ギャンブル依存症対策議連が発足―地域の実情に合わせた対策を (2017/3/27 大田区議会議員 岡高志)
24日、カジノを中心とする統合型リゾート(IR)の導入に向けて、「IR整備推進本部」(安倍晋三本部長)が設置されました。一部の自治体では誘致レースの過熱も見られる中、ギャンブル依存症対策を検討している地方議員の動きも活発化しています。「ギャンブル依存症対策地方議員連盟」の発起人である岡高志 大田区議に取り組みをご紹介いただきました。
「医療機関におけるギャンブル障がい対策の取り組み」と題して、成瀬メンタルクリニック院長 医師 佐藤拓先生からご講演いただきました。佐藤拓先生は、川崎医科大学卒業後、北里大学精神神経科、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課、横浜市こころの健康相談センターの勤務を経て、2013年より現職。各種依存症問題に関して日本で中心的な役割を果たしてきた独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターでもギャンブル依存症の外来診療に携わっています。
ギャンブル依存症は治療可能な精神疾患である
ギャンブルの問題は長らく対策が困難な個人の資質による問題とみなされてきました。治療や支援が可能であるとの認識が広まった結果、WHOのICD-9(編集部注:第9回修正死因統計分類)において、衝動制御障害のカテゴリーに分類。また、アメリカ精神医学会のDSM-5(編集部注:精神障害の診断・統計マニュアル)において、物質関連障害および嗜癖性障害群に分類されています。
ギャンブルをする目的は一般的にストレス発散とされます。ストレス刺激を明確にして対応を考える、ストレス反応にギャンブル以外の多様な選択肢をもたせる。といったことが対策になります。自助グループやギャマノンなどの当事者による安心できる環境づくりも効果的です。
精神科臨床におけるギャンブル障がい対応の基本的な考え方として、身体的問題(低血圧、睡眠時無呼吸症候群、更年期障害など)の除外、心理社会的不安要素(職場、家族、借金)の軽減をおこなった上で、精神科治療に移ります。精神科治療では、ギャンブルの問題を軽減するための代替案の提示を行います。
自己肯定感を保つストレスマネジメントが重要
また、心理検査 WAIS-III(ウェクスラー知能検査WAIS)を実施して群指数(言語理解、知覚統合、作動記憶、処理速度)のバラツキを把握して臨床に活用されていることを6つの症例を示していただいてご説明いただきました。自己肯定感を保ちながらストレスマネジメントを継続していくことが重要であると認識しました。議員間の意見交換では、地方ではパチンコがレジャーにおいて大きな位置を占めており、ギャンブル以外のストレス発散の難しさが提起されました。
この後、参加者のご賛同をいただいてギャンブル依存症対策地方議員連盟が正式に発足いたしました。代表には岡高志 東京都・大田区議会議員が就任しました。Facebookページにて情報発信・連携を行ってまいります。ギャンブル依存症は、都市と地方で背景に違いがあると再認識いたしました。ギャンブル依存症対策地方議員連盟では、超党派、地域を超えた地方議員によるギャンブル依存症対策の議論を進めてまいります。
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著者プロフィール
岡 高志(おか たかし) [ホームページ]
大田区議会議員(2011年から2期目)。1999年東京大学法学部卒業、洛南高校卒業、信託銀行、外資系投資会社にて12年間勤務。企業投融資、不動産開発投資を担当。子どもたちの未来を守るために政治の道を志し、地盤看板もない上に民主党の逆風の中、初めての選挙にて当選。
No事前選挙ポスター議員連盟 共同代表、洗足池自然観察会 主宰、行政書士、社会福祉士
岡 高志氏プロフィールページ
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