働き方の多様化で転職支援サービスも進化の時代へ (2018/10/23 瓦版)
転職新時代到来 Vol.1 ~完熟社会の働き方の先にある人材流動化の行方~
社会構造の変化で転職が当たり前の時代へ
30年前を振り返れば、転職がようやく広がり始めたものの、まだ少数派だった。20年前には転職してキャリアップする人も目立ち始め、能力の高い人にとっては転職もアリという風潮が浸透する。10年前になると、転職はキャリアアップの一つの選択肢として認知されはじめる。そしていま、転職は当たり前の時代となった――。
背景には人口減少による人手不足がもたらす有効求人倍率の上昇。そして、個人の価値観の変化がある。これらに加え、企業寿命短縮(23.5年)による終身雇用制度の崩壊、年金制度の破綻など、環境的な問題も絡み合い、生活の糧をキープするために転職を選択肢に入れざる得ない現状がある。もはや、社会の構造として一つの会社で会社員人生を終えること自体が困難な状況といっていいだろう。
dodaは求職者とともに寄り添うスタンスへシフト
転職を取り巻く環境が激変する中、転職を支援するサービスや個人の働き方にも変化の波が到来している。各社はこれまでとは違った戦略を打ち出し、新時代にフィットした転職支援のアプローチを模索。2018年秋には、紅く色づき始めた木々のようにその方向性をシフトする企業が相次ぎ、転職関連市場の風景は急速に様変わりし始めている。
31年前「Dodaしよう」で、転職の認知度を押し上げたパーソルキャリアのDodaは2018年10月中旬、「doda」へブランドロゴを変更。転職を取り巻く環境を「歴史上、最も働くに迷う時代といえる現状に対応していくためのリブランディング。転職活動中のあらゆる悩みに加え、転職前後、そして現在の職場やキャリアに悩む人も含めサポートしてまいります」(大浦征也編集長)と新ブランドでは、より求職者との距離を縮め、求職者とともに寄り添っていく姿勢を打ち出した。
機能面では「チャットサービス」を追加。転職も含めたちょっとした悩みなどにも気軽に対応する体制を整え、最も働くに迷う時代の頼りになる相談相手のように、求職者をサポート。希望条件に合わせた新たな働き口を紹介するだけの転職からさらにもう一歩踏み込んだキャリアサポートサービスへと進化を遂げる。
「ワーク」と「ライフ」の境目がぼやけつつある時代の「転職」とは
終身雇用が約束された時代は、求人企業が情報を掲載していれば、希望者がいくらでも集まった。あれから30年以上の歳月が流れ、いまは認知度や報酬以外にも魅力を感じる求職者が少なからず存在するなど、百人百様の求職者のニーズがある。加えて、人口減少で有効求人倍率も最高レベルで推移している。もはや、条件を列記しただけのありきたりの求人情報を掲載するだけでは有望な人材にアプローチさえできない時代へとシフトしている。
人と企業をつなぐという点での支援だけでなく、求職者そのものに寄り添うスタンスで、ニーズをくみ取りながら線の対応でそのキャリアまでサポート。そこまでしなければこの時代、企業、求職者双方を満足させられない。
「ワーク」と「ライフ」の境目がぼやけつつある時代に、どんな「転職」がふさわしいのか。本連載では、新時代に突入した転職関連サービスや新たな動きなどにスポットを当てながら、人材流動化の理想のカタチをあぶりだしていく。(続く)
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