連会員)

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政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。第42回は、大分県大分市議会議員の三浦由紀氏による「市議会は奥が深いところ」をお届けします。

◇        ◇        ◇

大分市の概要

 人口約48万人の大分市は、大分県の県都で商工業都市である。現在、サッカーJ1の大分トリニータをはじめ、バスケットボール・バレーボール・フットサルと中核市では最多の4つのプロスポーツチームがあり、AKB総選挙で1位となったHKT48の指原莉乃さんを観光大使として起用しているアクティブな都市である。

大分市議会の概要

大分市議 三浦由紀氏

大分市議 三浦由紀氏

 大分市議会は現在、定数44名で、2008年に中核市として初の議会基本条例を制定した。その基本理念にのっとり、議会政策研究会で議会全体として条例制定や大きな政策に取り組む傍ら、議会活性化推進会議で常に議会改革に努め市民に信頼される議会を目指している。

 これまでの市議会の活動が評価され、2010年・11年連続でマニフェスト大賞優秀成果賞をいただき、マニフェスト研究室による議会改革度ランキングでは常に上位に位置している。また、議会の様子を市民に伝える広報部門でも、中核市の議会報コンクールで2011年・13年と最優秀賞、2009年・12年に優秀賞を受賞している(2010年は主催市の為評価対象外)。

 さらに、2012年度から議会による事務事業評価も開始し、議会力を一層アップしようと努力している。

私の活動

 私は今年で議員生活21年になるが、議長職を退任する2009年の16年目までは「行財政改革」と「議会改革」を主なテーマとして活動してきた。

 さまざまな障害もあったが、議長職に就いたことにより目指したところへ向かうだけの道を引くことができたのではないかと考えている。それどころか議会改革においては、私の考えていた場所よりさらに上へ、わが大分市議会は行こうとしているようになってきた。

 そこで、その後、私が主に取り組むようになってきたテーマが「大分市の発信」と「自治体制度の変更」である。

大分市の発信

 現在、日本は人口減少期に入っている。幸い大分市はまだ人口が増え続けているが、これもあと数年で減少に転じてしまう。

 この時に、大分市の行政サービスレベルを落とさずに維持し続けるにはどうすればよいか?
 市民が自分の住む町に誇りを持ち続けるにはどうすればよいか?
 ――激しい自治体間競争の真最中である。

 それには他都市との差別化、付加価値化であると私は考える。他都市にはなく自分の町にある、優れた「人・物・事」を発掘し、それに付加価値をつけ外へ発信していく。そしてそれを税収アップや市民の誇りに結び付けて行く。それこそが、今そして今後地方自治体がやらなければならない仕事ではないかと考え、「Made in OITA.大分を発信しよう!」をテーマにさまざまなものに光を当て発信している。

 指原莉乃さんの観光大使起用もその一環である。彼女のおかげで、マイナーだった大分市は広く全国に知られることになった。

自治体制度の変更

 日本の市町村制度はご存じのとおり、人口370万人の横浜市から200人の青ヶ島村まで、同じ制度で運営されている。「地方の時代」と言われるようになった今、このような金太郎あめ的な状況でよいのだろうか?

 もっと自由に、各自治体がその地域や実情に応じた制度を選択し、運営しても良いのではないだろうかと私は考える。

 ただし、これまではさまざまな法律等でのしばりがあったため、地方自治体の制度そのものを変えることは難しかったが、今それらの改正が議論される時代となっている。

 近い将来、自治体の制度を変えることができる時がくるかもしれない。いや変えなければ立ち行かない時代がやってくる。

 その時に、この大分市はどのような制度を選択すれば、市民が求めているサービスを最も効率よく提供できる自治体となれるのか?

 私はそれを今、調査している最中である。もちろん現代の日本に、そのお手本はない。あるのは過去と外国である。

 過去、わが国の地方はさまざまな自治制度を取ってきた。また、諸外国には同様にさまざまな制度の自治体がある。中には民間企業が運営している自治体もあるくらいである。

 これら「歴史」と「外」を調査する中で、未来の大分市を見出していければと考えている。

 「21年も市議会議員をやっていて飽きないの?」とよく言われるが、市民に最も身近な議会は極めて奥が深く、課題は尽きることはない。

著者プロフィール
三浦 由紀(みうら よしのり):大分市議会議員。昭和37年7月22日生まれ。群馬大学卒業。会社員を経て衆議院議員秘書へ。平成5年市議会議員当選。現在6期目。平成19年~21年議長。著書に「全国若手市議会議員からのメッセージ」(共著)、「九州から連邦制の実現を考える」(共著)、「自然の旅」(共著)、「山車―大分市の曳き山車」がある。
LM推進地議連の連載コラム
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