働く障害者の月額工賃を1万5千円から5万円へ (2017/5/2 政治山)
「Cafe&bakery APLICO」リニューアルオープン!!
鳥取県×日本財団共同プロジェクト
内閣府の資料によると労働者の平均月額賃金は26万2千円ですが、就労継続支援B型(障害者)の月額工賃は1万4千円と工賃だけでは生活費を賄えず、障害年金や生活保護を加えて生活しているのが実情です。就労継続支援B型事業とは「通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が困難である者に対して、就労機会の提供および、その他の必要な知識や能力の向上に必要な支援を行う」事業者を指します。
障害者を雇用することで、事業所には1日当たり6千円から7千円、月22日稼働すると一人当たり13万2千円から15万4千円の支援費が支払われますが、障害者総合支援法の定めにより支援費は直接的に障害者に給付することができず、別の用途に費やされます。一部では支援費目的で障害者を雇用する事業所の存在が指摘されており、現行法を改正すべきという意見もあります。欧米各国では助成金を直接障害者の所得補償に当てるなど、それぞれ工夫された制度になっているようです。
働く障害者の雇用環境を改善するために鳥取県は月額平均工賃3倍増を掲げていますが、工賃を上げるためには事業所の売上を向上させ、工賃へ還元するサイクルを回さなくてはなりません。数々の団体を支援してきた日本財団は、福祉事業所の多くは経営力に乏しく売上を向上させることが困難という問題意識を持っていました。そこで日本財団が取り組んでいる「はたらくNIPPON!計画」の一環として、県内120事業所の中でも収益化が見込めて競争力の高い事業を重点的に支援し、成功モデルを構築する就労支援プロジェクトをスタートしました。
支援先の1つである、社会福祉法人養和会が運営する「カフェレストあぷりこ」は就労継続支援B型事業所としてレストランを経営していました。売上が振るわず苦戦を強いられていたところ、日本財団から支援を受けて3月30日に「Cafe&bakery APLICO」としてリニューアルオープンしました。
3月29日にAPLICOの店舗で開催されたリニューアルセレモニーでは、関係者から今後の意気込みや激励などあり、養和会の廣江仁理事長は挨拶の中で、「APLICOは18年程前に建てられたので老朽化と、バリアフリー上の課題を抱えておりました。ある日、日本財団のプロジェクトを見つけ、職員と相談して応募したところ、支援していただけることになりました。それからは店舗のデザイン、メニュー、人財育成をどうするかなど、課題ごとにプロジェクトチームを結成して取り組んできました。衛生面にも課題があったのでユニフォームを一新したところ、徐々に職員と利用者の仕事に対する姿勢が変わってきました。お店の改修に多大なるご支援をいただいた日本財団、鳥取県障害者就労事業振興センターに感謝を申し上げます。1カ月の平均工賃5万円を目指して、これから精進してまいります」と述べました。
続いて、APLICOを支援している日本財団の笹川陽平会長は「障害者という言葉がこの世から無くなるくらい平等に生活ができる社会にしたいと思います。福祉として障害者を雇用するのではなく普通のお店と互角に戦い永続性があって、お客様に愛されるお店になって欲しいと思います。美味しい商品を開発する努力や働く人の意欲が伝わってこそ、お客様にAPLICOで買いたいと思っていただけます。私は今日、従業員と利用者の顔色をみて成功すると確信をもちました。地域の方に愛される素晴らしいお店になることを祈っております」と期待を寄せました。
さらに林昭男鳥取県副知事は「以前、障害者の方から工賃が5万円あると年金と合わせて生活の見通しが立つというお話がありましたので、鳥取県は工賃の3倍と雇用数1000人増を目標に取り組んでおります」と述べ、野坂康夫米子市長は「米子名物のお店になるように成功を祈願しております」と挨拶しました。
その後は焼きたてのパンがふるまわれる中で、廣江理事長は「厨房には石窯を使ってパンを焼く実演コーナーを設けました。デザインは職員とデザイナーが協議を重ねて車椅子の方にも利用して頂きやすいように、トイレは背もたれや手すりをつけ、通路の幅を広げるために壁を壊すなど、ユニバーサルデザインを意識した設計になっています」と改装した店舗について説明しました。
最後に、記念植樹にオリーブの木を庭に植えてお店の成功を祈願しました。
「Cafe&bakery APLICO」
和洋菓子、パンの製造・販売、喫茶及び軽食
【価格】シェフのお勧めランチセット…900円~、キッズセット…500円、クッキー各種…270円、パン各種…70~420円
【住所】鳥取県米子市上後藤8-9-23
【電話】0859-48-0707
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