第8回マニフェスト大賞
マニフェストを起点とした市民参加と協働のまちづくり ~男女協働サロンを活用した「津波防災まちづくり計画」の作成~ (2013/11/15 牧之原市役所政策協働部地域政策課課長 兼 協働まちづくり専門官 加藤 彰 氏)
地方自治体の首長・議会の先進的な取り組みや、地域主権を支える市民の活動を表彰する「第8回マニフェスト大賞」のグランプリと各最優秀賞の発表が11月1日、東京・港区の六本木アカデミーヒルズで行われ、8部門16作品が表彰されました。 政治山では受賞された皆様から、取り組みの概要や経緯、今後の展望などを寄稿いただきます。今回はマニフェスト大賞(市民)グランプリを受賞された「相良、片浜、地頭方、川崎、細江地区自治推進協議会・発⑩(ハッテン)まきのはら」をご紹介します。駿河湾に面した地域の住民たちが、まちを歩き、課題を見つけ議論を重ね、自分たちの地区ごとに防災計画を策定しました。これもマニフェストです。
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沿岸5地区が「津波防災まちづくり計画」
駿河湾の西から御前崎近くまでの15kmの海岸線を抱える牧之原市にとっては、防災・減災への対策は大きな地域の課題です。牧之原市では、ファシリテーション(会議などが円滑に行われるように、中立的な立場から支援を行う手法や技術)を活用した合意形成型会議「男女協働サロン」といった手法を活用して、2012年4月、市内10の小学校区ごとに結成した「地区自治推進協議会」のうち、津波が想定される相良・片浜・地頭方・川崎・細江の5地区で、自分たちの地区ごとの「津波防災まちづくり計画」を作成してきました。 牧之原市オリジナルの「男女協働サロン」は、自治基本条例に位置付けられた、自由な立場でまちづくりについて意見交換できる対話の場。「気軽に、楽しく、中身濃く」をモットーに、運営・進行は、市民の「まちづくり協働ファシリテータ(会議の進行役)」が行います。
このサロンは、2012年7月から2013年2月まで、沿岸部の5つの「地区自治推進協議会」の下に「地区津波防災まちづくり計画策定委員会」を組織し、計画策定の主体とするとともに、具体的な計画の内容は、「男女協働サロン」の場で議論を重ねてきました。それぞれの地区の委員会では、1回のまち歩きと、6回の地区男女協働サロンと、3回の地区津波防災まちづくり計画策定委員会、そして最後に報告会、つまり、1つの地区で10回のサロン(策定委員会、報告会もサロン形式で開催)、5つの地区合計で、延べ50回のサロンが開催されました。
また、サロンのほかにも、部活動などでサロンに出席できない高校生、子育て世代、他地域の有識者から防災に対しての意見を集めるために、(株)電通の協力の下で、インターネットの会員交流サイト(SNS)を活用して、地元の高校生など計147人から67件のアイデアを集め、サロンの議論に反映させました。
展望
これまでの取り組みを振り返ると、2007年度に協働の実行委員会を初めて組織し開催した市民討論会「ハラハラまきのハラ・マニフェスト」(市長のマニフェスト検証)は、地域密着型の男女協働サロンとなり、市民のまちづくりに対する主体性を生み出すという進歩を達成しています。まちづくり協働ファシリテータの坂口和巳さんは、「行政課題の話し合いに参加することで、住民が主体的に考えるようになった。地域の課題は住民が議論するという自主的な活動を根付かせていきたい」と新聞紙のインタビューで答えています。 今後の地区別の男女協働サロンは、より市民主体、市民主導で実践的なものにすることを目標としています。市民一人ひとりが何を考え、何を語り合ったか。その中で、「何かが変わった」「去年よりも良くなった」という実感が得られれば、おのずから主体的な活動が増え、牧之原らしいまちづくりが実現できるのではないでしょうか。
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