小学生がマニフェスト掲げて模擬選挙~とくしまこども未来知事選挙 (2013/11/7 政治山)
11月1日から徳島県で、小学生による「とくしまこども未来知事選挙」の投票が始まった。これは若者の投票率アップキャンペーン「We vote for Tokushima!」を手がける徳島活性化委員会(徳島市、内藤佐和子代表)の発案で始まったもの。小学生が3つの模擬政党をつくって自分たちの主張を展開し、選挙運動や投票などの体験をしながら実際の行動に移す。投票は商店街のお店や郊外のカフェでもできるようにする一方で、政治・選挙プラットフォーム「政治山」の協力によりインターネットによる投票も開始した。投票は、小学生以上ならば居住地域を問わず、誰でも参加できる。
「前回の参院選で徳島県では、投票率は大人も若者も低かった。全体では50%を切っていて、全国でワースト4位、若者の投票率も25%程度。せっかく解禁されたネット選挙も期待していたよりも盛り上がらなかった。だから、今回のこども選挙では子どもたちが頑張っている姿を通じて、大人たちも政治や選挙に興味を持ってほしい」と代表の内藤さんは語る。
子どもたちが作った政党には、きちんとマニフェストも作ってもらった。徳島県が持つ課題に対応した3つの政党の名前は、それぞれ「パワー党」「野菜パクパク党」「徳島観光一周党」。
パワー党は、スポーツで地域を盛りあげる政党。せっかくサッカーと野球のチームがある徳島なのに、肥満児が多く、体力テストでも下位に位置づけられる徳島をまずは、スポーツ観戦に小学生の頃から行くように仕向けることで、改善しようという訴え。具体的には小学校や夏のプール、運動会などで観戦に行こうと呼びかけたり、ポスターを貼ったりする。
野菜パクパク党は、関西の台所と言われるほど野菜の生産が多い徳島県であるのに、野菜の摂取量が男女ともにワースト1・2であるところに目をつけた。小学生の頃から、野菜を食べる習慣をつけることで消費拡大につなげたいと訴える。具体的には、農家の人に野菜&料理教室を開いてもらったり、農家の人のみぞ知るレシピをスーパーの野菜の価格表の隣に陳列してもらおうと動いている。
最後の徳島観光一周党は、宿泊者数ワースト1の徳島をもっと楽しんでもらうために、子ども目線の観光MAPを作成して、たくさんの人に来てもらおうとする政党。ファミリーに滞在してもらうには子ども目線で面白い場所、行ってもらいたい場所、ご飯を食べるのが楽しい場所を紹介し、滞在期間を延ばしてもらおうという発想だ。
子供たちは選挙期間中(11月1日~25日)に、商店街で自分たちの政策を訴えて投票を促したり、実際に自分たちの取り組みを実行するためにフィールドワークに出かけたりする。また選挙期間が始まる前には、地元の四国放送で自分たちの政策を訴え、取材を受けることも欠かさない。本当の選挙さながら、子供たちは動きまわっている。
そんな子供たちを見ていて、大人も黙っていられるはずがない。お母さんたちはFacebookで子供たちへの投票を呼び掛けたり、政党に関連している農家や観光関連の人、スポーツチームの人も応援し始めた。子どもを触媒にすることで、普段は選挙や政治に関心のない人たちまでもが、徳島県の政策や行政の施策、選挙のために動き始めている。「まだこの取り組みは始まったばかりだけど、ぜひ全国の人にこの取り組みを知ってもらい、徳島県の課題や取り組みを知ってほしい。草の根の取り組みから徐々に人々の関心が高まって行くはずだ」と内藤代表は期待している。
子どもたちが目を輝かせながら、選挙活動をしている姿を見ると、徳島の未来だけでなく、日本の未来も暗くはないのではないか、と思わされるではないか。
3つの子ども政党とマニフェスト
パワー党
<マニフェスト>スポーツを見るのもするのも好きな子どもを増やそう!
僕たちは、徳島県で太っている子が多かったり、体力がない子どもが多いのは、普段からスポーツにふれていないからだと思いました。徳島にはサッカーと野球チームがあるので、まずは観戦に行くことでスポーツ好きの子どもを増やしたいと思います。小学校や夏のプール、運動会など、人がたくさんいるところに、まずはポスターを貼って、みんなが興味をもつようにしたいです!
野菜パクパク党
<マニフェスト>徳島で作られる野菜好きな子どもを増やそう!
私たちは、徳島県の人が野菜をあまり食べない人が多いのは、小さい頃から食べる習慣がないからだと思いました。せっかく徳島では野菜を作っている農家さんがたくさんいるんだから、農家さんならではのレシピを教わってスーパーなどで広めたり、小学生向けの料理教室や野菜教室などもどんどんやっていけたら、と思っています。
徳島観光一周党
<マニフェスト>徳島でのオススメスポットを発掘して、県外の子にも自慢しよう!
私たちは、徳島県に観光客があまり来ない理由は家族向けのオススメスポットが知られていないからだと思いました。でも、私たち地元の子どもがもっと面白い場所や美味しいレストランなどをHPなどを使って紹介できれば、もっとたくさんの家族が徳島に来て、いろんなところに行ってくれるんじゃないか、と思っています。徳島を一周してほしいと思って、この政党の名前にしました。
◇ ◇ ◇
まちづくり団体の徳島活性化委員会
2011年の衆議院選挙から若者の投票率アップキャンペーンWe vote for Tokushima!キャンペーンをスタートする。若者への選挙への関心を持ってもらうための講演会や話し合いの場を持つだけでなく、選挙の投票率を予想するクイズや投票に行って得するクーポンなど楽しんで選挙に行くような仕掛けも手掛けている。大学生、若手社会人をメインに活動中。
・ホームページ
・「とくしまこども未来知事選挙」の投票フォーム