加速する人手不足は本当に日本の未来に不幸をもたらすのか… (2018/11/2 瓦版)
お毒 人手不足倒産が増えてるみたいだけど、あたしみたいにワンマン経営だとアタシが死んだら即お店もジ・エンド。なんだかはかないわね。
編集部ニシ なんせ全従業員がネェさん含め1人ですからね。ちなみに2030年の話ですが、人手不足の推計値は644万人にまで膨れ上がるそうです。パーソル総合研究所×中央大学の共同研究「労働市場の未来推計2030」が様々な統計データを解析するなどで算出しました。同研究によると、産業別ではサービス業の人手不足が最大で400万人。ついで医療・福祉の187万人と続きます。職業別では専門的・技術的職業従事者が212万人。都道府県別では東京が最も多く133万人となっています。
お毒 多いのか少ないのかはよくわかんないけどやっぱりそうよね。サービス業はもう全然人が集まらないもの。それなのに人がいないと回せない。ほんとに深刻よ。
猫田先生 いよいよ接客ロボット量産ってとこかね。もっとも、この研究ではAI等による技術革新の生産性向上は考慮されていないらしい。だから、飛躍的な生産性向上が見込めるAI等を活用すれば状況は変わってくる可能性があるな。
お毒 AIねぇ。技術的にはいろんなことができるんだろうけど、接客を無人化やAI化したら、店舗にいく意味がなくなる気がするんだけど。行っても誰もいないんならもう遠隔でもバーチャルでもいいじゃない。
編集部ニシ 同研究チームは、対策として女性の活用(102万人)、シニア(163万人)、外国人の活用(81万人)、そして生産性向上の4項目を挙げています。この内、生産性向上の部分がまさにAI等のテクノロジー活用によるもので、そこで298万人分の人手不足解消を図ることを提言しています。ここをもう少しヒューマンパワーに回せば、AI化を必要以上に拡大する必要はなくなりますけど。
お毒 でも、女性とかシニア、それに外国人まで引っ張り出しても足りないんだから、簡単に代案が出てきそうにはないわね。
猫田先生 ひとつは、人間がやりたがらないような単調でつまらない仕事をAIなどで自動化し尽くすという手はあるんじゃねぇか。それで人員の再配置をすることで、歪な人員の配置を最適化すれば結構いけるんじゃねぇかな。
編集部ニシ それはいい案ですね。ただ、単調仕事しかできないような人も当然いますから、そうした人材をどう転換するかという課題は残りますよね。
猫田先生 昨今増大している人手不足倒産なんかは日本経済に打撃を与える小さくない問題だ。だが、厳しくいえば環境変化に適応しないことによる自然淘汰といえなくもねぇ。企業は、AI時代に適応した事業展開に尽力。労働者は、AI関連のスキルを向上させるかあるいはAIに不向きな技能・才能を磨く。もしくは新たに誕生するAI関連のスキルを身につける。これからの時代、双方のそうした努力抜きには生き残ることは難しいだろう。
お毒 だから、人の情にあふれるスナックは永遠に不滅なのっ。
猫田先生 それともうひとつ。これはコロンブスの卵じゃねぇが、経済成長が絶対という前提が本当に正しいのか向き合うのもありじゃねぇかってことだ。ガラパゴス諸島よろしく、基本外界と隔絶し、緩く豊かに縮みゆく市場の中で独自成長の道を歩む。慢性的に続く人手不足問題を思考のパラダイムシフトのきっかけとして捉え、発想の転換をしちまうんだ。そうすることで、どちらかといえばネガティブなイメージが付きまといがちな島国・日本の未来像だって一転して全く新しい展望とともに有望にみえてこねぇか。
編集部ニシ 常識を無視した非常にエキセントリックな案ですが、縮小しても豊かに暮らせるシナリオも早い段階から想定しておくに越したことはないかもしれませんね。
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