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今後の働き方改革の行方は~働き方改革実現会議の中身とは (2018/2/28 nomad journal

働き方改革実現会議とは

働き方改革の基本的な考え方については、「働き方改革実行計画」に以下のようにまとめられています。

  • 日本経済再生に向けて、最大のチャレンジは働き方改革。働く人の視点に立って、労働制度の抜本改革を行い、企業文化や風土も含めて変えようとするもの。働く方一人ひとりが、より良い将来の展望を持ち得るようにする。
  • 働き方改革こそが、労働生産性を改善するための最良の手段。生産性向上の成果を働く人に分配することで、賃金の上昇、需要の拡大を通じた成長を図る「成長と分配の好循環」が構築される。社会問題であるとともに経済問題。
  • 雇用情勢が好転している今こそ、政労使が3本の矢となって一体となって取り組んでいくことが必要。これにより、人々が人生を豊かに生きていく、中間層が厚みを増し、消費を押し上げ、より多くの方が心豊かな家庭を持てるようになる。

この目的を実現するために、同一労働同一賃金、長時間労働の是正などを具体的な政策として考えています。その政策について有識者も交えて議論する場が働き方改革実現会議なのです。

会議中にメモ

働き方改革実現会議における総理発言

働き方改革実現会議では、さまざまな参加者がいますが、特に重要なのが総理の発言です。働き方改革は官邸が積極的に進めている政策ですので、総理の発言を追っていくことで、これからの改革の行方も分かるでしょう。ここでは全10回の会議における総理に発言についてまとめます。

■第1回働き方実現会議における総理発言
第1回の会議では、これから働き方実現会議で議論すべき議題を総理が述べています。それは以下の9つです。

1番目に、同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善。
2番目に、賃金引き上げと労働生産性の向上。
3番目に、時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正。
4番目に、雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の問題。
5番目に、テレワーク、副業・兼業といった柔軟な働き方。
6番目に、働き方に中立的な社会保障制度・税制など女性・若者が活躍しやすい環境整備。
7番目に、高齢者の就業促進。
8番目に、病気の治療、そして子育て・介護と仕事の両立。
9番目に、外国人材の受入れの問題。

この中でも同一賃金同一労働、長時間労働の是正などが活発に議論されたテーマです。

■第2回働き方実現会議における総理発言
第2回ではテレワークについて、「子育て・介護と仕事の両立の手段、そして副業・兼業はオープンイノベーションや起業の手段としても有効」とし、その普及を目指すとしています。また、「単線型の日本のキャリアパスを変えていきたい」とし、「学び直しから、職探し、就職に至るまで、官民一体となって、中途採用機会の門戸を広げる方策を検討したい」と述べています。確かにこれから労働者も高齢化していきますから、60代でも人材としてどのように企業が活用していくかは重要なポイントでしょう。

■第3回働き方実現会議における総理発言
第3回では女性の復職・再就職について、「労働生産性の向上の点でも問題があり」、「女性がライフステージに応じて、再就職しやすい環境を整えるため、私はリカレント教育に注目したい」と述べています。リカレント教育とは教育を終えて、働き始めてからも必要であれば再び教育を受けることができる教育制度のことです。こうした制度の推進をしたいということです。具体的には「個人の学び直しについては、労働者個人を支援する、教育訓練給付制度について、対象講座、給付額等の拡充」をしていくことになります。

■第4回働き方実現会議における総理発言
第4回は同一労働同一賃金の議論が中心で、「福利厚生や教育、あるいは研修の機会等にも恵まれていない点もあるわけでありまして、そういった処遇全般についても目を向けていく必要が」あり、「正規と非正規の賃金差は、特に、大企業において顕著であり、是正する必要がある」としています。この問題はなかなか解決が難しいものでもあり、正社員にとっては給料が下がる可能性もあるかもしれません。

■第5回働き方実現会議における総理発言
第5回は第4回の会議の続きで同一労働同一賃金についてです。同一労働同一賃金にすると、「自分の能力を評価されていると思う、そうすると、もっと頑張ろうと思うということが1点と、どうしてこういう差があるのかということが、納得できる」としています。「あの人より自分が給料が低いのは、例えば、自分は転勤が嫌だからということ等で、非常に納得感がある」と説明しています。非正規の人たちにとってはこうした説明は理解されますが、正社員の人にとってどこまで受け入れられるのか、なかなか難しいかもしれません。

■第6回働き方実現会議における総理発言
第6回では、まずこれまでの同一労働同一賃金の議論の続きの発言がありました。ここでは「大切なことは、不合理な待遇差の是正を求める労働者が、最終的には、実際に裁判で争うことが可能な法制度」としています。これまでよりかなり進んだ表現になっていますね。次に、「長時間労働の是正については、罰則付きで、時間外労働の限度が何時間かを具体的に定めた法改正が不可欠」としています。これは厳しい罰則規定を設けるという方向へと進んでいくと考えられます。

■第7回働き方実現会議における総理発言
第7回も長時間労働について議論されましたが、具体的な上限を決定することができていないと総理は述べています。なかなか上限を決めるのは難しいのが実情でしょう。

■第8回働き方実現会議における総理発言
第8回では、外国人材の受け入れについて「我が国では、専門的・技術的分野の外国人については、わが国の経済社会の活性化に資することから、積極的に受け入れることが重要」としていますが、「他方、専門的・技術的分野とは評価されない分野の外国人の受入れについては、ニーズの把握や経済的効果の検証だけでなく、日本人の雇用への影響、産業構造への影響、教育、社会保障等の社会的コスト、治安など幅広い観点から、国民的コンセンサスを踏まえつつ検討すべき問題との立場」だとしています。これから労働人口が減ってくる中で、外国人材の受け入れは必須ですが、なかなか議論が進んでいない印象です。

第9回働き方実現会議における総理発言
第9回は労働時間の上限について「上限をひと月100時間未満」で、「時間外労働時間の限度は、あくまで月45時間かつ年360時間が原則であり、労使は、上限までの協定締結を回避する努力を図ることで合意」したとしています。これを支援するために政府は労働基準法を改正するとしており、安倍政権の働き方改革の長時間労働に関する骨子もこの議論を踏襲しています。

■第10回働き方実現会議における総理発言
第10回では、会議はこれで終了し、これからは『働き方改革フォローアップ会合』を設けて、引き続き議論すると総理は述べています。確かに議論だけで終わってしまって意味がありません。今後もしっかりとフォローすべきですして、私たちもその議論を見守っていく必要があるでしょう。

正しい情報をしっかりと入手しましょう

働き方改革については国会を含めてさまざまな議論がなされています。同一賃金同一労働、長時間労働などは正社員の皆さんにも関係があることです。皆さんの働き方に関係があることですから、正しい情報を常に入手するようにしましょう。そして皆さんの働き方が少しでも良くなるように利用できるものは利用してみてください。

記事作成/ジョン0725

提供:nomad journal

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