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参議院議員選挙2016

参院選争点(2)アベノミクス是か非か、分かれる評価 (2016/6/15 政治山)

 増え続ける高齢者人口と膨らむ借金で一般会計の歳出は右肩上がりに、冷え込む景気で所得税や法人税の税収は右肩下がりに…両者の推移を折れ線グラフにすると、ワニが口を開けたような形になることから、悪化の一途をたどる日本の財政難は数年前まで「ワニの口」と呼ばれていました。

税収グラフ

ワニの口は閉じようとしている?(財務省ホームページより)

財政は健全化の傾向にあるのに…

 ところがここ数年、歳出と税収の関係に変化が生じています。とりわけ安倍政権が誕生した2012年以降、ワニの口は再び閉じようとしているように見えます。当初予算ベースでみれば、歳出総額は2009年の101兆円を頂点にして、100兆円近辺で抑制される一方、税収は政権発足後から増加を続け、バブル期の最高値である1990年の60.1兆円に迫る勢いです。

税収と消費税グラフ

増え続ける税収(財務省ホームページより)

 増大し続けていた公債発行額も漸減傾向にあり、2020年度を目標とする財政健全化、すなわち新規国債発行に頼らず主に税収で支出を賄えるプライマリーバランス(基礎的財政収支)の均衡に向けて正しい方向に進んでいるようにも見えます。これだけ健闘しているようにみえるアベノミクスが、ちまたで評判を落としているのはなぜでしょうか。

進まぬ成長戦略、デフレ脱却、社会保障の充実…

 企業業績の改善を尻目に、国民生活は決して豊かになっていない実状が平均年収に表れています。2014年の民間会社における平均年収は415万円で、10年前より24万円も減少しています。

なかなか上がらない平均年収

当初は効果があった第一、第二の矢

 2012年12月から始まったアベノミクスは「三本の矢」を掲げました。第一の矢である「大胆な金融政策」と第二の矢である「機動的な財政政策」は見事に機能し、2013年末にかけて景気の変化を示す景気先行指数は右肩上がりを続け、日経平均株価も約7000円上昇しました。

 日銀が黒田東彦総裁のもと2013年春から、市場に資金を供給するため黒田バズーカとも呼ばれた「異次元緩和」を実施し、資金供給量(マネタリーベース)を2年間で2倍に拡大した効果は、てき面でした。

景気先行指数の推移

景気先行指数の推移(内閣府資料より)

不十分な第三の矢、デフレ克服も道半ば

 しかし、景気先行指数は2014年1月を頂点にして伸び悩みます。同年4月から消費税が5%から8%に上がった影響で買い控え傾向が進み、アベノミクス第三の矢である「民間投資を喚起する成長戦略」が生煮えのまま、大多数の国民に緩和の果実が落ちてきません。

 国民に資金が行き渡らず需要が喚起されないため、デフレからの脱却も中途半端です。2%に設定したインフレ目標は前年比2.7%を記録した2014年を除くと、いずれも1%にも満たない状態です。

新三本の矢で「一億総活躍社会」打ち出す

 安倍首相は昨年9月、新三本の矢を打ち出しました。一つ目が「希望を生み出す強い経済(GDP600兆円目標)」、二つ目が「夢を紡ぐ子育て支援(出生率1.8目標)」、三つ目が「安心につながる社会保障(介護離職ゼロ)」です。首相は「長年手つかずだった日本社会の構造的課題である少子高齢化の問題に真正面から挑戦したい」として一億総活躍社会の実現に取り組む姿勢を打ち出しました。

「保育園落ちた」ブログ、アベノミクス批判から都知事批判へ

 今年2月、「保育園落ちた日本死ね!」という匿名ブログから待機児童問題に火が付くと、国会論戦にも取り上げられ、一億総活躍社会やアベノミクスそのものに対する批判が沸き起こりました。

 余波は都政にも及びます。新宿区の都有地を、保育所不足の解消ではなく、韓国人学校に貸与するとして譲らない舛添要一・東京都知事に対し、批判が殺到。舛添氏は「なんでもかんでも保育園のニーズ、ニーズ」と有権者を刺激する発言を行いました。その後、多額の海外出張費や政治資金流用疑惑など次々に資質を疑う問題が浮上しています。舛添都政の与党である自公都連の対応次第では、参院選に大きな影響を与えかねないとも見られています。

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