女性の再就職VS高額な保育料!長期的な女性のキャリアを考えよう (2018/3/30 JIJICO)
働き手不足の状況下で専業主婦の再就職が増加
結婚や出産を機に仕事を辞めて専業主婦として数年間を経過した後に、再び正社員として就職する女性が増えています。
企業は今「働き手不足」。求人倍率(求職者1人あたり何件の求人があるかを示す数値)はかつてのバブル経済期を上回る状態が続き、男女問わず多くの業種・職種で求人募集が盛んに行われています。子育て中の女性に対する求人も増えており、再就職を果たす女性が増えているのです。
不足する保育園、高額な認可外保育所に預けるかどうか迷う
子育て中の女性が就業を考えるとき、なくてはならないのが「子どもの預け先」。首都圏では特に、保育園に入りたくても入れない「待機児童」が多いことは、ニュースなどでも大きく報道されています。
保育園入園は申込みの時点で仕事を持っている人が優先なので、これから仕事を探す人は断然不利。保育料が安くて人気が高い認可園(公立を含む)に入るのは至難の業で、ほとんどの場合、認可外の保育所になります。
認可外保育所も、保育内容は良いところがたくさんあります。ただ、認可園のように自治体から十分にお金が出ていない分、保護者が負担する保育料が高い。保育所によってまちまちですが、概ね月額10万円前後のところが多いようです。これでは再就職をしても、手取りの半分が保育料に消えてしまう。それでも再就職をする意味はあるのでしょうか?
高額保育料を支払っても再就職すべき?キャリアを長期的視野で考えよう
自己実現、社会とのつながり、収入など、働きたい目的はいろいろあるでしょう。子育てと仕事を両立させていく意欲もある。でもそのためには高額な保育料を払わなければならない。さて、どうしたらいいでしょうか?
これについての答えは、「今」のことだけを見ていては出せません。自分のキャリアを長くとらえることが大切です。今のこの「子育てとの両立期間」は、長い人生の中のほんの一部であって、今後もずっと同じ状態が続くわけではないということに目を向けて考えましょう。
一人の子どもが保育園に通うのは最大で約6年間。その6年間の期間を、保育料を節約するために「専業母」として過ごすのか、それとも就職をして「子育てと仕事を両立させて働く女性」として過ごすのかでは、この期間に蓄積される「キャリア量」が大きく異なります。20代~30代の頃に自分の中に蓄積された「キャリア量」が多いほど、40代以降に自分が納得のいく働き方ができるようになります。
人生100年時代、人生の後半で後悔しない働き方を考える
多くの女性の人生が90年~100年近くである現在、仕事は75歳くらいまで必要です。仮に35歳で子どもを産んでも、その後40年間仕事をするのです。30代のうちにキャリアの蓄積があれば、子育てが落ち着いた後はそのキャリアを活かして、やりがいのある、納得のいくポジションと給料が得られる可能性が十分にあります。
子育て期の年齢は、仕事でのキャリアを積んで力を付ける時期でもあります。子育てだけに専念する期間は最小限にして、ぜひ、両立をして、仕事のキャリアの蓄積を止めないで欲しいと思います。
子育てが終了したあとも、人生がまだまだ長く続く現代。人生の後半に後悔しない人生設計をすることが大切です。せっかく求人の豊富なこのタイミングに、ぜひ、新たな仕事に挑戦をしてください。応援しています!
- 著者プロフィール
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森 ゆき/キャリアコンサルタント・講師
働く女性と企業、両方の「本音」に通じた実践的なアドバイス
20年におよぶ企業勤務のなかで3人の子供の出産・育児を経験。企業論理とワーキングマザー両方の「リアル」を熟知した、複合的な視点で行う女性の働き方・人材育成へのアドバイスは経営者・社員双方から好評。
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