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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(1)◆日米首脳会談の行方に注目◆  株式会社フィスコ 2017年1月29日

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日米首脳会談、当面の焦点投影か

米新大統領は日本の首相を替えたがる。01年のブッシュは森→小泉、09年のオバマは麻生→鳩山。オバマ氏は理想主義的に日本にも二大政党制を持ち込んだが大失敗、二期目の13年に自民党・安倍政権に戻した。安倍首相が所信表明演説で早期の日米首脳会談を望むとしたのは、そのリスクの芽を排除したいと思っているから、との観測が出た。国会開会中なので、週末(0泊2日もありえる)電撃訪米の日程。当初、1月28日にもとの観測があったが流れ、今は2月4日を目指して交渉中とされる。就任前のトランプ氏に会った首脳は安倍首相が唯一。別格とも思えるが、オバマ氏との仲を取り持ったケネディ前大使のような存在で長女婿のクシュナー氏の動静にも注目したい。

トランプ大統領の就任式直後、23日にカザフスタンで開催されるシリア和平会議を電撃訪問、プーチン、エルドアン会談との憶測も流れたようだが、米側は駐カザフ大使のオブザーバー参加に止まる。代わって、第一号を射止めたのはメイ英首相。27日に首脳会談を行う。次いで31日のペニャニエト・メキシコ大統領。カナダ・トルドー首相とも近く会談する予定。

日米首脳会談には米側の要請で麻生財務相同行と報じられている。会談が先送りになるのは、ムニューチン財務長官の承認が遅れ、体制が整わないのも要因と見られる。ムニューチン氏が提唱するインフラ銀行への協力が重要テーマになると考えられ、日本側は為替の安定を求めるのではないかと推測される。

19日付ロイターはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の高橋理事長のインタビュー記事を掲載。GPIFは今年、PE(プライベート・エクイティ)とインフラ事業への投資を増やす計画を表明した(日本国内には投資機会が乏しいため、新たな投資先は海外資産となる可能性が高いとも言及)。おそらく、生保・郵貯マネーも加わると考えられる。20日、総務省は所管の官民ファンド「海外通信・放送・郵便事業支援機構(JICT)」(15年11月設立)の第1号案件として、香港-グアム光ケーブル敷設事業に58億円投融資すると発表した。計画はNECとシンガポール企業が推進し、将来は日本、オーストラリア、インドネシア、北米を結ぶ壮大なもの。(上場株では、日本郵政グループやNECなどが関連銘柄になる)

安倍首相が急いでいるのは、朝鮮半島情勢での日米意思統一を図りたいためではないかと思われる。日本は駐韓大使を帰国させたまま、戻るメドが立っていない。長期化しても日本側が困る話ではないが、韓国内の不安定化リスクは駐留米軍に及ぶ可能性を否定できない。万が一の有事に備えて置く必要がある。(北朝鮮のICBMを打ち落とすのかどうかも焦点になる)

トランプ就任直後の大統領令(ホワイトハウスのHP掲載)は、オバマケア撤廃、TPP離脱、NAFTA再協議など、想定の範囲内に止まった。一時出ていた「中国の為替操作国認定」などは出なかった。対中政策に不透明なところがあり、日本としては意向確認も行いたいところだろう。既に、異例の形で当選直後から新大統領ハネムーン期間は始まっている。100日目となるのは2月中旬辺り。それまでに、政策の輪郭、市場の期待テーマが明らかになることが焦点と考えられる。

以上

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/1/23号)
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