過半数が消費増税に反対、軽減税率には一定の理解―18歳意識調査  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
トップ    >   記事    >   過半数が消費増税に反対、軽減税率には一定の理解―18歳意識調査

過半数が消費増税に反対、軽減税率には一定の理解―18歳意識調査 (2019/9/5 政治山)

 日本財団(笹川陽平会長)は、10月からの消費税引き上げを前に、7月下旬に「消費税」をテーマに17回目の18歳意識調査を実施しました。この結果、26.7%が「10%が妥当」、あるいは「さらに高くすべき」としているのに対し、47.1%は8%の据え置き、あるいはさらに下げるよう求め、消費税の廃止を求める声も9.6%に上りました。

 軽減税率に関しては「賛成」36.2%、「反対」34.9%でした。「生活必需品については据え置きだから」が賛成理由のトップ(48.3%)。反対理由では「生活必需品、外食と飲食料品の定義が曖昧」が60%近くを占め、「飲食料のほか、特定の新聞だけが対象となっている点が不自然」といった声も出ています。

 消費税の使い道は「子育て支援」「医療・年金・介護などの社会保障費」「教育や科学技術の発展」がトップ3。キャッシュレス購入に対するポイント還元策を支持する人は35.0%で、全体の61%がキャッシュレス購入を経験していないのが低い数字の一因と見られ、経験者に限ると過半数(53.6%)が支持しています。

 これらの調査結果を受けて、日本財団の坂本織江氏は以下のように述べました。

「国と地方の公債費が1,100兆円を超えてもなお、若者の消費増税への賛意は26.7%と低い。

 また、若者のキャッシュレス購入未経験者が過半数を超えるのでは救済策である「キャッシュレス決済でのポイント還元策」の恩恵を受けられる人も少ないだろう。負担だけが増えると捉えられては、将来の国の財政を支える若者たちの理解と納得を得られないのではないか。

 一方で、調査では消費税の希望使途は「子育て支援」がトップだった。増大する社会保障費という背景や使途など、なぜ増税するかを引き続き若い世代に説明する必要がある」

主な調査結果は、以下の通り。

▼消費増税「8%が妥当」と現状維持を望む意見が最も多い25.1%

10%、あるいはそれ以上にすべき26.7% / 8%、あるいはそれ以下にすべき47.1%

グラフ1

消費税が8%から10%に引き上げられますが、あなたはどう思いますか?(n=1000)

▼消費増税についての考え

  • 「8%が妥当」や「8%から下げるべき」と回答した人からは、「10%は高すぎる」「家計が苦しくなる」などの声や、「税が何に使われいてるのか明確ではないから」など税収が有効に使われているのか疑問視する声が多くあがった。また、「上げたところで景気が良くならない」「福利厚生が良くならない」など消費税が上がることによる経済的な変化や利益を実感できないという意見が目立つ。その他、「8%が妥当」の理由として、「今の生活に問題がない」「慣れた」など現状維持を望む声や、「軽減税率が面倒」という意見も。
  • 「10%が妥当」の理由として、海外の消費税が高い国を参考にし、税率を上げた分、教育や医療の無料化など社会保障の充実に充てるべき、という声が目立つ。それは「10%より高くすべき」と回答した層も同様である。他、「財政難だから仕方ない」という、現在の経済状況を考えると仕方ないという意見もあがった。
  • 「消費税を廃止すべき」と回答した人からは、「8%が妥当」「8%から下げるべき」と同様の意見があがった他、「昔はなかったんだから大丈夫」や「税込価格は計算が大変」という意見も見られた。

▼軽減税率については「賛成」36.2%、「反対」34.9%と、意見が拮抗

▼軽減税率賛成派の1位「生活必需品が据え置きだから」33.4%

反対派は「生活必需品、外食と飲食料品の定義が曖昧」58.7%、次いで「飲食料のほか、特定の新聞だけが対象となっている点が不自然」40.4%

▼キャッシュレス決済未経験者61.0%

キャッシュレス決済の中では、「電子マネー」(77.4%)が最多で2 位以下を大きく引き離す。次いで、「スマホ決済サービス」(42.3%)と続く。

▼消費増税にともなうポイント還元策を支持する35.0%

キャッシュレスで買い物する層に至っては過半数が支持。

▼キャッシュレス決済時ポイント還元策支持・不支持理由

  • ポイント還元策を支持する人は、キャッシュレス決済が効率的であり「コストや人件費の削減につながる」という理由で、キャッシュレス決済自体を支持している。そして、ポイントを還元することで、「キャッシュレスが普及しやすくなる」などキャッシュレス決済の普及に効果的である、という意見があがっている。
     また、「得しているように感じる」「ポイントがつくことによって利用者が増え、経済が活性化する」など、お得感を感じる還元策に好印象を持っている。・また、「得しているように感じる」「ポイントがつくことによって利用者が増え、経済が活性化する」など、お得感を感じる還元策に好印象を持っている。
  • 支持しない層は、「セキュリティが心配」「個人情報の流出、悪用」「日本は災害が多いので、停電時などに対応できない」など、キャッシュレス決済の普及にネガティヴな印象を持っている。また、「ポイント還元するなら、税率を上げた意義を感じない」など、ポイント還元の意味や仕組みについて疑問の声や、「キャッシュレス決済を使う人にしかメリットがないから」など不公平との指摘があがる。
  • 「わからない」と回答した人からは、「ポイント還元がよく分からない」など、ポイント還元策の仕組みを理解できていないという内容や、「キャッシュレスについての知識がない」という内容が多くあがった。

▼消費税増税分の使途「子育て支援」が51.0%。次いで、「医療・年金・介護などの社会保障」が44.5%、「教育や科学技術の発展」が38.4%。

グラフ2

あなたは消費税をどのように使ってほしいですか?(複数回答、n=1000)

 

■調査報告書について
詳細については、プロジェクトページに掲載している報告書をご覧ください。
18歳意識調査

■18歳意識調査について
2015年の改正公職選挙法で選挙権年齢が20歳から18歳に引き下げられ、翌年の参院選から新たに「18~19歳」が投票に参加しました。民法の改正に伴い2022年4月には成人年齢も18歳に変わります。そこで日本財団では、18歳の若者が何を考え、何を思っているのか、継続して調べる意識調査を昨年10月からスタートさせました。次代を担う18歳の意識を幅広く知ることで新しい社会づくりに役立てるのが狙いです。

関連記事
東京2020大会の課題は「猛暑・テロ・混雑」―18歳意識調査
7割が「海に行きたい」、親しみは「海を守る行動」へ―海に関する意識調査
6割が憲法改正に関心―18歳意識調査
18歳から22歳、10人に1人が自殺未遂を経験―第3回自殺意識調査
多発する災害 77.6%が不安、国の防災対策 80.9%が不充分―18歳意識調査