外国人労働者の雇用 (2018/11/20 企業法務ナビ)
1.はじめに
政府は労働不足に対応するため、外国人労働者(日本国で就労する外国人の方)の受け入れ拡大に向け出入国管理及び難民認定法(以下「出入国管理法」という。)を改正するための審理を行っています。出入国管理法を改正し、新たに在留資格を創設することによって今後5年間で最大34万人の受け入れを見込んでいます。
このことによって、今後ますます外国人労働者が日本において働く機会が増えることになると思われますが、雇用者は外国人労働者をどのように扱えばよいのでしょうか。
2.外国人労働者の就労
事業主は、外国人を雇い入れるときには外国人の方の「在留カード」等により就労が認められるかを確認しなくてはなりません。
また、雇用対策法に基づき、外国人を雇用する事業主には、外国人の雇入れ、離職の際に、その氏名、在留資格などについて確認し、ハローワークへ届け出ることが義務づけられています(雇用対策法第28条)。
3.外国人労働者に適用される法律
日本国憲法14条や労働基本法3条は国籍による差別を禁止しています。このことから外国人労働者を外国人という理由だけで、賃金、労働時間その他の労働条件について差別的取扱いをしてはいけません。
また、日本人と同じように外国人労働者にも労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働組合法、労働者災害補償保険法、職業安定法、男女雇用機会均等法などの労働法規が適用されます。雇用保険法についても、外国公務員及び外国の失業補償制度の適用を受けていることが立証された者を除き、国籍を問わず被保険者として取り扱われています。
4.コメント
日本は少子高齢化により働き手の数が減少し続けています。このことから、労働力を外国人から確保することについてニーズが高まっているものと感じています。外国人労働者については、法外に低い給与で働かせたり、労災の補償をしっかり行わなかったりということが問題となっていますが、法律では外国人労働者も日本人労働者と同じような給与と保障が得られることとなっています。
労働力の担い手として外国人労働者を給与面や保障面で差別することなく雇用するようにしなければ、日本は外国人労働者にとって魅力がなくなり労働力不足に困ることとなると考えます。
事業者や法務担当者は外国人労働者を雇う際に出入国管理法や雇用対策法の知識を有していると外国人労働者を雇う上でのトラブルを回避することができるかもしれません。
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