筑波大周辺の投票率低い 一票通し声の「発信」を (2017/7/10 筑波大学新聞)
筑波大学生の投票率の低さが浮き彫りになりつつある。昨年7月の参院選、同11月のつくば市長・市議選を見ると、天久保、天王台など筑波大生が多く住む地域の3投票所では、投票率平均が30.83%と市全体の平均(52.35%)を20ポイント以上下回っていたほか、昨年開設された中央図書館内の期日前投票所も筑波大生の利用者が少ないという。政治は私たち若い世代の生活にもさまざまな形で結びつく。昨年、「18歳選挙」が始まったことを考えても、大学生は投票による「発信」を怠ってはいけないと思う。
つくば市選挙管理委員会によると、このうちつくば市長・市議選だけを見ると、筑波大生が多く住む地域の3投票所の数字はさらに低くなる。投票率平均は27.08%と、市全体(53.31%)を大幅に下回った。
またこれに加え懸念されるのが、昨年7月に筑波大中央図書館に設置された期日前投票所の利用状況だ。市選管によると、「(外見から判断して)学生の利用者は少なかった」といい、つくば市長・市議選の場合、一日あたりの利用者平均は130人と、ほかに市内に8カ所ある期日前投票所(471人)を大幅に下回っていた。市選管によると、今後も利用者が少ない場合は、将来的に閉鎖の可能性もあるという。
2年前の夏の2カ月間、茨城県取手市の市議会議員のもとでのインターンシップに参加したことがある。勉強会参加や議会傍聴などが主な内容だったが、あるイベントで出会った60代の支持者の男性の言葉が忘れられない。
「年齢が高い世代の投票率が高いため、(高齢者向けの)福祉施設の充実などを公約の中心に掲げる議員が多い」
議員の中には当選を重要視する者もおり、彼らには得票数を増やすために確かにそういう「現実」があるのかもしれない。だがこれを逆に言えば、若者の投票率が低い限り、議員は若者向けの政策をなかなか実現しない、ということになる。そうなれば、若者は街を離れ、街は寂れ、それは結局、高齢者たちの住環境に悪影響を与える。これは悪循環以外の何物でもない。
先につくば市長・市議選での大学生の投票率が特に低いとみられる現状に言及したが、ここで考えるべきは、地方政治は私たちの生活に大きな影響があることだ。街灯設置や生活道路の整備など、身近な生活環境の改善は地方自治体が行うことが多い。
今年8月には茨城県知事選挙が行われる。繰り返すが、投票で声を「発信」しなければならない。
(筑波大学新聞・石川泰行(いしかわやすゆき) 社会学類3年)
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