「横浜うみ博2016」開催―12,000人が海洋都市の魅力を体験 (2016/8/9 日本財団)
産官学連携イベント、来場者12,000人
多彩な海の魅力をたっぷり体感
多彩な海の魅力を子どもから大人までたっぷり体感してもらおうと7月22日(金)、23日(土)の両日、横浜市で海洋都市横浜をアピールする初の催し「横浜うみ博2016」が開かれました。海洋開発をテーマとした産官学連携のイベントです。横浜港の大さん橋国際旅客ターミナル内にある大さん橋ホールをメイン会場にして、日本郵船歴史博物館、日本郵船氷川丸、帆船日本丸・横浜みなと博物館、三菱みなとみらい技術館、横浜・八景島シーパラダイスなど市内9施設のサテライト会場と併せて開催され、主催者発表によると、メイン会場だけで約1万2千人の来場者でにぎわいました。
横浜は江戸時代末期の開港以来「港」とともに発展してきました。今も「海洋」に関する多くの企業や大学、研究機関、官公庁が立地しています。この特徴を生かして、教育・研究・産業などの活動の拠点となり、海の可能性を身近に感じることのできる「海洋都市横浜」の実現を目指して、横浜市などの団体・企業が2015年9月「海洋都市横浜うみ協議会を」設立しました。発足時20団体、その後6団体が加わり、現在は26団体で構成しています。その取り組みの一環として今回、日本財団の特別協力を得て横浜うみ博を初開催しました。
初日の開会式で海洋都市横浜うみ協議会会長の渡辺巧教・横浜市副市長は「このイベントを皮切りに、海に対する理解・関心を高める取り組みや、海の環境保全、海洋産業の振興などの取り組みを、より一層進めていきたい」と主催者あいさつをしました。続いて内閣官房総合海洋政策本部事務局の橋本道雄・内閣参事官が「この協議会が中心となって海洋に関する新しいビジネス、カルチャー、そしてイノベーションが、この横浜の地から生まれ、また世界に向けて発信していくことを大いに期待しています」と祝福。日本が引き続き海洋立国であり続けるためには、海を知り、海を生かす術を身に付けた優秀な人材が不可欠だと指摘し、優秀な人材を活用するためには、海洋問題の裾野を広げ、人材の層を厚くするための教育や啓もう活動が重要だと訴えました。
午後の講演会では、国立研究開発法人・海洋研究開発機構(JAMSTEC)、横浜国立大学など日本を代表する研究機関や大学、そして横浜に拠点を置く企業の各代表者が、それぞれ海洋分野への最先端の取り組みや海洋都市横浜の展望を紹介しました。
大さん橋には商船三井客船のクルーズ船「にっぽん丸」が着岸、22日午後5時の出港に先立ち、乗船客が投げた紙テープを大さん橋側でキャッチしようという連携イベントが催されました。23日には無人探査機「かいこう」を搭載した深海調査研究船「かいれい」の一般公開が大さん橋で実施されました。暗く、強い水圧のかかる深海のなぞを解明するため最前線で研究を進めている注目の船を見るため、たくさんの人が船内見学を楽しんでいました。東京湾の航路測量や海上パトロールなどで活躍中の航路調査船「べいさーち」の船内見学会も2日間にわたって行われました。
大さん橋ホールのステージでは2日目の23日も海の魅力を紹介する多彩なプログラムが展開されました。人気のさかなクンが登場する「みんな大好き!さかなクン!」のプログラムは2回にわたって実施され、いずれも先着200人に座席観覧整理券を配布するほどで、立ち見の人を含めステージの周りは超満員でした。さかなクンは魚の絵を次々と鮮やかに描きながら、魚の魅力や海や川の環境問題などを分かりやすく解説していきました。横浜・八景島シーパラダイスの飼育員がペンギンの魅力を説明するプログラムも、子どもたちの関心を大いに集めていました。
海洋研究開発機構(JAMSTEC)のブース。子どもたちは水圧実験に興味津津。深海を模した高圧の中では、発泡スチロールのカップが小さく縮んでしまいました
海洋開発、海洋レジャー、海洋教育、海洋研究、行政の5分野のブースでは計23団体が両日にわたって、工夫を凝らした企画や催しを実施しました。子どもたちは、水圧が強まれば強まるほど発泡スチロールのカップが小さく縮んでしまう水圧実験に興味津々。海辺の生き物タッチプールのコーナーでは、ネコザメ、ドチザメ、アカエイ、ナマコ、ヒトデを直接触り、そのざらざら、ぬるぬる感に、びっくりした声を上げていました。横浜港に係留されている日本郵船氷川丸に伝わるドライカリーなど「横浜の美味しいもの」のほか、東日本大震災の復興支援として福島県の特産品も販売されていました。
今回のイベントは、日本財団、総合海洋政策本部、国土交通省が先頭に立って全国で推し進めている「海と日本PROJECT」の一環です。「海と日本PROJECT」は、子どもたちをはじめ全国の人たちが、海で進行している環境の悪化などの現状を自分のこととしてとらえ、大切な海を未来に引き継いでいくことを目的とした活動です。
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