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特集「ネット選挙元年2013」

ネット選挙解禁でどう変わるのか?<有権者編>3/3

解禁するためのハードルと対応策

 ネット選挙運動の解禁に慎重な意見として、「デマを含む誹謗中傷」や「なりすまし」のリスクを指摘するものがあります。特にSNSの普及によって、ネット上では情報が爆発的な勢いで拡散します。罰則規定を設け、名誉毀損に当たる書き込みは素早く削除できるようにする、選挙に関する書き込みを行う場合は連絡先表示を義務化する、といった対策が検討されています。

 ただ、誤解を恐れずに言うと、このようなリスクをゼロにするのは不可能です。現状でも、「怪文書」という誹謗中傷やデマが選挙では飛び交っていますし、実際に私が関わった選挙でも、投票日前日や当日に、ビラやハガキなどで怪文書をばらまかれたこともあります。怪文書の問題はそれこそ何十年も放置されてきました。しかし、ネット選挙運動の解禁によって、期間中も候補者が情報発信をできるようになるわけですから、自身のオフィシャルサイトやSNSアカウントで怪文書への反論を発信することができるようになり、私はむしろ、結果的に自衛できるようになるのではないかと思います。怪文書とは違いますが、最近も安倍晋三首相がご自身のフェイスブックで、ある週刊誌の記事が事実と異なることを明らかにして、報道内容に反論していました。

 「なりすまし」については、日ごろからオフィシャルアカウントでの発信を続けることで、検索でも上位に表示されますので問題ありません。「なりすまし」に絡んで「アカウント乗っ取り」というのもあります。2月16日には橋下市長のツイッターアカウントが乗っ取られるという事件がありましたが、書き込み内容が意味を成していなかったこともあり、本人が書き込みに気づいたことですぐに沈静化しました。

 確かに、選挙期間中に候補者を巧妙に陥れるような書き込みがないとも限りません。例えば、これまで「TPP反対」と言ってきた候補者が、いきなり「TPP賛成」とツイッターでつぶやいた場合、支持者から批判の声があがる可能性はあります。

 デマも含めて、誹謗中傷を受けた場合に重要な対応が2つあります。まず、事実に基づく反論をオフィシャルアカウントで、できるだけ早く展開すること。「この情報はデマだ」という確固たる証拠を提示し、それを支持者に拡散してもらって“上書き”します。そして、その情報をマスコミへのリリースやSNSのフォロワーなど、あらゆるチャンネルを使って発信することです。

 PR(パブリック・リレーションズ)の業界では、「情報は情報によって打ち消す」のが常識です。ネット選挙運動においても、この大原則にもとづいて対応するために、早めにオフィシャルサイトやオフィシャルアカウントを開設し、1人でも多くのフォロワーと、継続的なやり取りをしていくことが重要です。きちんとオフィシャルサイト/アカウントでの発言を続けていれば、なりすましをされた場合でもすぐに発覚しますし、検索したところで、なりすましアカウントが上位に表示されることはありません。

ネット選挙の解禁で有権者が注意するべきこと

画面2

何が正しくて何が間違っているのか。有権者には「情報の取捨選択」が迫られている(『NAVERまとめ』より

 フェイスブックのシェア(=情報共有)やツイッターのRT(リツイート≒引用拡散)といった機能は、ワンクリックで手軽に行うことができますが、一歩間違えるとデマの拡散にひと役買ってしまう危険性があります。

 東日本大震災以降、ネット上でもさまざまなデマが流布されました(参考)。これらのデマは、そもそも根拠が示されていなかったり、元となるツイートが報道機関の報道を装っていながらリンクが貼られていなかったり、と不自然な点があることからデマと特定され、まとめサイトに公開されるなど「ネットの自浄作用」が働いていました。韓国では大統領選のときに、全国の選管に「不正監視団」が設置され、ネット上での書き込みをチェックしていたようですが、日本においては、まとめサイトなどを使った「有権者によるデマ防止の情報発信」が活発になるのではないかと期待しています。

 次の参議院選挙でも、さまざまなデマが流布される可能性があります。選挙期間中に、有権者が自身のホームページやSNSアカウントで情報発信をする場合には、これまで以上に慎重にならなければなりません。ポイントは、「情報の裏付けを取ること」。候補者に関する情報であれば、シェアやRTをする前に、候補者のオフィシャルアカウントに情報がアップされていないか、ネットで一度検索をしてみて「デマ」としてまとめサイトなどが立ち上がっていないか、など確認することをおすすめします。

<候補者、政治家編>へつづく)

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松田馨氏松田 馨(まつだ かおる)
1980年広島県生まれ。京都精華大学人文学部環境社会学科卒業。デザイン会社、私立大学職員を経て独立。2006年の滋賀県知事選挙以来、地方選挙から国政選挙まで幅広く実績を積み、2008年6月に選挙コンサルティングの専門会社「株式会社ダイアログ」を設立。選挙プランナーとして、1年中選挙に携わっている。週刊誌上での国政選挙の当落予想をはじめ、新聞、テレビ、雑誌等のメディアにおいて「無党派票を読むプロ」「ネットを駆使した選挙に精通する選挙プランナー」として多数取り上げられる。
一般社団法人 日本選挙キャンペーン協会理事・事務局長。日本選挙学会会員。
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