[東京・港区]「伝わる日本語」の浸透に向け、共同研究に関する協定を締結 (2022/11/2 株式会社ぎょうせい)
東京都港区(25万9000人)は7月26日、言語学の専門グループと「受け手に合わせた分かりやすく親しみやすい行政文書の作成に向けた共同研究に関する協定」を締結した。同区では現在、あらゆる人に必要な情報が伝わるよう、受け手の立場に立った「伝わる日本語」の浸透に向けた取組みを進めており、この共同研究もその一環。
具体的には、▽区政モニターアンケート等をもとにした行政文書へのニーズ把握・分析▽区が作成した文書(通知文やパンフレット等)に対する改善の検討▽改善した文書のモニタリングをさまざまな年齢層の多様な人に実施――などを行う。実際の行政文章を活用した共同研究は全国初だという。
区と共同研究を行うのは「やさしい日本語」研究グループ。代表の庵功雄・一橋大学教授は、「やさしい日本語研究は在住外国人に対して日本語を用いて情報を提供するための方法を考えるところから出発した。対象を広げる中で、情報の本質をつかみ、読み手や聞き手に分かりやすく伝えるという考え方は日本人にとっても重要だと考えて研究を進めている。
この共同研究はその最先端に位置づけられる」と説明。そのうえで、「役所の仕事はそこで暮らす住民のためのものであり、そこで使われる言葉は住民に伝わってはじめて意味をなす。行政の仕事が適切に評価されるために最も重要なのは言葉。共同研究は、こうした考え方に基づき、分かりやすくすべての住民に伝わる文章をめざす」と述べた。
武井雅昭区長も「共同研究ができて大変心強く思っている。全国でも先進的な研究によって、区が『伝わる日本語』を実行し、区民サービスの向上を図り、区民との信頼関係を強めて、地域共生社会の実現と区民本位の区政運営の発展につなげていく。研究の成果は全国の自治体にも発信し、『伝わる日本語』を広げていきたい」と期待を寄せている。
(月刊「ガバナンス」2022年9月号・DATA BANK2022)
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