第5回政治山調査「都知事選・衆院選に関する<緊急>意識調査」【分析】Part1 (2012/10/31 政治山)
政治山では、去る10月25日の石原慎太郎都知事の辞任および衆議院出馬会見を受け、緊急企画として、11月1日にサービス開始予定のネット意識調査「政治山リサーチ」を活用し、都知事選・衆院選に関する意識調査を実施した。対象は都内在住の20歳以上の男女。都知事選に向けた投票意識や次期都知事へ期待することなどのほか、衆院選での候補者選びのポイントなどを詳細に聞いた。ここでは、Part1で都知事選に関する意識調査を、Part2で石原都政への評価を、Part3で衆議院選に関する調査結果を紹介する。
[調査概要] 調査方法や回答者属性はこちらをご覧ください。
[調査結果] 【分析】Part2/【分析】Part3
投票先調査と得票率の差はなぜか?
それではまず、前回の都知事選挙でどの候補者に投票したかを聞いた設問から見ていこう(グラフ1)。基本的に、2011年4月10日の選挙結果を反映したものとなった。石原慎太郎氏が40.0%でトップ。続いて、東国原英夫氏、渡辺美樹氏、小池晃氏の順に並ぶ。
ただ、こうした結果は、順位はともかく、割合で見ると実際の得票率とは違うものとなっていることに気づく。実際の得票率は、石原氏は43.40%と近似値 ながら、東国原氏28.1%、渡辺氏16.8%、小池氏10.4%と、今回の結果と乖離している。これは、「投票していない」「覚えていない」が計34.2%と、約1/3も占めていることが影響していると考えてよいだろう。
石原氏へ投票した人の比率の乖離が少なく、2位以下の候補者の乖離が大きくなっているのは、石原氏が現職であったこともあるが、支持者が明確な意思を持ち、積極的に投票行為を行ったのに対し、2位以下へ投票した人の一部は今回、12.0%を占めた「覚えていない」と回答した可能性がある。こうした“積極的投票者”といわゆる“浮動票”の動きが、今回も結果に大きな影響を及ぼすかもしれない。この件に関しては、関連結果を次ページでも分析しているので参考にしていただきたい。
まだ見ぬ“石原新党”がトップ
次に、12月16日に行われる都知事選で、どの政党から公認または推薦をうけた候補者に投票するかを聞いた設問を見てみる(グラフ2)。1位を獲得したのは、12.2%の「石原氏が立ち上げる新党」(以下、石原新党)だった。まだ活動実績どころか実態もない政党がトップを取った。もちろん、「現時点では分からない、決めていない」が過半となっていることを鑑みる必要はあるが、“政党”の中では一番、期待値が高いことになる。
次いで支持が多かったのが、7.3%の自由民主党。都議会で最大会派の民主党は2.1%となり、日本維新の会(3.0%)、日本共産党(2.4%)よりも下位に位置した。今回の都知事選だけでなく、来年(2013年)7月に控える都議選でも、大きな変化を予想させる結果となっている。
ここでもう1つ注目したのは、「政党の公認・推薦は受けない候補者」「政党の公認・推薦は投票する際に考慮しない」という回答だ。それぞれ1.4%、9.9%となっており、計11.3%を占めた。ちなみに、この11.3%の人が、支持政党を聞いた設問でどのような回答をしているかを調べたところ、 67.8%の人が「支持政党なし」を選択していた。逆に、32.2%の人が支持政党を示しながら、政党の公認や推薦を否定もしくは必要としないと回答したことになる。
次の都知事に期待することは?
今回の調査では、「事前調査」で「投票には行かない」と回答した(投票先を選択した)人を除いた方々に「本調査」を実施している。この本調査で、「次の都知事が就任後、まず取り組むべきこと」を聞いたので紹介しよう(グラフ3)。
知事が取り組むべきものでもっとも多かったのは「少子・高齢化問題」で21.3%。次いで「医療・福祉の改善」(18.1%)、「教育問題」(9.3%)と、ベスト3は生活に関するテーマが入った。続いて、「オリンピック誘致」が8.9%で4番目に来ている。この「オリンピック誘致」に関しては一方で、自由記述だった「その他」の回答で「オリンピック誘致の中止」も数多く見られた。また、3.4%の「築地市場移転」も、自由記述で「即時計画中止」などが散見され、これら問題が都民の中でも意見が分かれていることをうかがわせた。
このほか、「その他」の自由記述では、「雇用問題改善」「震災対策」「生活保護問題」なども目立っており、「都」と言うよりも今の日本が抱える課題・問題とも言える内容も見られている。また、「尖閣寄付金の処理」も少数ながらあった。
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次ページのPart2では、今回の石原氏の辞任・国政転身への評価や、これまでの石原都政の評価などを調査した結果を報告する。