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女性が働きやすい職場のつくり方(前編) (2018/3/22 瓦版

関連ワード : 労働・雇用 女性活躍 

女性営業8割の組織はどうやってうまれたのか

石原亮子

女性が活躍する職場はどうすれば創れるのか。女性活躍推進の追い風を受け、着実に成功企業も増えてはいるが、まだまだ苦心している企業が多数派の印象だ。そもそも、女性社員は、男性ほど上昇志向がないというデータもある。そうした中、社員の8割が女性、しかもBtoBマーケティング営業支援専門のアウトソーシングという業態で、急成長を続けている企業がある。その秘密はどこにあるのか。代表として、女性営業部隊を束ねる(株)Surpassの石原亮子氏に聞いた。

女性営業を束ねる困難をどう乗り越えたのか

女性社員8割、女性管理職8割、20代8割、営業未経験8割…。同社は、数字で表すほどにいかに組織するのが困難かが、鮮明になる。社員の8割が女性はいいとしても、管理職の8割が女性は、なかなかのハードル。しかも営業未経験者が8割となれば、経営者がよほどの忍耐力があるか優秀人材をコンスタントに確保できる体制が整備されていなければ、その実現は困難といえる。

石原亮子2

現に、石原代表が女性の営業アウトソーシングでの起業を思い立った当時、いきなり壁にぶち当たっている。「ニーズは確実にあった。私には超ブルーオーシャンが広がっていた。でも…」。社員を募集するため、求人で女性営業経験者を募集したが、まったく集まらない。まさに茫然自失だ。求人媒体の担当者には「そんな人いませんよ」とけんもほろろに言われたという。無理もないだろう。

スター営業をかき集めた起業初期に訪れた危機

では、そこからどうしたのか。まずは、人脈などを頼りに、持ち前の行動力で優秀な営業人材をかき集めた。自身がトップ営業だった経験もあり、集めれば売り上げが立つ見込みはあった。実際、トップ営業人材がそろった初期の同社は、売り上げが上がった。ところが、現場は各自各様のやり方で、さっぱり統制が取れない。やがて、クライアントとの間でトラブルが頻発。職場はなんともいえない険悪なムードが漂い始める…。

当初、その原因を他者に求めた石原。だが、実は自身にあったことに気付く。出入りの営業マンに「石原さんには経営者としての理念やビジョンがないです」とズバリ。グサリと突き刺さる言葉だった。そこから石原は一転、「人財育成」に向き合うことを決める。ところが、かき集めたトップ営業人材にとっては、自分たちを否定するような方向転換。猛反発が起こる。話し合いは全くかみ合わず、最後はクーデターのような形で組織は空中分解。石原代表自身も心身に大きなダメージを負う。

組織空中分解のどん底から、180度の方向展開で復活

ここからは同社の第二章となるが、その方向を180度転換。なんと、未経験者の育成から始める覚悟を決める。新卒女性2人が入社。石原の手取り足取りの熱血指導にも音を上げることなく食らいつき、順調に成長。戦力に育った。なぜ、そんなことが可能だったのか。もちろん、石原の熱意のたまものではある。だが、育成法というより営業スタイルを徹底して磨き上げ、誰が取り組んでも結果につながる形にまで落とし込んだことが、最大のポイントいえる。

石原亮子3

そのスタイルを端的に表現するなら、女性ならではコミュニケーション力が生かせる部分を切り出し、重要な部分はクライアントに委ねるというもの。ターゲット選定や新規開拓、関係構築…。とりわけ大企業が苦手な部分を同社女性営業部隊が担うことで、スムーズな営業支援を実現。開拓に成功すれば、フォローやアップセル、クロスセルまでもしっかりカバーする。役割分担を明確にし、クライアント企業と絶妙な距離感を保ちながら信頼関係を構築。企業は売り上げを向上させ、関わった社員は自信を積み上げる――。

それはまさに、石原が起業を思い立った時に描いていたイメージに近い、女性による顧客に選ばれ続ける営業スタイルだった。こうして自らの営業ノウハウの全てを仕組みに落とし込み、女性営業を未経験から育て上げる形を構築した石原は、組織空中分解による再出発から、V字回復への基盤を整える――。(後編へ続く)

◇        ◇

<プロフィール>石原亮子 ryouko ishihara
短大卒業後、大手生保の営業職に就く。社内の否定的に声に反発するように泥臭い営業を続け、すぐにトップクラスの成績を上げる。顧客満足を追求する中で限界を感じ、3年で退社。以降、グルメサイトの立ち上げ、ペット保険の立ち上げ、地下水プラント、EC広告、オフィスのコンサル…など様々な職種を渡り歩く。常に高い成績を上げる中で、女性営業への大きなニーズを実感。2008年に起業する。20歳の頃、テレビで女性経営者の特集をみて「社長になる!!」と思い立って8年後のことだった。会社は苦難のスタートを切るが、V字回復し、現在、順調に規模を拡大。2017年には、「JAPAN WOMAN AWARD 2017」(Forbes JAPAN主催)の企業部門総合ランキング(従業員数300人未満の部)で第3位を受賞している。

(株)Surpass【会社概要】
社名:株式会社 Surpass
代表取締役:石原 亮子
取締役:清水 貴裕
所在地:【本社】〒141-0031
東京都品川区西五反田7-20-9 KDX西五反田ビル3F
【大阪営業所】〒531-0072
大阪市北区豊崎3-15-5 TKビル2F
事業内容:セールス・プロセス・アウトソーシング
営業コンサルティング
マーケティングラウンダー営業
カスタマークリエーションサポート(CCS)
ファンクリエーションサポート(FCS)
カスタマーサクセスサポート

提供:瓦版

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