ネット選挙Q&A 有権者編
「ネット選挙解禁」により有権者は、投票の判断材料となる政党や候補者などの情報が得やすくなったり、インターネットの特性である「双方向性」を利用して政党や候補者とやりとりしたりすることが可能になります。また、自らのブログやSNSなどで特定の候補者を応援する選挙運動もできるようになります。そのルールは公職選挙法で定められており、何でもできる、何をしてもよい、というわけではりません。普段と同じようtwitterでつぶやいただけなのに……、友だちから届いたメールを転送しただけなのに……、という何気ない行動が、法律に抵触してしまうかもしません。この「ネット選挙Q&A 有権者編」では、今回の法改正で、有権者は何ができるようになり、どのような行為はダメなのか、注意した方がよいことなどをまとめました。
- ?ネット選挙に関するご質問
- Q:そもそも『ネット選挙解禁』ってなんですか?
- Q:なんのために『解禁』するんですか?
- Q:いつから『解禁』されるんですか?
- Q:具体的には、どのようなことができるようになるんですか?
- Q:選挙期間中に受信を希望しない『メール』がきた場合は?
- Q:政党・候補者以外はメール配信が制限されていますが、Twitter等のダイレクトメッセージも使えないのですか?
- Q:公示・告示日よりも前に、ネットを使った選挙運動は行えますか?
- Q:ネットを使って『落選運動*』はしてもよいのですか?
- Q:選挙運動のための有料広告をインターネットに出すことはできますか?
- Q:当選や落選の挨拶をインターネット上で行うことはできますか?
- ?ソーシャルメディア利用に関するご質問
- Q:選挙期間中にFacebookやTwitterなどを利用する時に気をつけなければいけないことはありますか?
- Q:アカウントを乗っ取られないために注意することは何ですか?
- Q:ある日突然、ログインできなくなったんですが?
- Q:公示日に、Facebookのカバー画像から自分の名前が消えたんですが?
- Q:選挙期間中に街頭演説の写真をFacebookに投稿することはできますか?
- Q:アカウントの凍結を解除してほしいのですが、どのように問い合わせたらよいですか?
選挙用語の基礎知識
●『選挙運動』と『政治活動』の違い
『選挙運動』とは、(1)選挙を特定し、(2)候補者を特定し、(3)投票を依頼する行為を指します。この『選挙運動』は選挙期間中に限って行うことができますが、未成年者や一部の公務員は行うことができません。
一方『政治活動』とは、政治的な目的をもって政策を主張したり支持を訴えるあらゆる活動から選挙運動を除いたものを指します。日々の活動報告から冠婚葬祭まで、公人としての言動は全て政治活動に当たります。
政治活動であれば、これまでもインターネットを用いることができたため、選挙直前までホームページやブログを更新しメールも配信していた候補(予定)者が、選挙期間になると一切更新も配信もできない、という現象が起きていました。
●『選挙期間』と『事前運動』
『選挙期間』とは、選挙の公示または告示日から投開票日前日までの期間を指します。選挙期間以外は選挙運動を行うことができず、『事前運動』として禁じられています。ただし、選挙区の情勢を調査したり、政党や団体に公認・推薦の依頼を行うなど、立候補の準備行為は認められています。
●『文書図画(ぶんしょとが)』と『選挙公営』
選挙運動として、政党または候補者が有権者に対して政策や支持を訴える手法は公職選挙法に定められており、その一つがビラや葉書、ポスターなど『文書図画』の頒布または掲示です。同法では、文書図画の記載事項など細かな様式から配布枚数、掲示場所まで指定されており、今回の改正では、ホームページやブログ、ソーシャルメディアやメールなども『文書図画』の一種であるという解釈のもとインターネットの利用が認められることとなりました。
なお、資金力の違いが選挙の公平性を損なうことがないように、『文書図画』の制作や印刷、頒布や掲示にかかる費用の一部は公費(税金)によりまかなわれています。この選挙運動費用の公費による負担を『選挙公営』と言いますが、インターネットに関する費用は『選挙公営』の対象となっていません。
?ネット選挙に関するご質問
Qそもそも『ネット選挙解禁』ってなんですか?
A現在、インターネットを使った選挙運動は公職選挙法上禁じられています。この公職選挙法を改正し、インターネットによる選挙運動を解禁することを指します。ただし、ここで言う『ネット選挙』には、インターネットによる投票は含まれません。
Qなんのために『解禁』するんですか?
Aインターネットを活用して幅広い選挙情報を提供することで、有権者の政治参加を促すための解禁です。
Qいつから『解禁』されるんですか?
A2013年7月に行われる第23回参議院議員選挙の公示日(7月4日)から解禁され、この日以降に告示されるすべての選挙に適用されます。
Q具体的には、どのようなことができるようになるんですか?
A政党・候補者は、ホームページやブログ、TwitterやFacebookなどのSNS、メールを利用することができますが、政党・候補者以外はメールを用いることはできません。
Q選挙期間中に受信を希望しない『メール』がきた場合は?
A選挙運動用のメールは、事前に受信者の承諾を得ないと送ってはいけないことになっています。身に覚えのないメールを受信したら送信元に対して希望しない旨を申し出ましょう。
Q政党・候補者以外はメール配信が制限されていますが、Twitter等のダイレクトメッセージも使えないのですか?
A使えます。制限されるのは、SMTP(Eメール)またはSMS(ショートメール)です。Facebook・LINE・mixiなどは自由に使うことができます。
Q公示・告示日よりも前に、ネットを使った選挙運動は行えますか?
A選挙期間以外は、ネットに限らずこれまで通り一切の選挙運動はできません。日常的な政治活動の範囲内のみ認められます。
Qネットを使って『落選運動*』はしてもよいのですか?
Aネットを使って落選運動をすることはできますが、匿名で行うことはできません。また、虚偽の事項を公開したり誹謗中傷は落選運動の範囲外となりますので、罰せられます。
*「落選運動」とは、特定の候補者を当選させないよう呼びかける行為
Q選挙運動のための有料広告をインターネットに出すことはできますか?
A国政選挙の届出政党と確認団体に限り、選挙期間中に選挙運動用のWEBサイト等へ直接リンクする有料広告を出すことができます。ただし、その広告上で直接的な投票依頼(=比例は○○党へ)をすることはできません。
Q当選や落選の挨拶をインターネット上で行うことはできますか?
Aホームページやブログ、メールなどで当選のお礼や落選のお見舞いなどが行えるようになります。ただし、インターネット以外でのお礼やお見舞いは、従来通り禁じられたままです。
?メール利用に関するご質問
Q受信した選挙運動用メールを印刷したり、それを配布したりできますか?
A印刷も配布もできません。また、メールを転送したり、コピーして送信することもできません。
受信した選挙運動用メールを自分のブログで紹介したり、コピペしてSNSで拡散することはできます。
Q選挙運動と見做されるWEBサイトのURLを、メールに貼り付けて送付することはできますか?
AURLをメールに貼り付けて送付することは選挙運動には当たりませんので、政党や候補者以外の方でも送信することができます。
ある意味「抜け道」的に利用することができますが、リンク先を明記せずにURLを貼り付けることはマナー違反ですし、トラブルの元になります。そういったメールを受信しても、リンク先不明のURLはクリックしないようにしましょう。
?ソーシャルメディア利用に関するご質問
Q選挙期間中にFacebookやTwitterなどを利用する時に気をつけなければいけないことはありますか?
Aアカウントの乗っ取りや、利用規約の違反による利用停止などに注意が必要です。いったんアカウントを凍結されると、その間、更新ができなくなります。
Qアカウントを乗っ取られないために注意することは何ですか?
AFacebookやTwitterなどは、アカウントとパスワードでセキュリティを保っています。誕生日や電話番号などを組み合わせた単純なパスワードだと簡単に推測され、アカウントを乗っ取られる恐れがあります。パスワードには英数字を混ぜたり、定期的に変更したりするなどして対策を講じましょう。
ダメなパスワード例です。心当たりの方はすぐに対応を!
アカウント:seijiyama・パスワード:seijiyama01
アカウント:admin ・パスワード:admin1234
Qある日突然、ログインできなくなったんですが?
Aログインできなくなった可能性として、アカウントの乗っ取り、または利用しているソーシャルメディアの規約に違反したペナルティが考えられます。利用規約等に違反して何がしかの警告があった場合には、放置せずにしっかり対処することで防げます。
Q公示日に、Facebookのカバー画像から自分の名前が消えたんですが?
AFacebookのガイドラインには、テキスト(文字)の面積がカバー画像の20%を超えてはならないとあります。名前と政策を宣伝しようと工夫した結果であっても、問答無用にバサッと消され、しばらく修正もできなくなります。
公職選挙法とSNSの規約とは一切関係なく、SNSの中ではそれぞれの規約が優位に立ちます。その規約は、サービス提供会社の都合で変更になることもありますので注意が必要です。
Q選挙期間中に街頭演説の写真をFacebookに投稿することはできますか?
Aできます。しかし、街頭演説や桃太郎などの活動状況を写真に撮って投稿する際、写っている人への配慮が必要です。基本的には、候補者やスタッフ以外の個人が特定されるような写真の掲載は控えましょう。
親しい間柄でも対象者に使用許諾を得ないと、のちのち問題になることがありますので気を付けましょう。
Qアカウントの凍結を解除してほしいのですが、どのように問い合わせたらよいですか?
A電話での問い合わせ窓口は設置されていないことがあり、メールや問い合わせフォームで受け付けています。
一般的には、無料サービスの場合、充実したサポートを受けられない場合があります。
※政治山では、ネット選挙関連の質問を受け付けます。ネット選挙関連で分からないことや疑問に思っていることなどをメールでお送りください。
メールアドレス:info@seijiyama.jp
・お送りいただいたすべてのご質問にお答えできない場合があります。あらかじめご了承ください。
・メールをご送付いただく前に、「個人情報保護方針」を必ずお読みください。