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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3)◆弱い欧州の再燃リスク◆  株式会社フィスコ 2017年6月4日

関連ワード : EU 金融経済 

強いユーロに一巡感、欧州不安再燃リスク

月末のポジション調整の範囲内であれば良いが、強かったユーロ(ユーロ買いの過程で円売りが膨らんだ)に一巡感が出、ドルも不透明感が強いので、若干円高含みの展開となっている。G7で米独対立が表面化し、近づく英国総選挙の様相が混沌化し、イタリアの秋の総選挙が浮上、脆弱なEUリスクが潜在する。

安泰と見られていた英保守党の支持率が急落、メイ首相はそそくさとG7から帰国したが、流れは止まらず、30日はタイムズ紙が「保守党、過半数維持できない可能性」を報じた。YouGovの調査によるものだが、現行330議席から20議席を失う可能性(過半数326議席)があると言う。保守党マニフェストの社会保障政策(高齢者は自己資産約1400万円に減るまで自己負担。「認知症税」と酷評されている)が不評で、EU離脱交渉でも「合意なしに離脱する用意がある」との強腰(労働党は確実に合意に達する交渉をすると主張)も、潜在的な離脱不安を高めたようだ。6月8日の総選挙後、19日から離脱交渉が始まるが、元々「難航」懸念があり、世界的なリスク回避ムードを高める恐れがある。

メルケル独首相とトランプ米大統領の応酬が続いている。対米黒字とNATO負担が問題の焦点だが、NATOには戦後ドイツの軍事力台頭を殺ぐ狙い(日本の憲法9条と同様)があり、戦後体制揺らぎの印象を与える。貿易に関しては、自動車排ガス問題(ドイツ検察がVWやダイムラーの捜査に乗り出している)が標的になる可能性がある。

とっくに期限が過ぎているはずだが、ギリシャ債務問題は決着していない。加えて財政脆弱なイタリアで秋の総選挙の可能性が浮上。南欧や中東欧諸国の脆弱性が再表面化する恐れがある。EU県ではないが、5月10日にアゼルバイジャン国際銀行が1億ドルの劣後ローンの元利支払いを停止(その後、33億ドルの外貨建て債の20%元本削減の債務再編提案)、カザフスタンでもデフォルト懸念が高まっている。ユーロ圏弱小国への波及が懸念されている。

独IFO業況指数5月が1991年以降で最高となる114.6を記録し、ユーロ圏製造業PMI(購買担当者景気指数)5月速報が6年ぶりの高水準(57.0、総合指数は56.8)など、景況感は大きく改善してきたが、30日発表のドイツ5月消費者物価指数速報は前年同月比+1.4%、前月の+2.0%から予想以上に鈍化。22日に独仏が出した「低インフレと経済不均衡で、ユーロ圏経済はなお脆弱」との声明を裏付けた。29日にはドラギECB総裁が「緩和策を維持する必要がある」と主張しており、6月8日のECB定例政策委員会でも同様の主張が想定される。

基本は米中情勢だが、欧州の揺らぎにも目配りが必要だ

以上

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/5/31号)

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