再犯防止を目指す職親プロジェクト4番目の拠点、和歌山に (2016/8/2 日本財団)
「企業でも再犯防止に貢献できる」
建設業、学習塾など15社が協力
刑務所・少年院出所者に職場を提供する「職親(しょくしん)プロジェクト」を進める日本財団は7月15日、新たに「職親プロジェクト和歌山」を立ち上げました。大阪、東京、福岡に続く4番目の拠点。呼び掛け人である株式会社信濃路の西平都紀子代表は「社会を変えることは難しいが、再犯率を一人でも減らすことは私たち企業にもできます」と決意を語っています。
西平代表は日本財団の職親プロジェクトに参加する前から、協力雇用主として刑務所・少年院出所者を信濃路の職場に受け入れてきました。経験を基に和歌山県内の企業に協力を呼び掛けた結果、15社が参加、20社が協力する大阪に次ぐ規模の拠点となりました。
発足式は和歌山市内のホテルで行われ、協力企業や刑務所・少年院の関係者ら約40人が参加。冒頭の挨拶で日本財団の尾形武寿理事長は「3年間プロジェクトを行ってみて解決すべき問題が顕在化してきました。再犯はそれぞれの人に特有の理由がありますが、自分の居場所があるかないかで大きく違います」「今は点ですが、サテライト形式で他の地域にも広がり、日本全体に定着することを夢見ています」と今後の抱負を述べました。
職親プロジェクトの立ち上げ当時から関わっている株式会社千房の中井正嗣代表は「簡単にここまで来たわけではありません。心が折れそうになることも随分ありました。成功、失敗を含めてお互い励まし合ってきました」と参加企業の連携の大切さを指摘しました。
発足式の後、西平代表は「多くの企業の協力で出所者の仕事の選択肢も広がります。多数のメディアの取材を受け、情報の広がりも期待できます。皆で頑張っていきたい」と笑顔で語りました。
参加企業15社は飲食業、建設業、学習塾、タクシー会社などで、これにより全国で職親プロジェクトに参加する企業は計55社になりました。日本財団ではさらに神奈川などでも拠点づくりを進めるほか、6月からは、これまで年2回だった求人も随時募集に切り替え、再犯防止に向けた取り組みを一段と強化する考えです。
日本では、この10年犯罪件数が減少する一方で、同じ人が罪を繰り返す割合は増加し続けています。しかし、「職場」の有無で再犯率が減ることが法務省の調査で分かっており、就労支援が鍵となっています。法務省は、2014年に出所者を受け入れる企業に対して就労奨励金支給制度をスタートし、再犯防止に力を入れています。
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