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人手不足を放置した中小企業のイタ過ぎる末路 (2018/10/5 瓦版

関連ワード : 働き方改革 労働・雇用 

社畜シリーズ作成のカヤックが放つ第二弾動画の衝撃結末

人手不足が深刻だ。中小企業では人手不足倒産が増大。新入社員は3年以内に半分以上が退社する…。決して大げさではない実状だ。表面化しづらいこの現実をむき出しにするような生々しい動画がさきごろ公開された。社畜ミュージアムを作成したカヤックが放つ社畜シリーズ第二弾「今日、部下が辞める。」だ。現実を受け止める意味でも見るべき動画だが、リアリティがありすぎる内容に、中小企業のマネージャークラスが真っ青にならないか心配だ…。

人手不足を放置した中小企業のイタ過ぎる末路1

物語は部下の送別会からスタートする。苦しくも充実した3年を振り返りながら、上司に送り出される部下。花束を受け取る若手には笑顔もある。手取り足取り指導し、一人前に育てた自負から上司もしんみり。部下も感極まりそうな感動的な送別の儀に……。ところが、ここで別の若手が横槍を入れる。

「勝手にいい話で終わろうとするな!」。鬼の形相で上司を突き飛ばし、暴言を放つ。一体何ごとなのか。実は、退社する若手をはじめ、部下は大量の業務を残業でこなす毎日で疲労困憊。立派になった部下も、劣悪な労働環境に耐えきれず退社するのが本当の理由なのだ。

人手不足を放置した中小企業のイタ過ぎる末路2

3年で辞める若者は中小企業に限れば、52.4%(出典:厚労省離職状況調査=29人以下)。人手不足を業務過多で解決するは60.7%(中小機構調査)。しわ寄せは社員に集中している。一方で、有効求人倍率は大企業1.43倍に対し、中小企業では9.91倍(リクルートワークス研究所調べ)で大きな格差がある。裏を返せば、新人にとってはあえて劣悪環境にいる必要はなく、他に選択肢がいくらでもあるということだ。

物語に登場する上司は、こうした状況を把握していないはずはない。だが、なんの策も施さず、昔ながらのやり方で時にやさしく、時に厳しく部下の育成に励んだ。ほぼ一方的な指導に若手は次第に不満を蓄積。実は動画でもちらちらと表情に表れているが、上司には届いていない…。

物語のラストシーンは、現実にはなかなかあり得ない衝撃的なものだが、いつ起こってもおかしくないだろうという確かな感覚は抱ける生々しさがある。人手不足を個々の業務過多でクリアする先に待っているもの。それは一社員の退社に留まらない会社崩壊という悪夢でしかない…。この動画はそれをズキズキと感じさせる。

人手不足を放置した中小企業のイタ過ぎる末路3

人手不足の解消はかなりの難題だ。とりわけ、認知度のない中小企業にとっては、お手上げに近い状態といえるかもしれない。物理的に少ないのだから、必然的に奪い合いになる。そうなれば多大なエネルギーを消耗する。そもそも人が足りない企業の戦略として、それは前進を目指しながら後退しかねない非効率ともいえる…。

放置すれば会社崩壊もある人手不足の正しい解決策

一体どうすればいいのか。まず着手すべきは、ITなどのテクノロジーの有効活用だろう。RPAやAIを導入することで、ルーティンワークは大幅に削減できる。一人が何役も兼ねる中小企業社員にとって、これは大きな負荷軽減につながるハズだ。その上で、浮いた時間を自社の武器磨き上げに回す。そうやって、会社としての魅力を高め、アピールする。

若者が辞めないようにするというアプローチでなく、若者が引き寄せられ、働いてみたい企業になる。それが最大の採用業務効率化につながると視点を変え、デジタル・トランスフォーメンションを積極推進。規模が小さいほど、その浸透は速く効果密度が高いことを考えてもすぐにでもトライすることが肝要だろう。どう育てるかでなく、そうすれば社員が幸福になるか。そうした観点で部下と接することで、ブレイクスルーにつながるハズだ。

→今日、部下が辞める。
https://youtu.be/ihw3eyzaT7E

提供:瓦版

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