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バブル期上回るマンション価格、その頂点を見極める3つの方法 (2016/3/9 JIJICO

新築マンションの気になる価格上昇

マンション価格が上昇しています。昨今の新築マンション市場では、供給戸数も大きく減少しています。2015年の首都圏マンション発売戸数は前年比約10%減少、10年前と比べると約半分です。その上、今回の発表では成約率も60%前後と落ちてきました。

新築マンション

気になる良くない兆候です。しかし売れ行きに勢いがなくても、すぐに安くならないのが新築マンション。昨今は復興需要などの職人不足、今後は消費増税、杭データ偽装事件対策の規制強化など、新築マンション価格に上昇圧力が続くでしょう。

中古マンション市場も、新築につられる形でここ2年ほど価格が上昇しています。筆者のところにも最近、「中古マンションを売りたいのだが?」という相談が増えています。どこまで上がるのか?いつか弾けるのか?東京オリンピックを控え、今後の展開に気をもむ人も多いでしょう。

こんなサインでバブルが弾ける

ところが不動産の市場が急変する際には、一定のサインがあります。地震のように突然でも、株式や為替相場のように突発的でもありません。筆者は、次の3つの兆候を見逃さないようにしています。

1.最初のサインは「株式市場の急落」

不動産投資は数年、数十年単位の長い目で運用します。そして株式はその日に売却できますが、不動産は売るのに時間がかかります。資金繰りに困る投資家は、まず株式から売却しますから、不動産市場の急変の数か月前に、株式市場の急落が起きるのが普通です。
そういえば、年明けから株式市場は急落していますので、今後不動産市場も要チェックです。

2.プロの動きを見る

一般の投資家に比べ、プロの不動産投資家の動きは迅速で機動的です。そのプロの動きを察知できるのが、J-REIT市場です。ここでは値動きよりもJ-REITに新たに組み込まれる不動産の状況に注目しましょう。公表されている資料を分析することで、不動産市況の変化を捉えることができます。

過去を遡ると2006年、不動産市場が活況を呈していた時、年間2兆円あまりの不動産がJ-REITに組み込まれました。そこでピークとなり、2年後にリーマンショックが起きています。直近では2013年に約2.2兆円のピークが来ました。現在、偶然にも2年が経過してしまいました。

3.金融引き締めが決定打

ただ、それだけでは市場は崩壊しません。資金繰りに困り、不動産を売る人が殺到する状況になることが必要です。そこにトドメを刺すのが金融、不動産は借金をして買うのが普通です。残債があるのに、ある日突然銀行から「返せ」と言われたら、不動産を売って返すしかありません。

バブル崩壊のきっかけは総量規制、リーマンショックではその名の通り銀行そのものが潰れました。当時、銀行の貸し渋り、貸し剥がしの姿勢が社会問題となりました。

しかし現在、日銀のマイナス金利導入をはじめ、積極的な金融緩和が行なわれています。その点安心できますが、持ち直す前に金融政策が変化して銀行が貸金回収に舵を切れば、市場は一気に悪化します。

相撲に例えれば俵一本残して踏ん張っている不動産市場、最後に、相場は神のみぞ知る、投資判断は自己責任で行ないましょう。

提供:JIJICO

著者プロフィール
中山聡中山 聡/一級建築士・不動産鑑定士
わくわく法人 rea 東海北陸不動産鑑定・建築スタジオ株式会社
富山県生まれ。東京大学医学部を卒業後、信託銀行(現.三井住友信託銀行)、近畿大学工学部、不動産開発上場企業(現.日本アセットマーケティング株式会社)、早稲田大学大学院ファイナンス研究科招聘研究員、チームラボ株式会社、株式会社カレン、不動産コンサルティング企業にて、インターネットで不動産取引ができる環境づくりを中心に、研究開発室長、経営監査部長として事業開発、M&A、事業会社管理に携わる。2012年に帰省し、株式会社リアルブレイン不動産鑑定代表取締役を経て、現在、わくわく法人 rea 東海北陸不動産鑑定・建築スタジオ株式会社代表取締役。不動産鑑定士・一級建築士。執筆・著書に『ビジネス図解 不動産のしくみがわかる本(同文館出版)』『空き家の問題と不動産鑑定評価について(北陸不動産鑑定会会報)』『はじめてでもわかる不動産金融工学(雑誌「ルクラ」連載)』『不動産カウンセリング実務必携(日本不動産カウンセラー協会刊・共著)』などがある。
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