民主が解党しないと泣き別れ……参院維新5人の厳しい事情 (2016/1/13 政治山)
民主党に解党を迫り新党結成を目指す維新の党と、党名変更または吸収合併に傾く民主党……合流を目指す両党の構想に大きな溝が生じています。
維新の党の松野頼久代表は昨年末、「新党を目指す」と民主党との合流に意欲を述べ、民主党の岡田克也代表も「可能性を排除しない」と応じました。
しかし、1月7日になって参院維新の5人が「日本を元気にする会」との統一会派を届け出ました。合流話が具体化しようという段階で、なぜ統一会派を結成したのでしょうか。
「存続合併」には加われない参院維新
これには、参院5人が置かれた厳しい立場が影響しています。5人は全員が旧みんなの党の全国比例組。同じ比例組でも衆院維新と異なり、民主が解党しないと合流できない事情があります。
維新の党は26議員のうち、比例選出が22人。国会法109条では比例当選議員の政党間移動を原則禁止しています。例外的に、選挙時には存在しなかった新党への参加や、他党との合併に伴う移籍は認めています。ただし、他党との合併の場合は比例名簿を届け出た政党の存続が条件になります。
ところがみんなの党はすでに解散しているため、国会法上は合併の意思決定をする主体が消滅したとみなされ、合併による合流は不可能です。つまり、参院維新の5人は両党の解党による新党結成でしか合流ができません。
解党も党名変更も、党内はまとまらない?
民主党としては結党約20年の歴史と一度は政権を担った矜持や知名度もあり、解党はおろか党名変更さえも苦渋の決断となります。岡田代表は3月までに維新との新党結成の可否を判断する意向を示す一方で、党名変更の可能性についても「あらゆることが考えられる」としており、党内の意見を集約するのは容易ではないと見られます。
参院維新の幹部は「2月までに民主が解党を決断しないなら元気と新党を作る可能性もある」とプレッシャーをかけていますが、参院民主では「安保法制などで裏切った元気と組むなんて」と批判が噴出しており、それぞれの立場と思惑が入り乱れ感情論になっています。
共産党にも党名変更の噂
7月の衆参同日選の可能性がささやかれる中、前回総選挙で躍進した共産党も現実路線へシフトしつつあります。「天皇の国事行為から逸脱するものだ」などとして、これまで出席を見合わせてきた通常国会の開会式に1月4日、現憲法のもとで初めて所属全議員が出席しました。野党共闘に向けて軟化する姿勢を強調し、党としての更なる議席増を狙っています。
共産党もまた党名変更が噂されていますが、志位委員長は、「わたしたちの理想、根本理念を刻んだ名前」であるとしてその可能性を否定する一方、“国民連合政府”実現に向けて野党各党に選挙協力を呼び掛けています。
各党それぞれの生き残りを懸けた深謀遠慮の動きは7月に向け、目玉候補の擁立も含めて益々ヒートアップしていきそうです。