第113回 これからの箱モノ建設のあり方について  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

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【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】

第113回 これからの箱モノ建設のあり方について (2014/11/12 神奈川県寒川町議会議員 佐藤正憲氏/LM推進地議連会員)

政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。第113回は、神奈川県寒川町議会議員の佐藤正憲氏による「これからの箱モノ建設のあり方について」をお届けします。

◇        ◇        ◇

 寒川町は、東経139度23分4秒、北緯35度22分23秒に位置しており、首都圏から50キロ圏内にあります。神奈川県の中央部を流れる相模川の河口から上流約6キロの左岸に位置し、湘南地域の一角を占めています。町域の面積は、13.42平方キロメートルで、東西2.9キロ、南北5.5キロと南北に長く、東は藤沢市及び小出川を隔てて茅ヶ崎市に、西は相模川を隔てて平塚市、厚木市に、南は茅ヶ崎市に、北は海老名市にそれぞれ接しています。

 町議会の定数は18。通年議会制の採用、一般質問における一問一答方式の導入、本会議のインターネット放映など、今まで議会改革については率先して行われてきました。また、2013年度からは議会改革推進委員会を立ち上げ、議会報告会の開催、タブレットの導入、各種団体との懇談会など議会として新たな取り組みも進めているところであります。

不交付団体だが苦しい財政状況

 寒川町は2012年度に33年ぶりに普通交付税の交付団体となり、2014年度からは再び不交付団体となりました。財政力指数が高いということで一見豊かな自治体と思われがちですが、実際はそうではありません。町税についてはリーマンショック前の水準から回復には至っておらず、特に町民税収入においては、2013年度の決算は2008度決算と比べると約8割ほどとなっています。財政の弾力性を示す指標である経常収支比率については、2011年度から90%を超え、2013年度決算においては96.8%という非常に高い数値であり、財政の硬直化がかなり進んでいる状況であります。

 そういった財政状況の中で新たな箱モノを作ろうとする動きが出てきました。

箱モノ建設の動きについて

 寒川町では大きい区画整理の計画が2件あります。1件は東海道新幹線の新駅を誘致する計画である倉見地区、もう1件は2013年度に開通した相模縦貫道の寒川南インター周辺である田端地区です。これらの大きなまちづくりの計画については、財政の裏付けがない状況であまり進んでいません。

 ところがそういう状況の中、今年度になって「(仮称)健康福祉総合センター」の建設に向けた動き、プールの底板隆起により営業を中止している寒川町営プールの再建築の動きと、2つの箱モノ建設に向けて動き出そうとしています。これらの計画については各議員から一般質問や委員会においていろいろな意見が出ました。しかしながら箱モノを建てるときに一番大事なのは「必要性」であると思っています。その「必要性」について議論不十分のまま、見切り発車的に建設に向けて動き出そうとしています。

 箱モノを建てればもちろん住民サービスの向上につながります。しかし一度建ててしまうと、建設費の返済や運営費・修繕費などにより多額の費用が生じます。それにより財政を圧迫し、町政全体として町民サービスの後退につながるケースが生じる可能性もあります。そうした観点からも「ないよりあった方がまし」程度の箱モノについては建設のリスクは非常に高いものになります。既存の施設で賄えないものなのか、他の施設の方が住民ニーズが高いのではないか、そうしたさまざまな選択肢について細かく検証する必要があります。

公共施設等総合管理計画の策定が先決

 2014年4月に総務省から公共施設等総合管理計画の策定についての要請が各自治体に対してありました。要請の背景としては、過去に建設された公共施設等がこれから大量に更新時期を迎える一方で、地方公共団体の財政は依然として厳しい状況にあり、人口減少などにより今後の公共施設等の利用需要が変化していくことが挙げられています。そのために公共施設等の全体を把握し、長期的な視点をもって、更新・統廃合・長寿命化などを計画的に行い、財政負担を軽減・平準化するとともに、公共施設等の最適な配置を実現することが必要であるとされています。

 寒川町においても公共施設等総合管理計画の策定に2015年度から着手されます。町内各所に存在する昭和の時代に建てられた公共施設について、長寿命化を図るのか、取り壊して新規に建てるのか、ほかの施設と統合するのか、財政状況も踏まえたうえで1つ1つの施設について検証していく必要があります。

 また現状では雨水管・下水道や町道の整備などの生活インフラについても、財政上の理由で整備が後回しになっている部分もあり、十分といえる状況ではありません。以上のことを踏また上で、新たな箱モノの建設については時期尚早であり慎重になるべきです。

将来を見据えた計画を

 これからの箱モノの建設については、必要性、費用対効果、地域間の公平性、世代間の公平性、財政に与える影響、いろいろな視点から検証をした上で慎重に建設に着手するべきです。そのためにはまず公共施設等総合管理計画において、全体の把握と方向性を決めること。さらには将来の財政状況や人口推計などを見極め、住民ニーズをとらえながら必要不可欠な施設に厳選していくことが必要になってきます。

 箱モノは建ててしまえば見栄えは良いし、住民からは喜ばれるでしょう。しかし、箱モノ有りきではなく、全体としてバランスの取れた予算編成こそが最大の住民サービスであると考えています。

著者プロフィール
佐藤正憲佐藤正憲(さとうまさのり)
昭和55年生まれ。神奈川県高座郡寒川町出身。寒川町議会議員(2013年2月に初当選)。日本工学院専門学校情報処理科卒業。法政大学経済学部経済学科(通信制課程)在籍中。
所属会派:フォーラム志  政党:無所属  委員会:建設経済常任委員会・総務常任委員会・東海道新幹線新駅対策特別委員会
キャッチフレーズは「走れ!まさのり!行動派宣言!」。地方議員としての信条は(1)とにかく色々な場所に行き色々な経験をし色々な知識を得る事(2)何事も楽しむという姿勢が自分の見識を広げるという事。
佐藤正憲の地元寒川町を愛するブログfacebook /  twitter
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