「第12回政治山調査-消費税増税-」から読み解くマーケット展望(2/2)
追加金融緩和期待銘柄
前述の前提の下、個別銘柄を挙げると下記のような銘柄が意識されよう。金融緩和の恩恵を受けやすいセクターとしては、不動産、ノンバンク・消費者金融など金利敏感株が注目となる。金利低下によって資金調達コストが下がれば利ざや改善につながるとの見方。
三菱地所
丸の内界隈で三菱村を形成している大手不動産。4月前後に積み上がっていた信用買いなどの整理も進み需給面は改善傾向にある。
野村不動産
ハイクラスマンション「プラウド」を展開。湾岸地域での物件は即完売となるほか、住宅ローン控除額の拡大などでマンション販売はさほど落ち込まない可能性もある。
いちごホールディングス
不動産投資ファンドビジネスを展開している。8月に株式分割を実施したことで流動性向上なども追い風に。
アイフル
消費者金融業界の事業環境好転が報じられるなど業界全体で持ち直しの動きが見られる。利息返還請求件数もピークアウトを迎えたとの見通し。
クレディ・セゾン
傘下に不動産ビジネスを手掛ける子会社も保有していることで、ノンバンク、不動産の両面で金利低下の恩恵を享受できる。
新生銀行
傘下に消費者金融を保有していることで注目。まだ、公的資金が残っていることで経営のフットワークは重いとの指摘はあるが、業績改善が続けばあおぞら銀行との統合などの思惑も。
金融市場の見解について
日本国債(10年債)の利回り水準は0.7%前後で安定的に推移している。日本の財政事情が本当に悪化しているならば、長期国債の利回りが0.7%前後で安定することはあり得ない。消費増税を実施することで景気悪化を招くことになれば、安倍政権の支持率は低下する可能性が高い。
市場関係者の間では、消費増税を実施するのは、日本経済が名目3%程度の成長率を維持できる状況になってからでも遅くはないとの意見が存在している。拙速な増税は景気悪化による税収減につながる恐れがあるとの懸念は消えていない。
長期金利の見通し
2014年4月の消費増税による景気悪化の可能性があることから、長期債利回りの上昇は抑制されているようだ。債券市場では、12月中旬頃に公表予定の日銀12月短観の内容次第となるが、早ければ1月21-22日に開催予定の日銀金融政策決定会合で追加金融緩和が決定される可能性がある。長期金利は0.9%レベルが上限となり、年内は概ね0.6%-0.8%の範囲内で推移する可能性が高いとみられる。
年末までの10年債利回りの想定レンジ:0.60-0.90%
ドル・円の相場見通し
過去のパターンでは消費増税(1989年と1997年)を実施した場合、景気が悪化し、翌年にかけて円安が進行している。2014年4月の消費増税もこのパターンに該当するとの見方が多いようだ。2014年1月に日銀による追加緩和が実施される可能性があることから、年末にかけて円安・ドル高が緩やかなペースで進行する可能性がある。
年末までのドル・円の想定レンジ:95円-105円
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