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第38回政治山調査「安倍政権3年半、消費増税とマイナンバーは過半数が評価せず」 (2016/6/2 政治山)

関連ワード : 参院選 参院選2016 安倍内閣 調査 

 2012年12月の発足からおよそ3年半、安倍政権は国民からどのように評価されているのでしょうか。政治山では、政権運営と政策課題への取り組みに対する評価が、来る参院選にどのような影響を及ぼすのか、全国の18歳以上の男女を対象に5月20月から5月25日まで、インターネット意識調査「政治山リサーチ」を用いた調査を実施しました(回答数2198)。今回はその概要をお届けします。

42.3%が政権運営に否定的、特に女性は厳しく

 まずはじめに、「2012年12月の安倍政権発足から3年半、この間の政権運営をどのように評価しますか?」との問いに対して、「評価する」8.1%と「どちらかというと評価する」15.6%を合わせて23.7%が肯定的でしたが、「評価しない」24.6%と「どちらかというと評価しない」17.7%を合わせた42.3%が否定的でした(グラフ1)。

 これを回答者の性別ごとに見てみると、「評価する」または「どちらかというと評価する」と回答した男性は29.0%なのに対し、同様の回答をした女性は18.2%にとどまり、男性よりも女性の方が厳しい評価をしていることがうかがえました。

(グラフ1)安倍政権への評価

観光政策のみ「評価する」が上回る

 次に、「安倍政権が推進した以下の政策や事業について、それぞれ評価をお聞かせください」とたずねたところ、「評価する」または「どちらかというと評価する」との回答がもっとも多かったのは「観光政策」28.9%で、「外交・安全保障政策」23.6%、「TPP推進」20.6%、「経済政策」20.1%と続きました(グラフ2)。

 反対に「評価しない」または「どちらかというと評価しない」との回答は「消費増税」56.7%と「マイナンバー導入」54.1%では過半数を占め、それに「プレミアム商品券」44.4%が続きました。全10項目のうち、肯定的な評価が上回ったのは「観光政策」のみという結果となりました。

(グラフ2)安倍政権が推進した政策や事業への評価

消費増税、プレミアム商品券、年代によって異なる評価

 上記の問いに対する回答を年代別に見てみると、以下の項目で特徴的な傾向がうかがえました(グラフ3)。

 「消費増税」については40代と50代で否定的な評価が6割を超えましたが、18-19歳では45.5%で15ポイント以上の差が見られました。また、「プレミアム商品券」では50代の否定的な評価は6割を超えましたが、18-19歳では26.7%と半数以下にとどまりました。

 さらに「女性活躍推進」については30代から50代では約45%が否定的で、肯定的な評価15%前後と比べると大きな差がありましたが、18-19歳では否定的な評価は27.8%にとどまり、肯定的な評価26.2%とほぼ肩を並べました。

(グラフ3)安倍政権が推進した政策や事業への評価(年代別)

民進党の支持率は、民主+維新にはならない

 続いて、普段の支持政党をたずねたところ、「自由民主党」が18.0%と突出して高く、次いで「日本共産党」が4.3%、「民進党」は「おおさか維新の会」と並んで3.8%でした(グラフ4)。

 2016年1月の政治山調査と比較してみると、自民党は24.3%から後退していますが、民主党の4.9%と維新の党の1.6%を合わせた6.5%に、民進党は及んでいません。

 自民・公明を合わせた19.6%と民主・共産・社民・生活4党を合わせた10.2%、自公優勢に見えますが4割超は支持政党なしと回答しており、新たな政党名と野党統一候補がどこまで浸透できるかがカギとなりそうです。

(グラフ4)支持政党

投票の際に重視するのは、経済政策と消費増税

 次に、「投票先を決める際に重視するテーマ・政策課題を3つまでお選びください」との質問への回答は、「経済政策」35.4%がもっとも多く、「消費増税」26.8%、「社会保障改革」20.0%、「少子高齢化対策」19.5、「教育・福祉」19.1%が続きました(グラフ5)。

 この回答結果を政権運営に対する評価別に見てみると、「評価する」または「どちらかというと評価する」と回答した人は「経済政策」「外交・安全保障」「TPP推進」を重視する傾向が強く、反対に「評価しない」または「どちらかというと評価しない」と答えた人は「消費増税」「教育・福祉」「エネルギー政策」を重視する傾向がうかがえました。

(グラフ5)投票先を決める際に重視するテーマ・政策課題(安倍政権への評価別)

 今回の調査結果では安倍政権への厳しい評価が際立ちましたが、期待の受け皿となる別の選択肢が十分でないことも明らかとなりました。参院選は政権選択の選挙ではありませんが、実施時期が決まっていることに加え選挙期間も長いため、各党の公約や政策をじっくり吟味することができます。3年前の公約とも比較しつつ、厳しい目で政党と各候補者を見極め、投票に行きましょう。

衆議院議員選挙2014「マニフェスト・公約 比較表」
参議院議員選挙2013「マニフェスト・公約 比較表」

本調査レポートについて

本調査の詳細なレポートでは、性別や年代、地域別や職業別、各設問間のクロス分析の結果と自由記述による回答もご紹介しており、「政治山会員」の方は会員ページにてご購入いただけます。

<調査概要>

調査対象者 全国の18歳以上の男女
回答者数 2,198人
調査期間 2016年5月20日(水)~5月25日(月)
主な質問
【全体集計結果】
対象の属性(性別・年代・地域・職業・未既婚・子供の有無)
Q1 2012年12月の安倍政権発足から3年半、この間の政権運営をどのように評価しますか?
Q2 安倍政権が推進した以下の政策や事業について、それぞれ評価をお聞かせください。
外交・安全保障政策/観光政策/TPP推進/経済政策/
プレミアム商品券/マイナンバー導入/女性活躍推進/
エネルギー政策/労働者派遣法改正
Q3 あなたは普段、どの政党を支持していますか?
Q4 あなたは今度の参院選で、どの政党に投票しようと考えていますか?
Q5 投票先を決める際に重視するテーマ・政策課題を3つまでお選びください。
経済政策/消費増税/社会保障改革/少子高齢化対策/
教育・福祉/雇用対策/外交・安全保障/憲法改正/
エネルギー政策/震災復興/環境問題/災害対策/
女性活躍推進/TPP推進
以下は自由記述、回答者のみ
Q6 Q1で、あなたがそのように考える理由を、具体的にお聞かせください。
Q7 選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられることについて、あなたの考えをお聞かせください。
【クロス分析結果】
「性別」「年代」「地域」「職業」と、Q1~Q6との関連性
Q1の回答結果とQ2~Q6との関連性
調査手法 インターネット調査(政治山リサーチ)
調査実施機関 株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー

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<著者> 市ノ澤 充
株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー シニアマネジャー
政策シンクタンク、国会議員秘書、選挙コンサルを経て、2011年株式会社パイプドビッツ入社。政治と選挙のプラットフォーム「政治山」の運営に携わるとともにネット選挙やネット投票の研究を行う。政治と有権者の距離を縮め、新しいコミュニケーションのあり方を提案するための講演活動も実施している。
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