待機児童、2年連続ゼロ―大和市 (2017/4/28 タウンニュース)
4年で施設3倍、定員2倍
大和市は2017年4月1日時点で、保育所などの待機児童数が2年連続でゼロになったと発表した。昨年の待機児童ゼロ達成後も、保育所などの整備を進め、定員増を図ったことなどが大きな要因だという。
2年連続の待機児童ゼロ達成に大木哲市長は「待機児童対策は市の最重要課題の一つ。これまで取り組んできた施策が実を結んだ」と喜んだ。
昨年4月1日時点で初めて待機児童数ゼロを達成した大和市。その後も、認可保育所3施設(保育園おそらのぽっけ、まなびの森保育園中央林間、大和南林間雲母(きらら)保育園)、小規模保育事業所4施設(とこちゃん保育園、大和くれよん保育園、なないろ保育園、プリンス保育園南林間)、家庭的保育事業所1施設(こひつじ保育室)、認定こども園1施設(認定こども園中央林間幼稚園)の計9施設を新たに整備。既存の公立保育所などの定員拡大も図り、入所定員数を前年より346人増の3455人(過去最多)まで広げた。
これにより市内の保育所等の施設数は2013年度に比べ3倍に、入所定員数は2倍にまで増えた。
さらに保護者の意向や状況を確認する「保育コンシェルジュ」を1人(1カ所)から2人(2カ所)に増員、待機児童が生じないよう、保護者の意向などを確認したことも奏功した。
次なる課題「隠れ待機」対策
一方で、積極的な待機児童施策が生んだジレンマもある。「隠れ待機児童」の再増加がそれだ。
「隠れ待機児童」とは、保護者が求職活動を休止している場合やほかに利用可能な保育所等があるにも関わらず特定の園を希望している、育児休業中で保育所などに入所できた時に復職することが確認できないなどに該当する待機児童のこと。厚労省の定義で、これらは待機児童数にカウントされない。この「隠れ待機児童」が273人と昨年に比べ約100人増えている(昨年は176人)。
これは市が待機児童の解消をめざし、この3年間、積極的に保育所施設の整備、定員の増加を進めてきたが、環境が整備されていくにつれ、少しでも希望に沿う場所にという保護者が増えてきた結果ともいえる。待機児童ゼロを達成したこの2年は、皮肉なことに「隠れ待機児数」が急増してしまった。
担当の市ほいく課でも、この状況を認識しており、17年度はさらなる保育所の整備、入所定員の拡大を図るとともに、保育の受け皿として市認定保育施設における3歳児までの受け入れと幼稚園の預かり保育に対する補助の拡大、企業主導型保育事業の地域枠確保などに取り組むとしている。
すでに企業主導型保育事業で4月に開園したところに、定員の半分(6人)を地域向けの枠として確保したい旨を打診している。保育コンシェルジュも3人目の募集を開始。新年度はこれら様々な手法を組み合わせた対策で「隠れ待機児童」を含めた「待機児童ゼロ」に期待がかかる。
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