筑波大生の投票行動分析 維新支持、政策を重視か (2017/11/6 筑波大学新聞)
本紙は10月22日投開票の衆院選・茨城6区で筑波大学生150人を対象に出口調査を実施した。この結果、自民党候補と自民党に投票した学生が、小選挙区で約7割、比例代表で6割と、いずれも小選挙区、比例代表北関東ブロックの得票率を大きく上回った。筑波大生の自民党支持が明らかになったが、調査で興味深かったのはこれだけではない。比例代表で日本維新の会(維新)に投票した学生が9.3%と、同ブロックの得票率3.4%を大きく上回ったのだ。維新の教育・子育てを重視する姿勢が評価されたことや、希望の党(希望)への不信感が理由と考えられる。
今回の出口調査では、小選挙区、比例代表それぞれの投票先と選んだ理由、支持政党、重視した政策を調査した。この結果、比例代表の投票先を選んだ理由では、「支持政党だから」と回答した学生が40%と最多。また、重視した政策では「景気・雇用対策」が45.3%で、次いで「外交・安全保障」(28%)となっていた。
だが、維新に投票した学生は違った。78.6%が「政策を支持」の理由で投票。重視した政策では、「景気・雇用対策」(50%)が最多だったが、次は「教育・子育て」(33.3%)だった。維新の場合はその政策が学生に支持されたことが分かる。
衆院選で維新は「身を切る改革で教育無償化」を掲げて選挙運動を展開。更に、大阪で議員定数の大幅削減や市営バスの経営改革で、平成20年度決算では10年ぶりに府財政の収支黒字化を達成した。
また、高校授業料の無償化にも取り組んでいる。「教育・子育て」の政策を重視し、実行する姿勢が学生たちの支持を集めたのではないか。
筑波大生が維新を支持する理由はほかにも考えられる。150人の中には、「支持的に希望、維新寄りだが、希望にあまり良い思いを持っていない」と回答し、維新に投票した学生がいた。
今回の衆院選直前、小池百合子都知事が希望を立ち上げ、直後に民進党の前原誠司代表(当時)が同党の希望への合流を発表。だが、小池代表の「排除」発言で、民進党議員が希望と立憲民主党に分かれた。また、安全保障法制に対して激しく反対していた議員が希望の公認を受けるため、主張を変えてしまうような、当選目的の議員の存在が批判された。
一連の騒動で、希望は失速。議席を減らした。これを見た学生の中には、政策的に最も近い維新に投票せざるを得ない、と考えた人もいたのではないか。
だが、今回の出口調査の対象となったのは、筑波大生全体の一部であることも事実だ。今後も筑波大生の政治への考え方を調査していきたい。
(筑波大学新聞・石川泰行(いしかわやすゆき) 社会学類3年)
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