第111回 ドイツとの交流で文化の香りのするまちへ  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

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【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】

第111回 ドイツとの交流で文化の香りのするまちへ (2014/11/5 千葉県習志野市議会議員 木村たかし氏/LM推進地議連会員)

関連ワード : 千葉 木村たかし 習志野市 

政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。第111回は、千葉県習志野市議会議員の木村たかし氏による「ドイツとの交流で文化の香りのするまちへ」をお届けします。

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 習志野市は1954年に市制に施行し、人口3万人、面積17平方キロメートルを有する都市として誕生しました。現在は人口17万人ほどになり、東京に近くベットタウンとして発展し、市内の津田沼駅から東京駅までは電車で30分の便利さです。

 明治から戦前までは、騎兵連隊、鉄道連隊が置かれ軍都としての歴史がありましたが、戦後は軍用地の跡地は済生会病院や大学・高校・小中学校に立て替えられ、軍隊のまちから文教住宅都市へと生まれ変わりました。特に、学校では音楽が盛んであり、谷津小学校管弦楽クラブは全国コンクールにおいて多数の日本一のタイトルを受賞しています。クラブ部員数は4年生から6年生まで総勢130人にも及びます。習志野文化ホールは千葉県において、ドイツ製のパイプオルガンをはじめ最良の設備が整った音楽ホールです。

 また、ラムサール条約に登録されている谷津干潟に面した谷津公園には、巨人軍発祥の地があり、大正時代にはアメリカ代表チームが来日し、ベーブルースがホームランを打ったと記録されています。東洋一のバラ園とも呼ばれたこともある谷津バラ園などもあります。忘れてならない歴史は第1次世界大戦時には、ドイツ兵士を収容した、習志野俘虜収容所がありました。

習志野市とドイツのまちとが、姉妹都市を結び文化面の交流を目指す

 2020年、東京でオリンピックが開催されます。その際、サッカードイツ代表のキャンプ地・練習場所を秋津サッカー場に誘致できないかと、2014年3月議会の本会議に取り上げ一般質問をしました。秋津サッカー場は、日本代表サッカー選手がキャンプを行うコンディションの良いグランドです。

 この話をさらに進めるため、私は2014年8月に駐日ドイツ大使館を訪問しヘルマン一等書記官、ホーボルト文化担当者の二人と対談してきました。そこで私が語った内容は、ドイツと習志野の歴史的なつながりについて大変深いものがあるという史実です。

駐日ドイツ大使館を訪問しヘルマン一等書記官、ホーボルト文化担当者の二人と対談してきました

 第1次世界大戦時、習志野にはドイツ人俘虜収容所が約4年半存在し、ドイツ兵によって、オーケストラや演劇・サッカー・ソーセージ・ビール等々のドイツ文化が日本でいち早く習志野に伝えられました。当時、捕虜には人道的な待遇をしなければならないというハーグ条約が日本では模範的に守られていたため、捕虜収容所というよりは、「習志野内の出島」のような雰囲気でした(「出島」とは、江戸時代の鎖国中に長崎に作られた、西洋との文化の交流地です)。

 大使館にて私は、100年前のドイツと習志野との歴史的な史実を説明し、なぜ他の国ではなくドイツ代表を誘致したいのか熱意を込めて語りました。同時通訳を交えて1時間ほどの会談の中で、ヘルマン氏から「ところで、御市ではどこのまちと姉妹都市を結んでいるのですか?」と逆に質問されました。「米国タスカルーサです」と返答したところ「まだドイツのまちと姉妹都市を結んでいないのですね。これを契機に未来志向で考えて行きませんか?大使館として協力していきます」とのうれしいお言葉をいただきました。そこで早速、9月議会で姉妹都市の話題を一般質問し本会議で取り上げました。

 ドイツと文化面での関わりは現在の習志野の市民生活に深く根付いています。音楽面では、毎年12月になると習志野文化ホールでドイツ人作曲家ベートーベンの第九「歓喜の歌」が演奏され、谷津小管弦楽クラブや中学校、習志野高校吹奏楽部などが全国最高峰の音楽を演奏しています。

 かつての習志野の捕虜収容所にはドイツのブレーメン出身者が15人いたそうです。両市は音楽はもちろん、サッカーが盛んであったり、ベンツの工場があったりとたくさんの共通項が存在します。そこで、世界最高の指揮者カラヤンが欧州最良のホールの1つに挙げたブレーメンの「ディー・グロッケ」と習志野文化ホールが姉妹ホールを結ぶということを足掛かりとしていくのも面白いのではないかと考えております。

 また、ブレーメンにはブンデスリーガの古豪で名門クラブの「ブレーメン」サッカーチームもあります。習志野も小・中・高・クラブチームなどでサッカーが盛んですから、将来は秋津サッカー場でブレーメンの下部組織と子どもたちの親善交流試合の企画も、スポーツ交流として面白いでしょう。両市の子どもたちが、夏休み期間を活用しお互いホームステイをし、市民レベルの家庭文化交流を持てるのも異文化交流やグローバル社会には有意義なことでしょう。

 習志野市がドイツのまちとの姉妹都市を締結するという夢のある市民高揚政策を実現し、グローバルな文化の香りがする魅力ある文教住宅都市習志野を進化させていきたいと思います。

駐日ドイツ大使館を訪問しヘルマン一等書記官、ホーボルト文化担当者の二人と対談してきました

著者プロフィール
木村たかし氏木村たかし(きむら たかし) 習志野市議会議員2期目
宮城県出身 証券会社・保険会社を経て現在、保険代理店も経営。
妻と小中学生の子ども2人。
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