第5回政治山調査「都知事選・衆院選に関する<緊急>意識調査」 【分析】Part3 (2012/10/31 政治山)
Part3は、石原氏が出馬を表明した「近いうちに」行われる衆議院選挙について聞いた調査の結果を紹介する。ここでは、現在の支持政党から政党や候補者に期待することなど、民主党の支持率低下や新勢力の台頭といった大きな変化が予想される衆議院選挙で何が求められているのかを見ることができた。
[関連ページ] 調査概要/【分析】Part1/【分析】Part2
既存政党から石原新党が票を奪う?
現在の支持政党を聞いた回答がグラフ5だ。約6割が「支持政党なし」だった。政党別では、自民党が12.5%でトップ。次いで、石原新党(7.0%)、民主党(4.7%)、日本維新の会(4.5%)と続く。すでに、石原新党がある程度の支持を集めており、都民の期待度が高いことがわかる。これは、次の問いである「次の衆議院総選挙で、あなたはどの政党の候補者に投票しますか?」でより顕著となった。
グラフ6がその結果だ。政党別では、自民党を抜き、石原新党がトップとなった(11.8%)。グラフ5の現在の支持政党から投票先の調査で数字を伸ばしたのは、石原新党のみ。今後の活動や打ち出す政策によっては、「近いうち」に実施される衆議院選で台風の目になる可能性が見えてきた。
数字を細かく見てみよう。グラフ5からグラフ6へもっとも数字を減らしたのは自民党で1.6ポイント減。そのほか、民主党は1.3ポイント、みんなの党が1.4ポイント、日本維新の会は0.6ポイント、それぞれ減らしている。この結果は、まだ見ぬ石原新党が、既存政党と肩を並べ、すでに同格と見られ始めている可能性を示唆している。今回の数字の動きは、1つひとつを見ると小さな差だが、今後の動向次第ではさらに大きな流れになることも考えられ、こうした調査を続けていく必要があろう。
有権者は「実行力」と「政策」を注視
候補者に投票する際に何を重視するのかを聞いた結果がグラフ7である(複数回答可)。もっとも重視されるのは、61.6%が選択した「実行力」だった。「政策」が52.0%で続く。5割を超えたのは、この2つ。続いて、「思想・信条」(35.8%)、「実績・経験」(22.1%)、「発言力」(21.5%)と順に並ぶ。こうした項目は、石原氏をはじめとする、いわゆるベテラン議員が得意とする部分とも言える。
また、自由記述の「その他」には、「嘘をつかないこと」「誠実さ」「清廉潔白」など、候補者の人柄そのものを重要視するとの意見が多かった。こうした部分をどうアピールしていくかも、今後の選挙戦を大きく左右しそうだ。
「経済」と「外交」で引っ張るリーダーが求められている
今回の調査では、次の衆議院総選挙で、政党や候補者に期待すること、重視する政策を自由記述で回答していただいている。具体的な意見や政治家たちへの“注文”など、実に多くの回答を得た。
圧倒的に多かったのが、「景気回復」「デフレ脱却」「経済回復」「雇用問題」「財政再建」といった経済問題への期待だ。「景気回復にはどうすればいいかを真剣に考えていただきたい」「とにもかくにも、経済の立直し」といった意見が大勢を占めている。また、「消費税問題」や「税制改革」なども多く取り上げられていた。
また、比較的目立ったのが、「外交問題」「領土問題」である。「国際的に日本の立場を強く発言すること」「外国に対して毅然とした態度で日本の立場を表明すること」「中国や韓国との領土問題の解決」を期待する声が多く聞かれた。この問題と関連して、「外国人参政権反対」「在日外国人に対する生活保護廃止」「日本国籍を持つ日本人のための政治」などといった意見のほか、「外国(特に中国や韓国など国として反日政策を行っている国家)へのさまざまな面での支援の廃止」「中国や韓国と相互依存しない経済関係を確立してもらいたい」などの“要望”も少なくなかった。巷間囁かれる、さまざまな外交問題から端を発した国内の“右傾化”の現れだろうか。
このほかで多かったのが、「原発などのエネルギー政策」。「原発の事故の処理」「脱原発を実行するのかどうか、はっきりとした政策」「原発に対する姿勢、エネルギー政策に対する長期的展望」を期待する声だ。はっきりとした方針を示せていない政府に対する不満が蓄積されている様子がうかがえる。
今回は自由記述のため、実に多様な意見・期待が寄せられた。以下に、象徴的な意見や特徴的な回答の一部をご紹介する。
- 有言実行。リーダーシップとスピード感
- マニフェストを遵守する候補者・政党であること
- 安心安全な暮らしが保障される具体的な政策
- 官僚の掌で踊らされる傀儡ではなく、自分の頭で考え、判断し、行動してほしい
- もっと勉強しなくては駄目だ。政治家としての資質に欠ける連中が多すぎる
- 期待できる政党・政治家はいない
- 自分の金儲け主義や地位を守るためでなく、本気で国や街を作ることを考えられる人
- 目標やビジョンを掲げ、それに向かって努力する政党や候補者を応援する
- きちんと日本国民と国益を考えているか
- 短期的な政策ではなく、長期的な視点に立っている政治家
- すぐやめない政党、政治家
- 選挙前公約を守れる政党、人物
- 混迷の政界を再編し、1人の政治家としてしっかりとした日本の立場を示せる方々
- 嘘をつかないこと
- 本当の政治力を見せてくれる政党に政権を執ってもらいたい
- 給料ゼロでも国と国民に奉仕できる根性のある人。最低限の衣食住だけに耐えてもこの国を良い方向に変えたいと思っている人以外いらない
- 強いリーダーシップを発揮できる人
- 口だけではなく有言実行の候補者に任せたい。できないことではなく、できることを地道にやってくれる候補者に期待したい
- 本当の意味で国民を大事に国民の事を考えた政治を実行して欲しい。税金のむだ使いだけはやめてほしい
- 議員は世襲でもよいが、能力のないものは排除されるシステムを作ることができること
(政治山:二木頼之)
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<お知らせ>
政治山では2012年11月1日、インターネット意識調査サービス「政治山リサーチ」をスタートします。今後も、「政治山リサーチ」を活用し、政治・選挙に関する調査や社会問題に関する調査など、さまざまな調査・分析報告を行っていく方針です。ご期待ください。