働き方改革で助成金はどれくらい出る?~その内容とは~ (2018/2/8 nomad journal)
働き方改革の助成金とは
安倍総理が押し進めてきた働き方改革ですが、働き方を法的に整備しただけでなく、働き方改革を推進している企業に対しては助成金を支給しています。厚生労働省が支給している助成金にはさまざまなものがあります。ここでは特に「働き方改革」に関係する「職場意識改善助成金」について紹介します。
1.「職場意識改善助成金」とは
この制度は「中小企業における労働時間等の設定の改善を通じた職場意識の改善を促進するため、職場意識改善に係る計画を作成し、この計画に基づく措置を効果的に実施した中小企業の事業主に助成金を支給するもの」です。この助成金には5つのコースがありますので、申請内容にあったコースに申請する必要があります。
・職場意識改善助成金(職場環境改善コース)
このコースは「所定外労働時間の削減や年次有給休暇の取得促進を図る中小企業事業主に対して、その実施に要した費用の一部を助成する」ものです。以下のの目標を達成するために、支給対象となる取組を行います。
a.年次有給休暇の取得促進
労働者の年次有給休暇の年間 平均取得日数(年休取得日数)を4日以上増加させる
b.所定外労働の削減
労働者の月間平均所定外労働時間数(所定外労働時間数)を5時間以上削減させる
・職場意識改善助成金(所定労働時間短縮コース)
このコースは所定労働時間を短縮する努力をした中小企業を対象に支給される助成金です。目標としては「事業主が事業実施計画において指定したすべての事業場において、週所定労働時間を2時間以上短縮して、40時間以下とする」ことです。この目標を達成するために指定の取組をしていきます。
・職場意識改善助成金(時間外労働上限設定コース)
このコースは労働時間の上限を設定する取り組みを行っている中小企業を支援するコースです。成果の目標としては「事業主が事業実施計画において指定したすべての事業場において、労働基準法第36条第1項の規定によって延長した労働御時間数を短縮して、限度基準以下の上限設定を行うこと」です。この目標を達成するために、指定された取り組みを行います。
・職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)
このコースは勤務間インターバルに取り組んだ中小企業を支援するコースです。ここでいう勤務間インターバルとは「休息時間数を問わず、就業規則等において「終業から次の始業までの休息時間を確保することを定めているもの」を言います。成果目標としては「事業主が事業実施計画において指定したすべての事業場において、休息時間数が「9時間以上11時間未満」又は「11時間以上」の勤務間インターバルを導入する」ことです。この目標を達成するために指定された取り組みを行っています。
・職場意識改善助成金(テレワークコース)
このコースは在宅やサテライトオフィスにおいて就業するテレワークを推進する中小企業を支援するコースです。成果目標としては以下の3つです。この3つの目標を達成するために指定された取り組みを行います。
- 評価期間に1回以上、対象労働者全員に、在宅又はサテライトオフィスにおいて就業するテレワークを実施させる。
- 評価期間において、対象労働者が在宅又はサテライトオフィスにおいてテレワークを実施した日数の週間平均を、1日以上とする。
- 年次有給休暇の取得促進について、労働者の年次有給休暇の年間平均取得日数を前年と比較して4日以上増加させる。
又は所定外労働の削減について、労働者の月間平均所定外労働時間数を前年と比較して5時間以上削減させる。
2.支給額はどれくらい?
支給額についてはコースによって、また達成度合いによって違います。助成金の額としては決して多くはありませんが、利用できるものは利用した方が良いでしょう。
・職場意識改善助成金(職場環境改善コース)
a・b両方100万円、aかbのどちらか83万円、どちらも達成できず67万円
・職場意識改善助成金(所定労働時間短縮コース)
上限50万円まで支給
・職場意識改善助成金(時間外労働上限設定コース)
上限50万円まで支給
・職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)
「新規導入」に該当する取組がある場合
休息時間数が9時間以上11時間未満の場合、40万円
休息時間数11時間以上の場合、50万円
「新規導入」に該当する取組がなく、「適用範囲の拡大」又は「時間延長」に該当する取組がある場合
休息時間数 9時間以上11時間未満の場合、20万円
休息時間数11時間以上の場合、25万円
・職場意識改善助成金(テレワークコース)
成果目標を達成した場合
1人当たり上限15万円、1企業当たり上限150万円
成果目標未達成の場合
1人当たり上限10万円、1企業当たり上限100万円
3.申請方法は?
指定の用紙を各都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に提出します。何か不明な点があれば、こちらに問い合わせましょう。助成金には締め切りもありますので、注意しましょう。
その他の助成金は?
「働き方改革」については他にも従業員の雇用などで利用できる助成金があります。上記の助成金を申請できないとしても、他にも助成金を申請できる可能性がありますので、厚生労働省の一覧を参考にしてください。
地方自治体が支給する働き方改革の助成金もある
安倍総理が推し進める働き方改革ですが、働き方改革を推し進めるために、政府だけでなく地方自治体でも独自の努力をしています。各自治体の取り組みについては厚生労働省のホームページに掲載されていますが、例えば東京都では働き方改革宣言企業を募集しており、最大で100万円支給されます。他にも自治体によってさまざまな取り組みがなされていますので、各自治体のホームページで確認してみましょう。
助成金の制度についてよく理解しておこう
働き方改革を実施することで会社の評価も高まりますが、それだけではなく助成金が支給される場合もあります。国から支給される助成金だけでなく、地方自治体が支給する助成金もありますので、助成金について調べて理解しておきましょう。中小企業にとっては助成金が少しでも入れば助けになります。利用できるものがあれば申請してみましょう。
記事作成/ジョン072
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