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うつ病と診断されることもある男性の更年期障害 その症状と予防について (2016/8/8 JIJICO

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男性の更年期障害が近年注目を集めることに

「更年期障害」と聞くと、閉経前後の更年期に起こる女性特有の症状だと考えている方が多いかと思います。しかし近年、「男性更年期障害」が注目を集め次第に認知され始めていることをご存知でしょうか。

女性は、閉経を迎える50歳前後を挟んで45歳~55歳頃に卵巣の働きが弱まり、卵巣から分泌される女性ホルモン「エストロゲン」の量が減少することによるホルモンバランスの乱れが自律神経に影響し「更年期障害」の症状が起こります。これに対して「男性更年期障害」は、40歳頃から始まる男性ホルモン「テストステロン」の減少が原因で起こり、どちらもホルモンの分泌が以前とは異なった体内バランスに変化することに起因して症状が現れるのです。

考える男性

男性更年期障害の症状

男性と女性で原因となるホルモンの種類は異なりますが、引き起こされる症状は同様のものが多くみられます。身体症状としては、疲労感・ほてり・発汗・めまい・耳鳴り・頭痛・などがあり、精神症状としては、不安・イライラ・抑うつ・集中力、記憶力の低下・不眠などが挙げられます。

また男性の場合は性欲の減退・ED(勃起不全)が見られることもあります。「テストステロン」は、たくましく男らしい体格・骨格を作る働きがあり、同時に様々な意味で意欲的にハツラツと日々を過ごすための、言うなれば男らしさを作り出すホルモンなので、この減少が性欲や生殖機能の低下を招くのです。

性欲の減退や生殖機能の低下は男性としての自信を低下させます。また記憶力・集中力の低下は仕事にも影響することでしょう。不安感や抑うつの状態が日々の生活に悪影響を及ぼすことは想像に難くなく、「男性更年期障害」の症状は想像以上に深刻と言えます。

男性更年期障害をうつ病と診断されるケースも

一つ懸念されるのは、「男性更年期障害」によって起こっている「抑うつ」の症状が、いわゆる「うつ病」と診断されてしまうケースです。心因性のうつ病が発症する原因は諸説ありますが、ストレスの慢性化により脳内伝達物質であるセロトニンの分泌異常が起こることによって発症するという「セロトニン説」が有力です。心療内科などで「うつ病」と診断されると、このセロトニン不足を補うために抗うつ薬やSSRIなどのお薬を処方されますが、これらのお薬の中には「テストステロン」の値を下げるものもあることが報告されており、これでは症状の改善どころか逆の効果にもなりかねません。

「男性更年期障害」という言葉が聞かれるようになったのはこの10年足らずの間のことだと思います、一方「うつ病」は20年余り前から広く認知されるようになっており、このタイムラグが先に挙げた様なケースを招くのではないかと考えます。「うつ病」の原因と考えられるセロトニンの減少はストレスの慢性化によって起こります。また「男性更年期障害」の原因となる「テストステロン」は加齢によっても減少しますが、強いストレスを感じると生成されにくくなると言われています。

ストレスの増加が男性更年期障害の発症を招くことに

「うつ病」の罹患者数は1990年代後半から見ると現在は倍以上になっており、以前には耳にすることのなかった「男性更年期障害」も近年になって増えてきています。この背景には、仕事における成果主義や多様化した価値観、不安定な雇用体系の増加などによる社会心理的な不安、すなわちストレスを感じやすい時代が影響しているのではないでしょうか。

男性の40代は働き盛りで様々な責任も増え、ストレスフルな時代の中で日々を過ごすうちにいつの間にかストレスをため込み、結果として必要なホルモンが不足することが増えているのかもしれません。ストレスを感じずに生活をすることは不可能ですが、うまく付き合っていくことは可能です。何事も抱え込まず、相談できる相手を作る・休日は仕事から頭を切り替える・適度な運動を心がける・など、心と体の体力を維持することを心がけることが大切です。

提供:JIJICO

著者プロフィール
西尾 浩良/心理カウンセラー西尾 浩良/心理カウンセラー
西尾心理療法指導室
早稲田大学人間科学部健康福祉科学科卒。年間のべ80名ほどのクライアントに心理指導を行っている。 ストレスの元となる潜在意識の中の「マイナス暗示」の体験をクライアント自身の気づきによって克服し、ストレスを感じにくい性格に改善する心理療法の実践する。
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