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地震にあった人に周囲が今できる心理的な援助について (2016/4/20 JIJICO

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災害の被害にあった人に周囲ができる心理的援助について

引き続く地震などの自然災害に対して、身近な方が遭遇された方もいらっしゃると思います。その被害にあった人に対して、心理専門家でなくても今できる心理的な援助について、これまでの心理学の研究結果や私自身のカウンセリング経験から述べたいと思います。

カウンセリング

なお一つの指針として、米国国立PTSD(心的外傷後ストレス障害)センターと同国立子どもトラウマティックストレス・ネットワークが発行した「サイコロジカル・ファーストエイド[心理的初期援助](PFA)実施の手引き(第2版)」の日本語訳(兵庫県こころのケアセンター作成)があります。

この手引きは、初動の災害救援活動を行う人向けに作成された初期における心理的支援の手引きですが、一般の方でも参考になると思いますので、関心のある方は末尾のサイトにアクセスすれば日本語版の全文が入手できます。

心理的な初期援助で大事なこと

一番大事なのは、被災当事者が今何を必要としているかを正確に把握し、できるだけそれに答えるようにすることだと思います。

もしそれが食糧や衣類、また身内との連絡やライフラインの情報であれば、できるだけそれに対応するようにすることです。心理的援助を狭く考える必要はありません。相手の今必要としていることに対応するのが、真の心理的援助と考えます。

心理的援助でできること

それは相手の気持ちを支えることだと思います。この支えるとは、例えば相手の話を聴くことです。その際、ことさら励ましたりする必要はないと思います。大事なのは、相手の話しをそのまま黙って聴くことだと思います。

また、もし相手が話したくないならそれも尊重し、その時はただ黙って傍にいるだけでも十分だと思います。このことがいわゆる「共感」的理解であり、簡単に言えば喜怒哀楽を共にすることだと思います。

避けるべき態度

被災者をことさら弱者とみなすことは避けるべきと思います。そうではなく、逆に援助しようとする自分の側に焦点を合わせ、今自分が相手のために何ができるかを考えるべき、と思います。

また、今の時点で、起きてしまった災害時のことを聞くのは避けるべきと思います。そうではなく、「今・ここ」に焦点をあわせて相手の具体的な要望に応えられるようにし、そしてこれからの生活を少しでも進めることを具体的に一緒に考えることに集中すべきだと思います。

最後に、くれぐれも「善意」の押し売りにならないように気をつけるべきと思います。ことさらに相手を可哀想に思った態度や行動をすることは、逆に相手の気持ちをより傷つける可能性があることを心に留め置く必要があると思います。

「サイコロジカル・ファーストエイド(日本語訳)」のサイト
http://www.nctsnet.org/sites/default/files/assets/pdfs/pfa_japanese.pdf

提供:JIJICO

著者プロフィール
村田晃村田 晃/心理学博士・臨床心理士
うつ心理相談センター
法務省心理技官として25年間、非行少年や成人犯罪者の心理判定及びカウンセリングに従事。また、米国の3大学院に計15年にわたり留学し、修士号2、博士号1を取得。2010年帰国し、富山県富山市に「うつ心理相談センター」を開設。うつを中心とした心理相談サービスを提供している。
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