[鳥取県]鳥取県産和牛の遺伝資源保護と振興に向けて条例を制定 (2021/1/13 株式会社ぎょうせい)
鳥取県(56万6100人)は、「県産和牛の保護及び振興に関する条例」を制定し、10月13日に施行した。大正時代から全国に先駆けて和牛登録制度を確立し、和牛の改良において特別な地位を占めてきた県有種雄牛の遺伝資源の知的財産的価値を未来へと引き継ぎ、県内の畜産業と関連産業の健全な発展を図るのがねらい。何人も県有種雄牛の遺伝資源をみだりに県外に流出させてはならないことを宣言し、県は県有種雄牛の持続的な造成とその遺伝資源の保護・活用に取り組むことを明記している。
条例は全10条。県は、県有種雄牛の遺伝資源を知的財産として位置付けた上で、(1)県有種雄牛のうち特に重要な遺伝資源として厳格な管理を必要とする特定種畜を告示し、(2)特定種畜の家畜人工授精用精液を利用させるときは当該精液の所有権を県に留保し、生産した受精卵と子牛を県と当該精液使用者の共有とする契約を締結するなど保護に必要な措置を講ずる、(3)県有種雄牛の造成を計画的に進めて家畜人工授精用精液の安定的な供給を図るとともに、県有種雄牛の遺伝資源の適正管理のための告訴・告発・差止請求など必要な措置を講ずる――ことを規定。
また、「県有種雄牛の遺伝資源保護と和牛産業(生産から加工、流通、販売の事業)振興に関する計画の策定」「県・生産者・関係者の連携・協力」「県産和牛生産者の経営安定のための施策の実施」「県産和牛の加工・流通の高度化と販路拡大の促進のための施策の実施」「県産和牛の産肉能力と繁殖能力の改良促進支援などの施策の実施」「和牛産業振興のための研究開発」「全国和牛能力共進会等への出品に対する支援」――などについて定めている。県外流出に対する罰則規定は設けておらず、20年10月施行の「家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律」の罰則規定に委ねることとしている。
(月刊「ガバナンス」2020年12月号・DATA BANK2020)
- 関連記事
- 鳥取県の人口・財政・選挙・議員報酬
- [鳥取県]「新型コロナウイルス感染症拡大防止のためのクラスター対策等に関する条例」を施行
- [川崎市]伝統野菜を改良した「川崎市農技1号」を品種登録
- 院内学級と普通学級を繋ぐ分身ロボ「オリヒメ」―米子市立就将小学校 上村校長に聞く
- 病気や障害を持つ子どもたちの社会を広げる「つなぐプロジェクト」―教育と医療の垣根を超えて
- 株式会社ぎょうせいは、1893年(明治26年)の創業以来、当社は各行政分野の専門法規集、都道府県・市区町村例規集など多数の行政・自治分野に関わる書籍を発行してきました。「月刊ガバナンス」は、自治体職員の総合情報誌として2001年(平成13年)に創刊し、自治体職員の皆様をはじめ、議員や地方自治に携わる多くの方々にご愛読いただいています。