[神奈川・逗子市]持続可能な花火大会の開催へ向けて -第62回逗子海岸花火大会の試み- (2019/8/16 マイ広報紙)
この記事は「広報ずし 2019年8月号『第62回逗子海岸花火大会』」を紹介し、コメントしたものです。
毎年この時期になると、このピックアップ広報でも取り上げるのが全国各地で開催される花火大会の記事。今年も各地の広報紙で、その話題が取り上げられているのですが、残念なこともあって、中止のお知らせを見ることが今年は多くなったように思います。
一方で、存続の危ぶまれた花火大会が様々な工夫のもとで今年も開催されていたりと、何だか安心させられる記事を目にすることもあります。
そのひとつが神奈川県逗子市の花火大会です。
例年5月末から6月初旬に開催されていたのですが、今年は9月末の開催となりました。ここ最近、運営費用の不足が課題となっており、それが理由にもなって、今年は開催時期が変更になりました。今年は一般からの協賛を集め、その協賛に対する返礼品としてチケットを配布するという方法で解決が図られています。
その詳細が逗子市の広報誌に掲載されていました。
「波打ち際シート(指定)」と「チケットエリア(自由)」の二つの区画が設けられ、「波打ち際シート(指定)」については1区画12,000円、「チケットエリア(自由)」については大人2,000円・小学生以下1,500円の協賛金を支払うことで、チケットを受け取ることができます。
それぞれのエリアにつき定員があるので、チケットを確保すれば、そこまで混雑することなく花火を見ることができるのではないかと思います。
より多くの観客を集めることを考えるのであれば、無料で誰でも見られるようにするのが一番かもしれませんが、一方で、そうすると花火の打ち上げ費用を賄うことが難しくなり、実際に多くの地域で花火大会の実施が困難となって中止に追い込まれています。
その解決策のひとつが逗子市において採用された方法だと思います。
もちろん、花火は少し離れた場所からも見ることができますので、協賛金を支払わずに、打ち上げ場所から離れた場所から見るという選択肢も残されています。無料で見たいという人を排除することなく、一方で協賛を確保することで大会開催費用を賄い、協賛に応じた人には一定の見返りを提供する。なかなかに考えられた策なのではないでしょうか。
地域のイベントをいかに持続可能なものとしていくのか。その知恵が全国の花火大会には隠されているような気がします。
ちなみに、逗子市の花火大会はわが家では音だけが聞こえてきます。
- [筆者]東京工業大学環境・社会理工学院研究員/本田正美
- [参考]広報ずし 2019年8月号
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