“職場”で運動会を行う企業の意外にディープな狙いとは (2018/3/6 瓦版)
工場で遊びまくって愛社精神が強まるユニークで合理的な運動会
工場での作業の合間に悪ふざけしている!?。そんな風にしか見えない画像だが、実はコレ、れっきとした企業の社内運動会のワンシーン。運動会といえば、運動場や体育館が常識。だが、この運動会は工場でやることに意義がある――。
実施したのは、リングロー(株)。<中古を活かした素晴らしきIT社会を実現する>をビジョンに掲げ、IT・OA機器の販売・買い取り・改修・修理などを行っている。同社碇敏之社長は開催の狙いを次のように明かす。
「『パソコンはもう必要ない」、『スマホで十分』などの声を耳にすることがあるが、ビジネスの現場ではいまだパソコンは必要不可欠。学生たちも社会人になればパソコンを使いこなして仕事をしなければならない。そこで我々の目指す社会の実現を少しでも感じてもらうため、運動会にパソコン要素を盛り込むことで楽しみながらスキルアップを図ってもらおうと考えた」。
職場活性化の取り組みで欠落しがちな要素とは
場所は、埼玉県の同社パソコン再生工場。普段は工場へ出勤しない社員も少なくなく、同所での運動会は、自社をより深く知る機会にもなる。冒頭のシーンは、パソコン内部を掃除するエアーコンプレッサーの風を利用し、緩衝材をボール代わりに風で浮かせ、打ち合う、“緩衝材バレーボール”。仕事中なら上司に激怒される不謹慎極まりない“競技”だが、年に一度のお祭りだから、もちろん何のお咎めもない。
競技は他に、タイピング早打ち、新世代の鬼ごっこ、会社プレゼンなどもあり、楽しんでいるようで、しっかりと自社商材、そして自社の理解を自然に深めるようなプログラム構成となっている。終わってみれば、筋肉のハリと愛社精神の増幅というリターンが得られる算段だ。
かつて、社内コミュニケーション強化の名目で、社内運動会が活発に行われた時期がある。昨今は景気低迷などもあり、縮小傾向だが、ここへきて見直す動きも出始めている。とはいえ、なんのためにやるのか…。そうしたことが欠落しがちな職場活性イベントも少なくない。それだけに、しっかりと社内認知やビジョン共有も絡め、プログラム設計している同社の運動会は、参考にすべきポイントが随所にちりばめられているといえそうだ。
- 関連記事
- 日本の会社員は本当に有休を取得する気があるのか
- 小学校の運動会で親がモンスター化するわけ
- ハラスメント、暴言、そして体罰のないスポーツ教育の普及をめざすスポーツコーチング・イニシアチブ
- 参加したくねぇ。会社にあったら嫌な制度・イベントの一位は秋恒例のアレ
- パラスポーツを通じて障害者への理解を―「あすチャレ!Academy」開講へ