つくば市政務活動費 識者「情報公開推進を」 (2017/1/23 筑波大学新聞)
つくば市議会の政務活動費について、取材を通じて今後の課題などを探った。
情報公開の透明性
つくば市議会の場合、政務活動費の収支報告書(概要)はネット上で公開しているが、その具体的な領収書は非公開。だが、高知県や神戸市などでは政務活動費の領収書をネット上で公開している。
政治学が専門の竹中佳彦教授(人社系)はこうした情報公開を推進した上で「ただ単に公開するだけではなく、市民にその解釈や説明を行うシステムも必要」と語る。実際にネット上からある市の政務活動費の収支報告書などを見ても、読んですぐに内容を理解することは難しいからだ。同教授は「議員や行政は説明責任を果たすべきだ」と話す。
また、政務活動費を調べる際必要となったのが、同費や交付申請手続き、報告書の書き方などについて記載してある「政務活動費の手引き」(つくば市議会作成)だった。
つくば市ではこの手引きはネット上では公開していなかった。一方で静岡市や三重県桑名市などではネット上から閲覧することができる。
つくば・市民ネットワークの宇野信子同市議員は「政務活動費について知ってもらうためには手引きを誰でも閲覧できるようにすることが必要」と話した。
足りない?活動費
一議員あたり月額3万円が交付される政務活動費だが、各会派の収支報告書では支出額が交付額内に収まるのは9会派中3会派で、残り6会派は支出額が交付額を超えていた。
超えた金額の幅は29円から最大28万5840円とさまざまだった。政務活動費の使い方について、つくば自由民主党・つくば維新の会(現・自民つくばクラブ・新しい風)の小久保貴史同市議員は、「交付額が決まった後に会派内で年間のおおよその支出計画を立てる」という。
同議員によると、支出額を交付額に合わせるのではなく、活動内容を重視し、支出額が交付額を超えた場合は議員から徴収するというのが基本的な方針だ。
だが、山中八策の会の塩田尚同市議員は「会報費や毎月の研修費は自費で払わないとまかなえない」と話し、月10万円ほどを自身の報酬から充てていると明かした。塩田議員は「議員活動でかかる出費を自費で払うような現状が続けば、議員を志望する人が少なくなるかもしれない」と懸念を示した。
小久保議員も「今の月額3万円では少なく、5万円程度が妥当」と本紙に回答しており、現在の金額では足りないと感じる議員は少なくないようだ。
今後の課題
こうした中で、鍵となるのが市民の政務活動費への関心度だ。宇野議員は「市民から政務活動費の情報公開請求を行うなど、積極的に問題提起してほしい」と強調する。
昨年7月に本紙が行った調査によると、つくば市で市長・市議会議員選が行われることを知っていた筑波大生は5.6%で、市政への関心の低さが見受けられた。竹中教授は「日常の中で市との関わりが増えれば市政への関心が高まるだろう」と話している。
(筑波大学新聞・社会学類4年 井口彩、新田萌夏、平嶋健人)
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