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女性活躍社会を切り拓く~女性ホルモンと健康 (2017/3/24 政治山)
政治山が昨年11月に女性活躍に関する意識調査を実施したところ、過半数が「議員の理解が進んでいない」と回答しました(回答数2,214)。政治の世界は未だに典型的な「男性社会」というイメージが強く、女性議員の少なさや男性議員によるセクハラ、女性蔑視発言が後を絶たないことから、議員に向けられる世間の目は厳しいことがうかがえます。
成長戦略に欠かせない女性の健康
現在、働く女性2500万人のうち17.1%が婦人科疾患に罹り、その経済的損失額は医療面、生産性面を合わせて6.37兆円にものぼると試算されています(日本医療政策機構「働く女性の健康増進調査2016」より)。女性の体は思春期から月経が始まり、性成熟期での妊娠・出産・育児、女性ホルモンが減少する更年期、そして老年期とライフステージに応じて変化します。女性ホルモンのバランスが崩れると女性特有の病気を発病しやすくなるため、若いうちから包括的なヘルスケアと教育制度を充実し、予防に務めなくてはなりません。
このような背景から女性の健康週間にあわせて、3月4日に自民党女性局が「女性と健康」をテーマにパネルディスカッションを開催しました。会の冒頭で高階恵美子女性局局長(参議院議員)は「女性活躍推進法が成立して、女性の雇用、保育の受け皿拡大など制度の充実を図ってまいりました。今日は女性が生涯に渡って活躍するできる社会に必要な健康の知識を学ぶための、パネルディスカッションを開催します」と挨拶し、その後は活発な議論が交わされました。
パネルディスカッションでは小松裕女性局副局長(衆議院議員)コーディネートのもと、女性の健康と理解の促進を目指して様々な分野で活躍している4人がパネリストとして登壇しました。
女性健康包括的支援が求められる理由とは
2014年に自民党を含む4党が出産期や更年期など女性のライフステージに応じ(生涯にわたって)総合的に支援する「女性健康包括的支援法案」を参議院に提出しましたが、廃案になった経緯があります。「女性の包括的な健康支援」の必要性について、NPO法人女性医療ネットワークの対馬ルリ子理事長は以下のように述べました。
対馬氏――私が産婦人科医になって32年。お産の専門医として働いてまいりましたが、現場で酷いトラブルにたくさん遭遇しました。妊娠後に乳ガンや子宮ガンが見つかったり、早産になったり、母子の命が危ない人も診てきました。大学病院を辞めてからは、女性の健康について総合的にサポートしています。
1人では限界があるので、産婦人科医や内科医、泌尿器科医、カウンセラー、マッサージ師、薬剤師、漢方師等と一緒に女性の総合医療センターを創りました。同じような施設を増やすためにNPOを設立し、現在は600人程度の仲間と全国で活動しています。
センターの課題は、予防の検診や相談は保険適用外で個人負担になることです。利用者が増えづらいことで病院の採算が合わず、閉館に追い込まれるケースもあります。健康リテラシーが高い方や、経済的にゆとりのある方は通えますが、若い女性などに必要なケアが行き届かないのは問題です。
女性の健康を左右する女性ホルモンについて簡単に説明しますと、月経から排卵を助けるエストロゲンと妊娠を助けるプロゲステロンの2種類あります。2つのホルモンが大きく畝(うね)るように出るので月経と排卵の間で女性の体調とメンタルは変動します。
女性は閉経を迎えるころに更年期症状になり、女性ホルモンが一気に低下し、その結果、脳や骨量等にも影響が生じます。昔は寿命が短かったのであまり問題になりませんでしたが、最近は平均寿命が80~90歳近くまで伸びたので、更年期以降の時期が長期化しています。
女性は男性と比較して認知症が1.5倍、骨粗鬆症は20倍程度の確率で掛かりやすいと言われています。女性が寝たきりになる原因の1位が認知症、2位が骨折・転倒ですから深刻な問題です。女性ホルモンのバランスが崩れると体が弱りますので、栄養のバランスが取れた食事とエクオールの摂取をお勧めしています。
アスリートの世界でも進まない女性参画
健康管理が成績と直結するアスリートの世界でも、女性参画や健康への理解は進んでいません。順天堂大学の「女性アスリート戦略強化支援方策レポート」2012によると、JOC加盟競技団体の役員の95.8%(ロンドン五輪)が男性という結果がでました。アテネ、北京、ロンドンと3大会連続で、パラリンピックに出場した田口亜紀さんのコメントを紹介します。
田口氏――25歳の時に脊髄の病気を発症して下半身付随になり、車椅子生活になりました。病気後に友人の勧めで射撃に出会いました。28歳からアスリートの世界に入ったのですが、日本のオリンピア、パラリンピアは小さな時から、世界を目指して練習に励んでおり、成績を延ばすため、健康を疎かにしてしまう選手もいます。
新体操の選手等で体を綺麗にみせるため無理なダイエットをして月経が止まっている人を何人も見てきました。無月経になると女性ホルモンが減少し、骨密度にも悪影響を与えてしまいます。私のように下肢に障害を持つ選手等は下半身の骨密度が上半身よりも低いですから特に注意が必要です。アスリートにとっても、ずっと女性であることの方が根本的ですから、体を守るための教育が必要です。
アスリートの世界は監督や役員などの指導者に男性が多いので、生理や月経になっても体の悩みは打ち明けづらい環境と言えます。特にパラリンピアの場合は監督やコーチにスポーツ界出身者が少なく、福祉施設出身者が監督や役員になっています。現場も変わらなくてはなりません。現役時代に同じ経験をした元女性アスリートが指導者になって、競技連盟に対して選手の苦労を伝えてほしいと思います。
女性ホルモンと健康について
アスリートの世界と同様に、民間企業も同様の課題を抱えています。帝国データバンクが発表した「女性登用に対する企業の意識調査」2016によると、調査対象企業の管理職に占める女性比率は平均6.6%。民間企業でも女性参画と健康理解はまだまだ進んでいないと言えます。女性に加え男性管理職向けに「女性の健康セミナー」の出張セミナーを行い、女性ホルモンの知識を啓発している大塚製薬株式会社「女性の健康推進プロジェクト」の西山和枝リーダーのコメントを紹介します。
西山氏――日本人女性が閉経を迎える平均年齢は50歳で、前後5年の10年間が更年期と言われているので、49歳の私は更年期真っ只中です。仕事柄、勉強してみてびっくりしたことに、女性でありながら自分の体を全然理解できていませんでした。勉強して女性ホルモンの役割が分かって腑に落ちたので、みなさんにも理解していただきたいと思っています。
大豆イソフラボン以上に女性ホルモンに似た作用を示すと言われる、エクオールという成分はご存知でしょうか。大塚製薬ではエクオールの作用を研究し、サプリメントにしたものを販売しています。エクオールは40代以降、女性ホルモンの減少に伴い発生するホットフラッシュ、首肩こり痛等の緩和に寄与すると言われています。
「女性の健康セミナー」を企業向けに開催している理由は、女性活躍推進法が成立して以来、多くの企業が女性管理職を増やすため、キャリアプランの改善に力を入れていますが健康の視点が不足しています。私たちはキャリアマネジメントする上で、健康をマネジメントすることが重要と考えており、セミナーを通してヘルスケアに必要な知識を提供しています。
ホルモンケア推進プロジェクトの調査で、更年期障害を理由に、3人に1人以上が退職の意向を、3人に2人以上が昇進辞退の意向を示していることがわかりました。女性管理職を増やすには更年期障害への対策が必要と考えており、更に知識を深めてもらえるよう、お役立ち情報をまとめた更年期ラボというサイトを運営しています。
企業の担当者が男性の場合、最初の反応は女性社員対象にセミナーを行ってほしいと言われます。しかし、セミナー後、女性の受講者からのアンケートでは男性社員や管理職にも実施してほしいという意見が多かったので、男性管理職向けにもセミナーを開催するようになりました。出張セミナーを受けた男性管理職からは、女性活躍の推進に健康の視点がすっぽり抜け落ちていたという反応も多く寄せられています。これは男性にも言えることですが、健康な体が土台にあってこそ活躍できます。まずは女性が女性ホルモンや健康への正しい知識を持って何か不調があればセルフケアをする、また、かかりつけ医に気軽に相談してほしいと思っています。こういった話を男性から女性にすることがタブー視されている雰囲気がありますが、職場や家庭で話題にできたら女性の負担も軽減できるのではないでしょうか。
男女を隔てる意識の壁
最近はパワハラ、モラハラなどハラスメントに対する社会の目が厳しくなっている傾向にあります。労働政策・研修機構の調べではセクハラの内容と被害者の割合のうち「容姿や年齢、身体的特徴について話題にされた」が最多の53.9%と発表されています。女性に体調を話題にするとセクハラと受け止められてしまうのではと、接し方に悩んでいる男性もいるようです。続いて、民間から環境大臣に就任し、参議院議員を経て、現在は明治大学国際総合研究所特任教授、企業の社外取締役などを務め、役員の悩み相談にも乗っている川口順子さんのコメントを紹介します。
川口氏――私は妊娠時に子宮外妊娠という病気を発症しました。忙しくて、出血がありましたが病院に行く暇もなく、仕事中に救急車で運ばれることになりました。幸いなことに倒れたのが永田町だったので、目の前の虎ノ門病院に運ばれてすぐに手術を受けることができて助かりました。自身の経験から体調に異変を感じたらすぐに病院へ行くことをお勧めしています。
私が社外取締役を務めている企業の役員から女性を登用したいがどうすれば良いか相談を受けたことがありました。会社が女性社員を育成したいと思っても男性役員は女性社員にどのように気を配ればよいか分からないと悩んでいて、女性社員に生理のことを話題にしたらセクハラになると心配していました。
田口さんのお話にもありましたが、女性特有の体調については男性に相談しづらい話題です。会社として女性の健康に取り組んでいくことで気軽に話題にできるようにしていく必要があるのではないでしょうか。
都道府県単位でも、自民党あげて女性活躍の推進を
最後に主催者から以下のように締めくくられました。
高階女性局局長「『女性の健康週間』に各都道府県単位で取り組みが加速することを期待したいと思います。3月8日は国際女性の日で、ひな祭り等のイベントもありますから、女性局をあげて皆様と共に女性の活躍と健康支援のための具体的な取り組みを進めていきます」
小松女性局副局長「自民党としても女性局副局長としても、女性の健康を応援していくとお誓いいたします」
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