西京銀行と産学官が連携し実現した学生向け就活ツアーが好評 (2016/7/28 nezas)
近年、若者があまり旅行をしなくなっていると指摘されている。旅を通じて自分の視野を広げたり、日常生活では味わえない経験を積んだりすることは、人生の貴重な財産となるはずである。また、観光地にとっても市場の拡大や継続的な集客などの観点から、若者の訪問は大歓迎だ。
そんな事情もあり、観光庁では若者の旅行を「若旅」と名づけて動画配信や事業、表彰制度など各種の振興策を行っている。今回はその活動の一つ、山口県の西京銀行が自治体と共同で開催している「若旅 in やまぐち」を紹介する。
「若旅 in やまぐち」とは
山口県は、人口160万人(1985年)を直近のピークにして全国でも速いスピードで少子・高齢化が進んでおり、同時に、若者の県外流出も続くなど、地方の悩みを先駆的に抱えている自治体である。
「若旅 in やまぐち」とは、もともと広島経済大学の学生が「観光プラス 就活」という切り口でツアーを発案し、同大学と中国運輸局が連携してスタートした「若旅促進プロジェクト」が始まりであった。その後、西京銀行と広島経済大学、山口県が連携して新卒向けの就活と観光ツアーを合体し、2013年からスタートしたのだ。
3回目の開催となった「若旅inやまぐち2015」では、唐戸市場や錦帯橋といった観光地を巡りながら、山口県内の企業を訪問した。カニカマ製造機世界シェア7割の会社や、特殊な塗装施行技術で岩国基地や種子島宇宙センターの設備塗装を担う会社など、特色ある企業7社の工場見学だ。この工場見学で企業側は、農業法人での就農や神社での清掃などユニークな体験もしてもらい、参加した学生24名に山口の地元企業や、観光地としての魅力を伝えた。
「若旅 in やまぐち」の目的、成果
「若旅 in やまぐち」の目的は、地元オンリーワン企業の認知度を高め、同時に山口県の豊富な観光資源の魅力を発信していくことだ。それによって今後の山口県の観光市場を拡大し、交流人口・定住人口の増加につなげることが狙いだ。
過去のツアーでは内定者4名を出し、地元出身者と地元企業とのマッチングに成功している。ツアーの開催により、観光客や内定学生の増加といった一定の成果を上げることができたことで、2014 年には観光庁の第2回「若者旅行を応援する取組表彰」で「奨励賞」を、農林水産省の「オーライ! ニッポン大賞」では「フレンドシップ賞」を受賞している。
2016年は、課題解決型インターンシップを実施
西京銀行では、2016年の「若旅 in やまぐち」に向けた新たな取り組みとして、「課題解決型インターンシップ」を実施した。この取り組みは、「若旅 in やまぐち」の企画制作を課題とし、内容の充実を目指したものだ。学生たちをグループ分けし、グループワークをしたり、テーマを決めてプレゼンテーションの練習をしたりし、企画提案を行った。女性の働きやすさをテーマにしたもの、SNSを通して山口の情報を発信するものなど、実際に学生たちが考案した企画の発表などが行われた。
「若旅 in やまぐち2016」の実施期間は2016年9月6~8日の2泊3日となっている。今回、インターンシップで提案された内容がどのように反映されていくのか注目だ。
地方創生の新たな試みとして
「若旅 in やまぐち」のような産官学が連携して若者に地域の魅力を発信する取り組みは、全国でも初の試みである。学生からの評価としては、「就職に対する考えが大きく変わり、実感が湧いた」「訪問先企業からのアドバイスで、自分の適性を客観的に捉えることができた」「旅の魅力である人との出会いの素晴らしさを感じられた」「山口県の魅力を実感した」「就活と観光旅行を両立できた」などの声がある。
「若旅 in やまぐち」は、学生の抱える悩み(就職活動)と、地域貢献(地域の情報発信等)とをうまく組み合わせたツアーといえるだろう。ツアーのより早い時期での幅広い告知や文系学生への情報発信など、今後の課題も挙がっているが、回を重ねる毎に内容も充実している。
こうした試みが、地方創生に向けた新たな取り組みとして山口県外にも広がることが期待される。
提供:nezas
- 関連記事
- 増える親の反対で内定辞退!でもその先は?
- これから就職する人へ 面接前に「ブラック企業」を見分ける方法
- 大学側から疑問視・懸念の声 就活めぐる文科省との意見交換会
- 地方移住ランキング! 2015年は上位に変化が・・・!?
- 鹿児島ならではの地方創生! あなたにもできる「宇宙の仕事」