海の日国際シンポ―「法の支配」を共有する国々の協力を (2016/7/26 日本財団)
海の日の7月18日、「海の日」行事“海と日本プロジェクト”の総合開会式が東京港・晴海埠頭の客船ターミナルで開催されました。海の日は今年で21回目。これを皮切りに「海と日本プロジェクト」と銘打った125の関連行事など多彩な催しが全国43都道府県で開催される予定で、海に対する国民の関心の盛り上がりが期待されています。
総合開会式は総合海洋政策本部、国土交通省、日本財団の共催。全国から400人の小中高生らが招待されました。冒頭、島尻安伊子・海洋政策担当大臣は「海の平和利用は万人の権利。海洋を人類共通の公共財として守っていくため国境を越えた連帯を進めていきます」と挨拶(代読)。安倍晋三首相もメッセージを寄せ、海洋教育の強化に向け産学官のオールジャパンによる推進組織「日本学びの海プラットフォーム」を立ち上げ、2025年までにすべての市町村での海洋教育の実現を目指す考えを明らかにしました。
石井啓一・国土交通大臣は「観光立国には海を通じた観光も重要」として昨年100万人を突破したクルーズ旅行の振興を図る考えを述べ、日本財団の笹川陽平会長は「世界の人口が70億人を突破、世界中で魚の取り合いが起きており、このままでは30年後に日本近海で採れる魚は半分になる」などとして、会場の小中高生に海に興味を持つよう語り掛けました。
この後、海上保安庁の巡視船「いず」で昨年10月に開講した修士プログラム「海上保安政策過程」1期生による成果報告。プログラムには日本、フィリピン、マレーシア、インドネシア、ベトナムの海上保安機関の初級幹部計10人が参加、3月まで政策研究大学院(東京)、4月以降は海上保安大学校(広島県呉市)で国際法や国際関係論などを学び、8月末に修士論文を提出する予定です。
冒頭、笹川会長は「法の支配」を共有する国々で海の問題を解決していく必要性を指摘、これに対しフィリピン沿岸警備隊のタリエラ・ジェイ大尉は「海洋法や国際法の理解を深めることができた。海の守りは国だけでなく、広域な国際協力の必要性も認識できた」と語りました。
またベトナム沿岸警備隊のドー・ヴァン・ミン大尉は米国での研修にも参加した経験を基に「今回のプログラムでは、さらに高いレベルの知識を得ることができた。帰国後、沿岸警備に生かしたい」と述べ、石井国交大臣は「海は国と国を結ぶ回廊。一国だけで対応するのは不可能」と指摘し、各国の協力の必要性を強調しました。
この日は関連イベントとして晴海旅客船ターミナルビル2階で「海の恵み」、「日本の魚をまもるために」と題したセミナープログラムや商船三井名誉船長のイラストレーター柳原良平さんのリトグラフ作品展が開かれ、客船ターミナル前の埠頭には帆船「海王丸」、「日本丸」や一度に5,000台以上の車を積載できる自動車運搬船「AQUAMARINE ACE」、深海潜水調査船支援母船「よこすか」など9隻が公開され、30度を超す炎天の中、小中学生や親子連れが写真撮影などに汗を流しました。
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