第37回政治山調査「投票に行く人の3人に1人が選挙ポスターを重視」読売IS合同調査より (2016/4/22 政治山)
2016年7月に実施される予定の参院選に向けて、18歳選挙権や主権者教育、期日前投票所の運用拡大など、投票率向上の取り組みが急ピッチで進められています。有権者が投票先を選ぶ際に重視する情報は、昨年の統一地方選挙の際の政治山調査では「選挙公報」28.1%がもっとも多く、「政策チラシやパンフレット」21.8%、「新聞報道」16.5%、「街頭演説」14.9%、「テレビ報道」14.4%、「選挙ポスター」13.7%と続きました(グラフ1)。
選挙公報は期日前投票に間に合わない?
しかし実際には、選挙公報は公示日から1週間ほどで各世帯に届くケースが多く、法令上は投票日の前々日に届けることと定められているため、拡大する期日前投票を利用する人の多くは、選挙公報を目にしないまま投票することになります。
また、チラシやパンフレット、街頭演説も実際に目にする有権者は多くなく、選挙期間中は報道が制限を受けるため、万人に情報を届けるという点で「選挙ポスター」は有用なツールであることが分かります。
そこで政治山では、選挙ポスターの作成で豊富な経験と実績を誇り、折込広告取扱高No.1企業でもある株式会社読売ISと「選挙ポスターに関する意識調査」を合同で企画、全国の18歳以上の男女を対象に3月18日から3月25日まで、インターネット意識調査「政治山リサーチ」を用いた調査を実施しました(回答数2198)。今回はその概要をお届けします。
18歳選挙権、投票率は他の若年層より高くなるか
まずはじめに、「あなたは、選挙が行われた際、どの程度投票に行きますか?」との問いに対して、「毎回必ず行く」と回答したのは33.4%で、「できる限り行く」26.8%とあわせておよそ6割が投票に対して積極的であることがうかがえました(グラフ2)。
これを回答者の年代別に見てみると、「毎回必ず行く」と答えた人は50代42.1%、60歳以上60.2%と年代が上がるにつれて増える傾向がみられましたが、18~19歳で「これまで選挙権がなかったがこれからは行く」と回答したのは30.5%で、「毎回必ず行く」と回答した20代28.0%と30代26.6%を上回る結果が得られました。
投票に行く人ほど選挙ポスターを重視する傾向
次に、投票先を決める際、選挙ポスターをどの程度重視するかたずねたところ、「とても重視する」6.1%と「やや重視する」19.3%をあわせて25.4%、4人に1人が重要な情報源として認識していることが分かりました(グラフ3)。
これを先の問いで聞いた、投票に行く頻度と掛け合わせてみると、「毎回必ず行く」と回答した人の34.2%、「できる限り行く」と回答した人の30.9%が「とても重視する」または「やや重視する」と答えており、実際に投票に行く人ほど選挙ポスターを重視する傾向がうかがえました。
年代によって異なる「良いポスター」
続いて、どのような選挙ポスターに良い印象を受けるか、3つまで選んでもらいました(表1)。回答がもっとも多かったのは「候補者の政策が分かる」23.3%、次いで「候補者を推す政党や団体が分かる」20.6%と「候補者の理念が分かる」20.4%が20%を超え、「メッセージが分かりやすい」19.8%、「候補者の顔がよく分かる」18.9%と続きました。
これを回答者の年代別に見てみると、40代以上では「候補者を推す政党や団体が分かる」と答えた人が25%を超え、30代以下の平均値を10ポイント以上上回りました。また、18~19歳は「候補者の理念が分かる」24.9%、「キャッチコピーが分かりやすい」19.9%、「候補者の人柄が分かる」18.8%といった要素を他の年代よりも重視する傾向が見られました。
「笑顔は歯を見せて」とくに女性に好印象
今回の合同調査では選挙ポスターのサンプルを用いてABテストを実施し、実際にどのようなポスターが、性別や年代別ごとのどういった層に印象が良いのかを探りましたが、最後にその一例を紹介します。
上記2つの画像を並べて表示して「あなたは、どちらのポスターを見て『この候補者に投票したい』と思いますか?」とたずねたところ、全体ではA53.6%:B20.7%:どちらとも言えない25.6%と、32.9ポイントの大きな差異が見られました(表2)。
歯を見せて笑うことで印象が良くなることは知られていますが、その傾向が顕著に表れています。さらにこの結果を性別ごとに見てみると、男性の場合はA48.1%:B21.0%と全体よりも差異が小さくなり、女性の場合はA59.2%:B20.5%と差異が大きくなることが分かりました。
今回の調査結果を通じて、実際に投票に行く人にとって、選挙ポスターは今もなお重要な情報源であることが分かりました。と同時に、ただ目立てばいいのではなく、政党や候補者ごとに、どのようなメッセージを、誰に届けるべきなのかを吟味しなければ十分な効果を発揮しないこともうかがうことができました。
3年前のネット選挙解禁によってインターネット上に情報は氾濫するようになったものの、買い物の道すがら、投票所に行く途中、投票前の最後に目にするオフィシャルな情報として、選挙ポスターはこれからも投票行動に影響を及ぼしていくことが予想されます。
本調査レポートについて
本調査の詳細なレポートでは、性別や職業などの属性と各設問とをクロス集計した結果もご紹介しており、「政治山会員」の方は会員ページにてご購入いただけます。
<調査企画>
株式会社読売IS
〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町3-9-1
TEL 03-5847-1610 FAX 03-5847-1611
http://www.yomiuri-is.co.jp/
株式会社パイプドビッツ
〒107-0052 東京都港区赤坂2-9-11 オリックス赤坂2丁目ビル2階
TEL 03-5549-1740 FAX 03-3585-0620
http://www.pi-pe.co.jp/
<調査概要>
調査対象者 | 全国の18歳以上の男女 |
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回答者数 | 2,198人 |
調査期間 | 2016年3月18日(金)~3月25日(金) |
主な質問 |
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調査手法 | インターネット調査(政治山リサーチ) |
調査実施機関 | 株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー |
- <著者> 市ノ澤 充
- 株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー シニアマネジャー
政策シンクタンク、国会議員秘書、選挙コンサルを経て、2011年株式会社パイプドビッツ入社。政治と選挙のプラットフォーム「政治山」の運営に携わるとともにネット選挙やネット投票の研究を行う。政治と有権者の距離を縮め、新しいコミュニケーションのあり方を提案するための講演活動も実施している。
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