サステナビリティイノベーション 2016年4つのトレンド (2016/10/5 EcoNetworks)
スウェーデンのシンクタンクSustainiaは
国際機関や国際NGOなどの専門家らとともに
2012年から世界のサステナビリティイノベーション事例を集めた報告書
「SUSTAINIA100」を発表しています。
2016年からはグローバルコンパクトとも協働し
イノベーションの拡大によるSDGsの達成を目指しています。
2016年にイノベーションが活発だったのは以下の4分野。
事例とともにトレンドをご紹介します。
Sustainia-2016年のトレンド(1) Well-being(健康で安心・安全生活)を促進するコミュニティ
「米国のスーパーマーケットの事例」
地域の人々の健康改善が地域経済の活発化につながることから
地域の健康促進に取り組む事例が増えています。
米国のスーパー「Daily Table」は
貧困・肥満問題解決のために食品ロスを使用し
健康的ですぐ食べられる食事を安価で提供。
生産者から流通、製造業など地域のさまざまな主体が食品の寄付を行っています。
Sustainia-2016年のトレンド(2)意外な原料から利益を生み出す
「アディダスの商品事例」
SDGs(持続可能な開発目標)が循環型社会の形成を掲げるなか
循環型ビジネス構築を目指す企業が欧州で増えています。
ドイツのアディダスは、海洋保護に取り組むNGOと共同で海にプラスチックごみや、
違法に設置された刺網を原料にして作られたシューズを発表しました。
2016年中に商品化の予定です。
Sustainia-2016年のトレンド(3)電力網をなくす
「ナトリウムイオン電池の開発事例」
大規模発電所からの送電電力に依存せず
複数の電源と蓄電設備を組み合わせた小規模の電力供給網
「マイクログリッド」の導入が世界で進んでいます。
マイクログリッドの維持に不可欠なのが蓄電池。
レアメタルを使うリチウムイオン蓄電池に代わる電池の開発が求められるなか
英国で、海水から無尽蔵に取り出せるナトリウムを利用した蓄電池が開発されました。
Sustainia-2016年のトレンド(4)ICTを活用してインフラを改善する
「尿を水に変えるトイレの開発事例」
途上国では、水や電気が利用できる人よりも携帯電話を所有する人の方が多いことから
ICTを活用したインフラ改善事例が増えています。
24億人がトイレがない生活を送っているという社会課題に取り組むため
米国で、太陽光を利用して尿を無害な水にするトイレが開発されました。
スマホを使って利用者が簡単にメンテナンスできる仕組みで
インドなど4カ国で導入されています。
企業にとって社会の持続可能性の追求は単なるビジネスチャンスではありません。
持続可能性への取り組みは
企業のイノベーション能力を促進し、
結果として企業の「持続可能な経営」にもつながります。
Deloitteの2013年の調査では、
サステナビリティとイノベーションの関係性について
・サステナビリティという思考のレンズを通すと、従来とは違う視点で戦略を検討することができる
・サステナビリティは、企業経営に制約を課すことから(例:環境への配慮など)
事業形態や製造工程の変更などのイノベーションを促進するドライバーになる
・サステナビリティとイノベーションのランキング掲載企業を比較した結果
サステナビリティ・リーダーはイノベーション・リーダーになりやすい
(サステナビリティでランクインしていない企業に比べて同年で4倍、翌年で6倍の差)
とまとめています。
- 関連記事
- 「ファストファッション時代の終焉」とも…世界的不振の裏に消費者の嫌悪・罪悪感も?
- 神戸から東北へ「自立」を目指した支援を継続 スポーツ×復興。アシックスがイベント開催
- LIXILが挑む世界のトイレ問題 経済損失は22兆円
- 病気だってダイバーシティ
- スイス発。地域資源を活かした屋根も壁もない宿泊施設は広がるか?