恋する灯台プロジェクト―航行の目標を恋愛の聖地へ (2016/11/10 日本財団)
船舶の航行目標を「恋愛の聖地」として発信
記念日にちなみ全国4カ所で上映会
日本財団と一般社団法人日本ロマンチスト協会(本部・長崎県雲仙市)は海上保安庁が定めた「灯台記念日」の11月1日、灯台の魅力を発信するために制作したショートフィルムの上映会を東京、神奈川、兵庫、長崎の1都3県で同時開催しました。灯台を恋愛の聖地として認定し再価値化しようと両団体が本年度から実施している「恋する灯台プロジェクト」の催しの一つです。灯台の日にちなみ、完成したばかりの映画が一般に初披露されました。
「恋する灯台プロジェクト」は、大切な海を未来に引き継いでいこうと、日本財団がオールジャパンで推進する「海と日本プロジェクト」の一環です。埋もれていた灯台の文化や歴史的価値を分かりやすく表に見えるようにして、各地域の観光資源として見直し、ロマンスの聖地「恋する灯台」というキーワードの下に、地域が主体となって盛り上げていく機運を高め、灯台を訪れる人が増えることで、海への関心を高めていくことを最終目的としています。
全国4カ所の上映会は、東京都は渋谷区円山町のユーロライブ、神奈川県は三浦市三崎町の城ヶ島区民センター、兵庫県は神戸市中央区の専門学校神戸カレッジ・オブ・ファッション、長崎県は長崎市伊王島のやすらぎ伊王島、でそれぞれ開かれました。いずれも日本ロマンチスト協会の支部がある場所です。
完成したショートフィルムは、「灯台さん」(脚本・監督:鶴岡彗子さん)、「逆流竹取物語」(同:大河原恵さん)、「灯りのともす先」(同:田嶌直子さん)の3作品です。「灯台さん」は静岡県下田市の爪木埼灯台、「逆流竹取物語」は神奈川県三浦市の安房埼灯台、「灯りのともす先」は千葉県勝浦市の勝浦灯台、が撮影地になりました。
東京会場では上映に先立ち、日本財団代表による主催者あいさつ、日本ロマンチスト協会の代表と日本財団代表が司会者の質問に答える形での話、3作品それぞれの女性監督とプロデューサーの紹介がありました。
日本財団ソーシャルイノベーション本部海洋チームの有川孝チームリーダーは、主催者あいさつと質問形式の話の中で「灯台は船にとって非常に大切な道しるべです。とても大事なのに、なかなかスポットが当たらない灯台を、いろいろな切り口で見てもらい、少しでも海への関心を持ってもらうために始めたのが『恋する灯台プロジェクト』です」と説明しました。
日本ロマンチスト協会の波房克典会長は同じ質問形式の話の中で、同協会の歩みについて説明し「もっと夢をみることが大事だ」との考えに基づき、現在会員が1600人ほどの大所帯になっていると紹介しました。その上で波房会長は「灯台はどこも最果ての場所にあります。本当に岬の先端にあって何もない。でもこの何もない最果て感が男女2人の中をぐっと近づける。灯台に行ってみてください。この世界は君と僕しかいない、という空間を堪能できます。天気のいい日に、灯台の白と、海の青と、空の青、このコントラストが非常に美しいので、地球スケールの愛を感じると思います」と呼び掛けました。
今後の活動について波房会長は、日本財団との「恋する灯台プロジェクト」の中で、今回「恋する灯台」にふさわしい国内21カ所を選び、その灯台のある自治体を「恋する灯台のまち」と認定させてもらったと説明。その「恋する灯台のまち」で、灯台を基点したデートコースを12月初旬めどに開発し旅行プランにするなど、来年以降も「恋する灯台のまち」「恋する灯台」の仲間を増やし、広がりをつくっていきたいと抱負を述べました。
この後、3人の女性監督のプロフィールが紹介され、「普段隠しているロマンチックな部分を押し出してみようと思った」(鶴岡監督)、「灯台をいかに巻き込んで作っていくか」(大河原監督)、「灯台が背景にあるだけでなく、物語の中の軸になるように」(田嶌監督)と、それぞれの監督が作品制作のこだわりについて披歴しました。竹本宣彦プロデューサーは「今回映画を作るのに当たって、ロマンスの聖地を目的としているので、女性ならではの視線、感性を盛り込んだほうがいいのではないか、ということで3人の方にお願いしました」と経緯を話しました。
最後に3作品が順次上映され、1作品ずつ監督、出演者を交えたトークショーが行われました。作品によっては台風による強い雨の中で撮影を強行したとのエピソードも披露されました。
「恋する灯台プロジェクト」では、恋する灯台フォトコンテストも開催、東京会場では「恋する灯台」に認定された21灯台の写真とフォトコンテスト優秀作品のパネルを設置、併せて上映画面でも紹介しました。
日本初の洋式灯台である観音埼灯台(神奈川県横須賀市)の起工日(1868年11月1日)にちなみ、海上保安庁は11月1日を「灯台記念日」と定めています。
「海と日本プロジェクト」は、日本人の暮らしを支えてくれている海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人たちが自分のこととしてとらえ、海を未来へ引き継ぐ行動の輪を広げていくため、日本財団が先頭になり、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
●海と日本PROJECT ウェブサイト
●恋する灯台プロジェクト ウェブサイト
●日本ロマンチスト協会 ウェブサイト
- 日本財団は、1962年の設立以来、福祉、教育、国際貢献、海洋・船舶等の分野で、人々のよりよい暮らしを支える活動を推進してきました。
- 市民、企業、NPO、政府、国際機関、世界中のあらゆるネットワークに働きかけ、社会を変えるソーシャルイノベーションの輪をひろげ、「みんなが、みんなを支える社会」をつくることを日本財団は目指し、活動しています。
- 関連記事
- 「これも学習マンガだ!」-楽しさや分かりやすさを学びのきっかけに
- 「もっと海に興味を」ポスターコンテストに2148作品が応募
- 「横浜うみ博2016」開催―12,000人が海洋都市の魅力を体験
- 海洋人材の育成に向けて、国際シンポ開催
- ソーシャルイノベーション関連記事一覧