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今年も出た!不動産業界を揺るがす「2020年問題」とは!? (2016/4/24 JIJICO

オオカミ少年が叫ぶ「オオカミがやってくる!」

人間、ウソをついてはいけない。有名なイソップ物語には、これまた有名な「オオカミ少年」の話があって、「オオカミが来た!」と何度もウソをついた少年は、本当に狼がやってきた時には誰にも信用されませんでした。

悩む男性

「2020年問題」がやってくる!

そして不動産業界では、「2020年問題」が話題になっています。諸説ありますが、ちょうど東京オリンピックも終われば一段落、人口減少時代の中、「不動産価格が暴落する!」というものです。

諸説というのはそれが住宅価格の暴落だったり、オフィスの賃料の暴落だったり、果ては管理不全からマンション価格が暴落!だったり様々な「派生型」が生まれています。

これらは、
(1)今、起きている社会不安を題材に、
(2)「4-5年後」という人間の予測限界ギリギリの絶妙な将来に、
(3)おぼろげで破局的な終末像をイメージさせる、
こんな共通するプロセスで、キャッチーでもあり不安がよぎる話題を作っているのでしょう。

不動産業界のエージェントといえば、昼間から喫茶店でタバコを吸い、スポーツ新聞を読むのが日常。不動産取引の決済手続きに立会い、仲介手数料をゲットできる1時間以外は仕事とはみなされません。

そんな喫茶店で「2020年問題」のように様々なバリエーションが生まれる話題は、同業の格好の話のネタになるでしょう。業界の裏話としてこっそり教えられれば、一般人は「そうなんだ~」とつい信じ、得した気分になってしまいます。

不動産だけではない「2020年問題」

2020年問題は不動産だけではありません。労働市場でも、教育分野でも、建築業界でも、その他様々な世界で「2020年」問題が語られます。これらをまとめてつなげると、2020年の日本は、マンション価格は暴落し、街に失業者と老人があふれかえる一方で、IT技術者は極端に不足し、国にプライバシーが丸裸にされ、日本は多くの災害で深刻な不況に見舞われる・・・そんな世界になってしまうのです。

過去にもある「○○年問題」

そういえば、過去にもそんな話がありました。有名な「2000年問題」というのは、1999年から2000年になるとコンピュータープログラムが一斉に停止して社会が大混乱するという話だったでしょうか。

不動産業界ではこんなものがありました。

  • 「オフィスビル2003年問題」・・・大規模オフィスビルが続々完成し大幅に空室率が上昇し、賃料が下落する
  • 「ホテル2007年問題」・・・高級ホテルが次々完成し、ホテルの空室率が極端に上昇し、ホテルが倒産する
  • 「オフィスビル2010年問題」・・・それまでオフィスで働いていた団塊世代が大量に退職し、オフィススペースが要らなくなる

オオカミ少年の結末は?

人間の英知と努力の賜物か、気をつけて備えたからか、結局、目立った事件は起きなかったように思います。
最近、わたしたちもこの「○○年問題」に慣れて飽きてしまったせいか、インターネット掲示板に「2062年からタイムトリップしてきた未来人が2時間だけ現在にやってきて私たちにそっと未来を教えてくれる」などの変わり種も出てきました。

そして最後に、残念なことに冒頭のオオカミ少年の結末は、本当にやってきた狼に食べられてしまいました。
話半分、真実半分、日々悔いなく生きていくことで、その行く末を見ていこうではありませんか。

提供:JIJICO

著者プロフィール
中山聡中山 聡/一級建築士・不動産鑑定士
わくわく法人 rea 東海北陸不動産鑑定・建築スタジオ株式会社
富山県生まれ。東京大学医学部を卒業後、信託銀行(現.三井住友信託銀行)、近畿大学工学部、不動産開発上場企業(現.日本アセットマーケティング株式会社)、早稲田大学大学院ファイナンス研究科招聘研究員、チームラボ株式会社、株式会社カレン、不動産コンサルティング企業にて、インターネットで不動産取引ができる環境づくりを中心に、研究開発室長、経営監査部長として事業開発、M&A、事業会社管理に携わる。2012年に帰省し、株式会社リアルブレイン不動産鑑定代表取締役を経て、現在、わくわく法人 rea 東海北陸不動産鑑定・建築スタジオ株式会社代表取締役。不動産鑑定士・一級建築士。執筆・著書に『ビジネス図解 不動産のしくみがわかる本(同文館出版)』『空き家の問題と不動産鑑定評価について(北陸不動産鑑定会会報)』『はじめてでもわかる不動産金融工学(雑誌「ルクラ」連載)』『不動産カウンセリング実務必携(日本不動産カウンセラー協会刊・共著)』などがある。
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