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「女性活躍の土台に健康は不可欠、学校で健康教育導入へ」宮川典子衆院議員 (2018/3/5)

 政府は2020年までに指導的地位の女性比率30%(以後、「2030」)を目標に掲げましたが、2017年上場企業役員の女性比率は3.7%と、このままでは目標への到達が難しい状況です。女性活躍社会の推進を妨げている課題を明らかにするために、「女性の健康推進」などの啓発活動を行っている大塚製薬の西山和枝氏による、自由民主党 宮川典子衆議院議員へのインタビューの様子をご紹介いたします。

宮川典子 衆院議員と西山 和枝 大塚製薬株式会社女性の健康推進プロジェクト リーダー

「2030」を社会目標に設定できなかった

【西山】 女性の活躍が進まない課題についてお伺いします。

【宮川】 「2030」は私たちにとってはものすごく大きな目標でしたが、社会にとってはそれほど大きな目標ではなかったのかもしれません。女性活躍の推進案は国会の中ではあまり取り上げてもらえませんでした。命に関わる問題であるとか、少子化に関わる問題だとかが政治の中にあふれているので、そちらのほうが優先度・緊急度が高かったのです。国会議員は男性が90%で女性は10%ほどしかいませんから、女性活躍関連の法案を諮っても「なぜ女性だけが対象なのか」と言われてしまいます。

【西山】 企業側の女性活躍が進まないのはどうしてだと思いますか。

【宮川】 私が思うに子育ての問題にしても、何とか今までやってこられたから現状維持でいいという雰囲気があったのではないでしょうか。大きな革新を起こそうという思いは企業側にも見受けられなかった気がします。それに加えて制度設計に携わっている側に男性が多いので、女性が心の奥深くで望んでいる言葉を引き出して改革する人が、不足しているのも大きな問題だと思います。これは政府も民間企業も同じだと感じます。

【西山】 女性が制度設計に携わるには、役員や管理職の女性を増やさなければなりませんが、卵が先か鶏が先かの話になってしまいます、どうしたらいいでしょうか。

【宮川】 男性も含めてですが、社会全体が多様な働き方を選択できるようにデザインされていません。9時から5時まで会社に通って、8時間働かなくてはならず、ちょっとだけ働きたい女性は活躍できない。一方で、キャリア志向の女性は、子育てするために早く帰れと言われると思うように活躍できません。子育て志向とキャリア志向の女性を同じ枠にはめるのではなく、多様な枠組みを選択できることが重要です。

 あとは女性活躍といった時に気をつけないといけないのが、多くの皆様が“スーパーウーマン”を想像してしまうことです。バリバリ働いて会社を経営してお子さんはシッターに預けて何人も子どもを産んで、ご主人様も実業家など、煌びやかな姿を想像するのですが、実はそうではなく、女性活躍は分厚い中間層が活躍する社会をつくることが重要だったのです。それには対応しきれていない部分があると、私は考えています。

宮川典子 衆議院議員

宮川典子 衆議院議員 文部科学大臣政務官
自由民主党 女性局長代理・青年局次長、元 中高教諭、(財)松下政経塾(第28期生)

女性活躍社会の土台に健康は欠かせない

【西山】 政府が女性活躍推進を掲げて、これから環境を整えていく動きを加速したいと思っていたところですが、最近はややトーンダウンしているように思います。ここ数年で女性活躍推進の言葉は浸透しましたが、一方で課題が明確になっていないようにも感じます。

 「ホルモンケア推進プロジェクト」の調査で、約6割の方がPMSや更年期など女性特有の健康問題で昇進を諦めようと思っていたことがわかりました。政府の施策には女性の健康をベースに考えて、活躍を推進するという部分が抜けているのではないかというところで、大塚製薬では女性の健康にフォーカスしたセミナーなどを開催してきました。そこで一貫して、女性の健康支援について必要性を訴えてきておりますが、理解が浸透しないというジレンマもあります。女性の健康というテーマは男性に響かないのでしょうか。

【宮川】 私は4年近く月経関連疾患の問題に取り組んできました。政治家も官僚も男性が多いので、最初は話をしても多くの人がまったくピンときていませんでした。そこで「奥様は悩んでいませんか?」と尋ねると「昔は生理痛が大変で、当時、奥さんは生理が来るたびに泣いていた」という方がいて、「それは防ぐことができるんだね」と内容を理解してくださる方が増えてきました。

 これは女性にも言えますが、月経関連疾患、それに対する処置を知らない方が非常に多いです。そういう方には適切な処置をすれば軽減することができると伝え、必要に応じて病院を紹介しています。男性は月経を体験することはありませんが、親や奥さんなど身近な女性を通じて理解することはできると思います。一貫して主張し続けたことで、今では行政文書に月経関連疾患という言葉が載るようになりました。数年前では考えられなかったことです。

日本社会を「キュア(cure)からケア(care)」へシフト

【西山】 「2030」を達成するには、女性の健康は不可欠だと思っています。私は更年期を迎えましたが、企業によっては管理職の女性がこれまで居なかった、ゆえに対策が遅れているケースもあります。更年期症状が原因で管理職を諦めてしまっている女性のためにも対策を進めないといけないと思っています。しかし、企業に対策として取り入れていただくために、どこのスイッチを押せばいいのか日々考えています。宮川先生と同じような課題認識で取り組んでいる男性議員は他にいるのでしょうか。

西山 和枝(大塚製薬株式会社)

西山 和枝(大塚製薬株式会社)
ニュートラシューティカルズ事業部 女性の健康推進プロジェクト リーダー。女性の健康とWLB推進員(NPO法人女性の健康とメノポーズ協会認定)ソイフードマイスター、薬剤師。これまで100を超える「女性の健康に関するリテラシー向上セミナー」などで講師を務める。

【宮川】 残念ながら現状はほとんどいないですね。日本人は政治家以外もそうだと思いますが、“不健康自慢”をする人がすごく多いです。「24時間戦えますか?」というCMがありましたが、寝ないで働いている人の方が偉いという通念的なものがあると思います。女性活躍社会を実現するためには、ベースとなる健康が最も重要だと思っています。病気をせず、いつも元気でハツラツと頑張れるのが第一です。学校で健康について十分な教育を受けないので、社会人になって5~10年がむしゃらに働いて、気づいたら病気になっていたという人の話も聞きます。

 日本の医療は病気になってから治療することに長けていますが、少し悪い状態からケアをして、いい状態を維持していくのが今後の日本の新しい医療や社会保障のあり方だと思っています。「キュア(cure=治す)からケア(care=維持する)へ」ということを提唱していきたいです。

学校現場での正しい健康教育が必要

【西山】 大塚製薬は女性の健康に対するエクオールの有用性について研究してきました。エクオールは大豆イソフラボン以上に女性ホルモンに似た作用を示すと言われる成分で、女性ホルモンの減少に伴い発生するホットフラッシュ、首肩こり痛などの緩和に寄与すると言われています。

 東京大学大学院の大須賀穣先生に話を伺った時に、エクオールは先制医療として更年期の予防に飲んでおく選択肢もあるというお話をしていただきました。女性なら誰しも加齢によって女性ホルモンが減少するので、程度の差こそあれ症状が出る人もいます。それを見越して先に飲んでおくという指摘には感心しましたし、先ほどの「キュアからケアへ」にも通じると思います。また、正しい知識を得て頂く為には教育の担う役割が非常に大きいのではないでしょうか。

【宮川】 ピルはもともとホルモンバランスを整えて、自分で月経をコントロールしながら体調を管理していくためにできたお薬ですが、フリーセックスを推進するために飲むものだという誤った知識を持っている日本人が本当に多いと思います。

 子どもと働き盛りの人たちに一挙に啓発するのであれば、学校教育に健康教育を取り入れることが重要だと思います。なぜなら学校で子どもたちに教えると、その内容を家庭で親に話すでしょう。「ママ、今日学校でこんなお話聞いたよ。ママは更年期のこと知っている?」と言われたお母さんは、自分の症状に気づくかもしれません。若年層向けの健康教育をどのように行っていくかは、「2030」を達成するより重要だと考えています。

子ども

【宮川】 現状の性教育では男女にはそれぞれ性徴があり、機能が全然違うという教え方をするので、根本から違うという意識が子どものころに植えつけられてしまいます。ゆえに、男性は大人になってから、女性の体について理解しようと意識が向かないのではないでしょうか。男女共にホルモンが体に与える影響などの教育や情報が不足しています。私は月経関連疾患の話は健康教育だと思っていますが、学校においては性教育に該当します。月経について、卵巣や子宮などの機能について教えると性教育になってしまいますので、別の話題として教えることが重要だと思います。

 また、月経関連疾患が原因となり社会的損益や医学的損益が生じていることを理解していただくためにも健康教育の確立が大切です。病気や障害を持っている方も仕事ができる時代になってきましたので、女性が特有の疾患に悩んでいる事実を社会が受け留めて、安心して働ける制度を作ることが政治の役割だと思っています。

大人の妄想が性教育を歪めている

【西山】 教育現場では女子が体育館で月経について講義を受けている間、男子には外でドッジボールなどをさせています。これが生理や女性特有の健康問題についての話を、タブー視するゆえんとも言われています。今まで男女一緒に授業を受けたという事例は、ほとんど聞いたことがありません。

 女性の健康について企業で話をすることがありますが、結局大人でも女性ホルモンの話であれば女性限定にしましょうと言われることもあり、理解が得られません。小学校・中学校・高校などから月経関連疾患の勉強をする機会があれば若年女性への理解も進みます。さらに男性も同じ時期から勉強する機会があれば男女間の理解も進むと思います。

【宮川】 もともと教師をしていたころから、不自然に感じているのが、性教育の話になると大人が勝手にいやらしいことを想像して、子どもたちに変な影響があるのではないかと恐れてしまうことです。子どもたちは必要な知識として積み上げていくわけですが、勝手な大人の妄想で、子どもたちへ正しい知識を与えることが妨げられていると思います。恥ずかしいことほど、辛いことほど、子どもたちに教えることができない。勇気のない先生が非常に多いのを残念に感じています。

 ゆえに間違った妊娠や、体調を崩した時に、自分の体から発せられるSOSの変化にも気づくことができなくなってしまうのです。これは子どもたちの未来を考えると由々しきことです。性教育によって慎ましさが損なわれるという意見もありますが、正しい知識を知った上で慎ましく振る舞うことを教えればよいのであって、これは教育上の大きな課題だと思っています。

 また、私は教育分野を専門にずっと取り組んできましたが、今、学校医制度の見直しや、小学校から高等学校までの教科書の中で、月経関連疾患を取り扱ってもらおうと一生懸命活動しています。学校医の見直しについては、学校医が内科・整形外科・心療内科・産婦人科医などの医師と、緊密なネットワークが作れる体制を考えています。これに付随しますが、学校の健康診断で生理痛や、月経の状態を確認するための問診票を取り入れる制度を文部科学省と厚生労働省に提案しています。

「女性の健康週間」は国民運動に発展するのか

【西山】 厚生労働省は毎年3月1日~8日を「女性の健康週間」に定めて国民運動として展開するとし、様々な取り組みを行っています。頼もしく感じる一方、取り組み内容が行政的で一般の人に浸透しているのか、その点についてはいかがでしょうか。

【宮川】 「女性の健康」という社会課題は、ここ数年で政治的には少し根付いてきたとは思います。行政も何人に対しても平等に接しなければならないので、女性特有のテーマに特化することは難しい面もあります。ですが、「女性の健康」という課題を、今後は行政や各議員が考えて方向性を出していくべきです。

 与党としては、政府と一体となって、これまで申し上げたような地道な啓発活動から、女性の健康に関する支援を推進していく法律案などを通していけるように頑張っていきます。ただ、男性の目線がない女性の健康対策は結局理解されませんので、男性議員にもその必要性を根気よく説明していく必要があります。男女で対立構造をつくっていい結果が出るわけではないので、そこは私も政治家の一人として肝に銘じ、マッハスピードで進めていきたいと思います。

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