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新卒の通年採用や一人一社制の見直し、当事者が置き去りになっていないか―18歳意識調査 (2019/9/25 政治山)

 日本財団(笹川陽平会長)は8月下旬、経団連と大学が従来の「新卒一括採用」を見直し2021年春の新卒生から導入する「通年採用」と、長年、高校生の就職活動で慣行となってきた「一人一社制」の見直しという新たな動きを中心に、18回目となる18歳意識調査を実施しました。

 この結果、「通年採用」に対する賛成は29.5%、反対は6.4%。賛成理由としては「企業・学生とも時間をかけて相手を選べる」(54.2%)、「企業が実績や能力のある人材を獲得できる」(43.4%)、「就労形態が多彩になる」(42.7%)などが挙げられています。

 一方、高校生の就職活動に関しては、1人の生徒が応募できる企業を一定期間、1社とする「一人一社制」が慣行となってきました。この見直しに賛成する意見は47.3%、反対は4.3%。こちらも48・4%が「わからない」としています。賛成理由では、「大学生と同等に複数社への応募にすることで選択肢や可能性が広がる」といった指摘が多く、反対意見では「知識が浅い段階では1つに絞って勉強した方がいい」といった意見が見られました。

今回の調査結果を受けて、日本財団の坂本織江氏は以下のように述べました。

「21年春の新卒生から導入される通年採用に対して18歳の6割超以上が「わからない」とし、同様に高校生の就職活動で一定期間一社しか応募できない一人一社制の見直しに対しても半数が「わからない」と回答した。両制度への戸惑いや関心の低さが表れた結果だ。

どちらの就職活動でも多様な機会を得られることはいいが、自主性が求められる新しい制度に今の若者がどのぐらい対応できるだろうか。大人たちもまた、彼らの成熟度合いを考慮し制度設計をしなければならない」

 今回のテーマは「働く」で昨年10月の第4回調査でも同じテーマで行っていますが、「通年採用」の導入や高校生の就職活動に関する質問は今回が初めてとのことです。

 主な調査結果は、以下の通り。

▼2021年春の通年採用 賛成29.5% 反対6.4%

「通年採用」についてどう思いますか?

「通年採用」についてどう思いますか?

▼賛成の理由1位は「企業・学生とも時間をかけて相手を選べる」54.2%

  • 通年採用に「賛成」の理由は、「企業・学生とも時間をかけて相手を選べる」(54.2%)が最多。他、「企業が実績や能力のある人材を獲得できる」(43.4%)、「就労形態が多彩になる」(42.7%)が上位にあがる。
  • 通年採用に「反対」の理由は、「就職活動期間には区切りがほしい」「実績がない新卒には不利」(各35.9%)など。次いで、「就職活動が長引く」「勉学に支障がでる」(各32.8%)と続く。
「通年採用」賛否の理由について

「通年採用」賛否の理由について

▼高校生の就活一人一社制の見直し 賛成47.3% 反対4.3%

  • 一人一社制ルールを見直す動きに「賛成」の理由としては、「いろいろな可能性を試せる」「就職先の幅が広がる」「複数の企業に応募できるようになると選択肢が増える」など歓迎する声が目立った。「高校生と大学生で就活のルールを変える意味が分からない」「高校生にも大学生同様の権利を与えるべきだと思う」など、高校生と大学生でルールが違う点に不公平さを指摘する意見もあった。
  • 「反対」理由では、「知識が浅い段階では1つに絞って勉強した方がいい」や「高卒生は慎重に就職先を決めるべき」といった声のほか、「大卒を優遇してほしい」と回答もあった。
  • 「わからない」では「システムを理解していない」「メリット・デメリットを理解できていない」「あまり考えたことがない」といった声が目立った。

「一人一社制」ルールを見直す動きについてどう思いますか?

 

■調査報告書について
詳細については、プロジェクトページに掲載している報告書をご覧ください。
18歳意識調査

■18歳意識調査について
2015年の改正公職選挙法で選挙権年齢が20歳から18歳に引き下げられ、翌年の参院選から新たに「18~19歳」が投票に参加しました。民法の改正に伴い2022年4月には成人年齢も18歳に変わります。そこで日本財団では、18歳の若者が何を考え、何を思っているのか、継続して調べる意識調査を昨年10月からスタートさせました。次代を担う18歳の意識を幅広く知ることで新しい社会づくりに役立てるのが狙いです。

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