投票権が18歳以上になるだけで若者の政治的関心は高くなるのか? (2014/4/11 政治山)
国民投票法改正案(投票年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げることが盛り込まれた改正案)について、今国会での成立が確実で、法施行から4年後にはこれまで投票権がなかった18歳、19歳の若者も投票に参加できるようになります。
今回の投票権年齢引き下げの意義や期待する効果について、日本政策学校所属で、若者に政治への関心を持ってもらうべく、神奈川県立上鶴間高校で出張講義をしている藤澤愛子さんにお話を伺います。
日本の選挙権が20歳以上になったのは69年前
――そもそもいつから選挙権は20歳以上だったのでしょうか。
「日本は1890年に選挙権は「25歳以上の男子」と定めました。しかも、1925年までは高額な税金を払っていることが条件でした。その後、1945年、敗戦とともに日本を占領したGHQ(連合国軍総指令部)の指令によって、日本の選挙権は20歳以上の男女と定められました」
――世界的には何歳から投票できるようになるのでしょうか。
「世界の85%の国では選挙権が18歳です。特に欧米諸国ではほとんどの国がそうなっており、他にも中国・インド・パキスタン・エジプト・アルゼンチンなどは選挙権取得を18歳としています。また、韓国は19歳で選挙権取得となっています。ブラジルは16歳になると選挙権を取得します」
教育現場も変わらなければいけない
――今回の引き下げの意義はなんでしょうか。
「10代の若者に投票権が与えられている海外の事例をみると、「10代の投票率は相対的に高い」「若者の政治的関心がアップする」ということが言えます。このような現象が起きるのは、10代は親との同居が非常に多く、親が選挙に行く姿を見ることで子どもが投票に行く確率も高くなるためだと思われます。また、10代の若者を信頼し、あえて選挙権を与えることで、政治への関心も高まり、ニュース等を見る頻度も上がります。学校でも、選挙に関する話題が自然とあがり、政治を身近に感じて投票行動に結び付くのです」
――政治的に未熟な有権者が増えるのでは?という懸念を聞きますが。
「日本の場合、学校等の教育現場に政治を持ち込むことはタブーとされており、その結果、政治的関心がないまま選挙権が与えられても選挙に行かない。もしくは、選挙に行っても比較検討せず適当に投票するという可能性が多分にあります。18歳への投票権引き下げをする以上、模擬投票や日本の論点について教育現場で扱い、考えさせる教育を同時に行うことが必要です。それにより初めて、18歳への投票権引き下げの効果が出ると思われます」
- 【取材協力】
日本政策学校 第4期受講生 政策高校プロジェクト所属 藤澤 愛子
1989年生まれ。法政大学法学部法律学科卒。地域で行われる祭礼に参加し、神輿を担いだことがきっかけで地域や人と人との繋がりの大切さを再確認。活気のあるまちづくり、若者の政治参加、教育分野の研究に取り組み始める。日本政策学校には政策高校プロジェクトでの出張講義に興味をもち、受講を決意。現在、豊島区を中心に社会貢献活動を実施する傍ら、日本政策学校 第4期生として活躍中。
- 関連リンク
- 日本政策学校
- 関連記事
- 投票権は18歳以上、選挙権は20歳以上!?(2014/4/11)
- 高校生らが政治ゲームを企画 政治を知るきっかけに(2013/12/27)
- マニフェストを起点とした市民参加と協働のまちづくり ~男女協働サロンを活用した「津波防災まちづくり計画」の作成~(2013/11/15)
- 小学生がマニフェスト掲げて模擬選挙~とくしまこども未来知事選挙(2013/11/7)
- 未成年模擬選挙で「地方政府」を担う次世代を育てる ~学生団体「選挙へGO!!」の取り組み~(2013/9/12)
- 日本の未来を変える「シチズンシップ教育」の現場から(3)「政治的リテラシー」を敬遠しない取り組みを(2013/4/1)
- 日本の未来を変える「シチズンシップ教育」の現場から(2)公立高校発! 総合学習としての「模擬議会」(2013/3/19)
- 日本の未来を変える「シチズンシップ教育」の現場から(1)高校生の参政意識を高めるための取り組みとは?(2013/3/4)
- 政治山クリックリサーチ
- あなたは選挙年齢を18歳に引き下げることをどう思いますか?(2014/4/8~15実施)